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「この子を売りますから! だからどうか!」
湊が母と共にやって来たのは薄暗い場所だった。
地元でも立ち寄る人の少ない廃工場。人目につかないと言う点では、これほど好条件はないだろうという場所。
そこで、母は地面に頭をこすりつけながら、とある男に湊を差し出した。
「お嬢ちゃん、名前は?」
「来栖湊です。おじさんは?」
「そうだねェ。まァ、ヤツメって呼んでくれな」
男——ヤツメは、二m近い巨漢だ。感情の読めない表情で、年齢はいまいち分からない。つばの広いハットを被って、額にある傷を隠していた。
その隠す傷をヤツメは見せびらかす。縦に二本、横に三本の線が交差する傷だ。
「ほら、この傷の重なる点が、六つあるだろう? それで両目と合わせて、八つの目、ヤツメって呼ばれてんだァ。おじさんも気にいっててねェ。カッコいいでしょォ?」
「はい、かっこいいですね」
湊は素直に頷いた。とても明瞭な声だった。
まるで物怖じしない少女に、ヤツメは細い瞳を少し開いて、小学生の背丈に合わせてしゃがみ込む。そして、大きく分厚い右手で、少女の頭を撫でた。
「お嬢ちゃんは良い子だねェ。きっと成長したらもっと美人さんになるねェ」
「はいっ。お母さんみたいになりますっ」
「そっかァ。けど、お母さんみたいにはならない方が良いかなァ」
ヤツメはそう言うと立ち上がって、土下座する母に歩み寄った。
「来栖さん、恥ずかしくないんですかねェ。こんな可愛くて賢い娘を売りに出そうだなんてさァ」
「この子はあたしの事が大好きなんです! だからあたしのためなら何でもしてくれるって言いました! だからどうか! この子を引き換えに!」
「まあねェ? 幼い子を好き好む人もいるにはいるんだけどねェ? それでも、子より馬鹿な親ってのは、」
ヤツメは母の頭を踏みつけて、声を低くした。
「オレが好かねぇんだよなァ?」
ぐり、と地面に押し当て、母の小さな苦し気な息遣いが聞こえる。
聞こえたなら、湊は当然のように動いた。
母を踏みつけにするヤツメへと躊躇いなく体当たりをする。
「おっとォ?」
反射的に避けるヤツメ。全力の突進だったために、湊はブレーキも効かずその場に転んでしまう。
それでもすぐに立ち上がり、ヤツメを見つめた。その顔は落ちている廃材で深く切り、流血している。
「私、お母さんのためなら何でもしますよ? 娘ですから」
そこに恨みの感情はない。母の言葉が正しいと主張したかっただけ。
顔面を真っ赤に染めながらも表情を変えない小学生。そんな彼女にヤツメは堪え切れずに肩を震わせた。
「くっくっ! 良いねェ。お嬢ちゃんの眼は良いねェ。おじさん好きだ。気に入ったよォ」
そう笑ったヤツメの笑顔は、初めて年相応のものに思えた。彼の素顔がそこで現れたようだった。
またしゃがみ込んで、頭を撫でてくる巨漢に、湊は変わらず問いかける。
「それじゃあ、私は何をすればいいんですか?」
「いいや、お嬢ちゃんは何もしないで良いよォ。そのまま成長して欲しいからねェ」
ポンポン、とヤツメの頭を軽く叩くと、また湊の母に歩み寄った。跪く彼女は、ボロボロに泣き腫らした顔を怯えた様子で上げた。
そんな無様な姿に吐き気すら覚えつつ、ヤツメは告げる。
「娘さんに感謝してくださいねェ。欲しい物はあげますからァ。ほらっ」
「んぐぅっ!?」
ヤツメはポケットから取り出したいくつかの錠剤を強引に母の口へと突っ込んだ。
突然の事に暴れた母だったが、ヤツメに口を押さえつけられ身動きは取れなかった。それからゴクンとのどが動き、体を跳ねさせる。
「あは、アヘヘヘっ」
奇妙な笑いを浮かべ、気絶するように母は倒れた。
「死んではないか……まあどっちでもいいけどねェ」
酷く冷めた目でその女を一瞥して、湊へと視線を戻す。すると彼女はいつの間にか、近くに落ちていた大きなガラスの破片を握って、ヤツメに向けていた。
「お母さんに何をしたんですか?」
「欲しいって言ってたものを上げたんだよ。後でおじさんが運んでおくから、嬢ちゃんは帰っても良いよォ」
にこり、とヤツメは言って、横たわる母を軽々と右肩に担ぎ上げた。
「えっと、お世話になりました。それじゃあお母さんをお願いします」
湊は人の言う事はすぐに信じた。だから、ヤツメが何をするかもきちんと理解せずに感謝すらし、ガラス片は放り捨てる。
そもそも彼女は、母自体はどうなっても良かった。ただ、娘が母の身を案じるという制約に乗っ取っていただけ。
ヤツメは完全にではなくとも、湊のそう言った狂った部分を見ただけで察していた。だからこそ余計面白くなって、とあるメモを取り出す。
「お嬢ちゃん。何かあったら連絡するといいよ。ちょっとした事ならおじさん、手伝ってあげるからさァ」
そこに書いてあったのは十一桁の数列。電話番号だ。
それを受け取ると、湊は思いついたように問う。
「私が私を売ったら、ちょっとじゃなくて大きな願い事も聞いてくれますか?」
すると、またヤツメは笑った。盛大に腹を抱えて。肩に担ぐ湊の母も危うく落としそうになった。
息を整えてから、問いに応える。
「もちろんだよォ。お嬢ちゃんは今でさえ美人さんだから、破格で買い取ってあげるよォ」
「ありがとうございます。また機会があればよろしくお願いします」
丁寧に。明瞭に。まるで小学生とは思えない所作で湊は頭を下げて、そうしてその場を去っていく。
その背中をヤツメは嬉しそうに見送った。
翌日、母は家に帰ってこなかった。
路上で倒れていたところを搬送され、検査の結果薬物反応が見つかったとの事で事情聴取が行われる流れになったらしい。しかし母が意識を覚ます目途はなく、宙ぶらりんな扱いで入院生活が続くそうだった。
そうして湊の両親はいなくなった。
それでも構わず生活しようとしたのだが、如何せんお金を稼ぐ方法がない。早速ヤツメに連絡しようと思ったのだが、それよりも先に祖父がアパートにやって来た。
「み、湊、大丈夫かっ?」
祖父は湊の顔の傷を見てギョッとした。だが、他に尋ねるべき事があったせいか、その事をつつきはしなかった。
父方の祖父だ。母と離婚して以降、父とは一切接触していなかったが、どこからか孤独の身となった事が伝えられたらしい。
祖父は慌ててやって来たのか、少し乱れた身なりだった。対して湊はケロリと応える。
「私は大丈夫だけど、お母さんが入院しちゃったみたい」
「そうみたい、だな。お前の父さんとも連絡がつかないし、どうするかな……」
祖父は本気でまいったというように頭を掻いた。湊は特に困った顔は見せなかった。
祖父は現在祖母の介護をしていて、そこに孫の面倒まで見るのは厳しいようだ。かと言って他に頼るのも引け目があるのか、中々打開案を思いつかない。
しばらくして、苦し紛れにそう提案をした。
「その、湊が良いなら……慎二、お前の父さんの弟なんだが、あいつと一緒に暮らすって言うのはどうだ?」
叔父とは、一度だけ顔を合わせた事があったが、ほとんど記憶にもない相手だ。
でも湊が何かを嫌がる事は今までに一度もなかった。
「生活出来るなら問題ないよ」
とてもよく出来た子供のように、湊は笑顔で頷く。
祖父は提案を受け入れられて、安堵とも驚きとも言える感情を得ていた。
その時から僅かにであるが、孫の異常さに気づき始めていたのかもしれない。
とは言え、両親を失くしたばかりの身を突き放すわけにもいかず、物分かりの良い少女に感謝しながら、すぐに湊の叔父へと連絡を取った。
叔父は二つ返事で湊を受け入れた。
次の日から、湊は叔父と暮らす事となったのだった。
湊が母と共にやって来たのは薄暗い場所だった。
地元でも立ち寄る人の少ない廃工場。人目につかないと言う点では、これほど好条件はないだろうという場所。
そこで、母は地面に頭をこすりつけながら、とある男に湊を差し出した。
「お嬢ちゃん、名前は?」
「来栖湊です。おじさんは?」
「そうだねェ。まァ、ヤツメって呼んでくれな」
男——ヤツメは、二m近い巨漢だ。感情の読めない表情で、年齢はいまいち分からない。つばの広いハットを被って、額にある傷を隠していた。
その隠す傷をヤツメは見せびらかす。縦に二本、横に三本の線が交差する傷だ。
「ほら、この傷の重なる点が、六つあるだろう? それで両目と合わせて、八つの目、ヤツメって呼ばれてんだァ。おじさんも気にいっててねェ。カッコいいでしょォ?」
「はい、かっこいいですね」
湊は素直に頷いた。とても明瞭な声だった。
まるで物怖じしない少女に、ヤツメは細い瞳を少し開いて、小学生の背丈に合わせてしゃがみ込む。そして、大きく分厚い右手で、少女の頭を撫でた。
「お嬢ちゃんは良い子だねェ。きっと成長したらもっと美人さんになるねェ」
「はいっ。お母さんみたいになりますっ」
「そっかァ。けど、お母さんみたいにはならない方が良いかなァ」
ヤツメはそう言うと立ち上がって、土下座する母に歩み寄った。
「来栖さん、恥ずかしくないんですかねェ。こんな可愛くて賢い娘を売りに出そうだなんてさァ」
「この子はあたしの事が大好きなんです! だからあたしのためなら何でもしてくれるって言いました! だからどうか! この子を引き換えに!」
「まあねェ? 幼い子を好き好む人もいるにはいるんだけどねェ? それでも、子より馬鹿な親ってのは、」
ヤツメは母の頭を踏みつけて、声を低くした。
「オレが好かねぇんだよなァ?」
ぐり、と地面に押し当て、母の小さな苦し気な息遣いが聞こえる。
聞こえたなら、湊は当然のように動いた。
母を踏みつけにするヤツメへと躊躇いなく体当たりをする。
「おっとォ?」
反射的に避けるヤツメ。全力の突進だったために、湊はブレーキも効かずその場に転んでしまう。
それでもすぐに立ち上がり、ヤツメを見つめた。その顔は落ちている廃材で深く切り、流血している。
「私、お母さんのためなら何でもしますよ? 娘ですから」
そこに恨みの感情はない。母の言葉が正しいと主張したかっただけ。
顔面を真っ赤に染めながらも表情を変えない小学生。そんな彼女にヤツメは堪え切れずに肩を震わせた。
「くっくっ! 良いねェ。お嬢ちゃんの眼は良いねェ。おじさん好きだ。気に入ったよォ」
そう笑ったヤツメの笑顔は、初めて年相応のものに思えた。彼の素顔がそこで現れたようだった。
またしゃがみ込んで、頭を撫でてくる巨漢に、湊は変わらず問いかける。
「それじゃあ、私は何をすればいいんですか?」
「いいや、お嬢ちゃんは何もしないで良いよォ。そのまま成長して欲しいからねェ」
ポンポン、とヤツメの頭を軽く叩くと、また湊の母に歩み寄った。跪く彼女は、ボロボロに泣き腫らした顔を怯えた様子で上げた。
そんな無様な姿に吐き気すら覚えつつ、ヤツメは告げる。
「娘さんに感謝してくださいねェ。欲しい物はあげますからァ。ほらっ」
「んぐぅっ!?」
ヤツメはポケットから取り出したいくつかの錠剤を強引に母の口へと突っ込んだ。
突然の事に暴れた母だったが、ヤツメに口を押さえつけられ身動きは取れなかった。それからゴクンとのどが動き、体を跳ねさせる。
「あは、アヘヘヘっ」
奇妙な笑いを浮かべ、気絶するように母は倒れた。
「死んではないか……まあどっちでもいいけどねェ」
酷く冷めた目でその女を一瞥して、湊へと視線を戻す。すると彼女はいつの間にか、近くに落ちていた大きなガラスの破片を握って、ヤツメに向けていた。
「お母さんに何をしたんですか?」
「欲しいって言ってたものを上げたんだよ。後でおじさんが運んでおくから、嬢ちゃんは帰っても良いよォ」
にこり、とヤツメは言って、横たわる母を軽々と右肩に担ぎ上げた。
「えっと、お世話になりました。それじゃあお母さんをお願いします」
湊は人の言う事はすぐに信じた。だから、ヤツメが何をするかもきちんと理解せずに感謝すらし、ガラス片は放り捨てる。
そもそも彼女は、母自体はどうなっても良かった。ただ、娘が母の身を案じるという制約に乗っ取っていただけ。
ヤツメは完全にではなくとも、湊のそう言った狂った部分を見ただけで察していた。だからこそ余計面白くなって、とあるメモを取り出す。
「お嬢ちゃん。何かあったら連絡するといいよ。ちょっとした事ならおじさん、手伝ってあげるからさァ」
そこに書いてあったのは十一桁の数列。電話番号だ。
それを受け取ると、湊は思いついたように問う。
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すると、またヤツメは笑った。盛大に腹を抱えて。肩に担ぐ湊の母も危うく落としそうになった。
息を整えてから、問いに応える。
「もちろんだよォ。お嬢ちゃんは今でさえ美人さんだから、破格で買い取ってあげるよォ」
「ありがとうございます。また機会があればよろしくお願いします」
丁寧に。明瞭に。まるで小学生とは思えない所作で湊は頭を下げて、そうしてその場を去っていく。
その背中をヤツメは嬉しそうに見送った。
翌日、母は家に帰ってこなかった。
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それでも構わず生活しようとしたのだが、如何せんお金を稼ぐ方法がない。早速ヤツメに連絡しようと思ったのだが、それよりも先に祖父がアパートにやって来た。
「み、湊、大丈夫かっ?」
祖父は湊の顔の傷を見てギョッとした。だが、他に尋ねるべき事があったせいか、その事をつつきはしなかった。
父方の祖父だ。母と離婚して以降、父とは一切接触していなかったが、どこからか孤独の身となった事が伝えられたらしい。
祖父は慌ててやって来たのか、少し乱れた身なりだった。対して湊はケロリと応える。
「私は大丈夫だけど、お母さんが入院しちゃったみたい」
「そうみたい、だな。お前の父さんとも連絡がつかないし、どうするかな……」
祖父は本気でまいったというように頭を掻いた。湊は特に困った顔は見せなかった。
祖父は現在祖母の介護をしていて、そこに孫の面倒まで見るのは厳しいようだ。かと言って他に頼るのも引け目があるのか、中々打開案を思いつかない。
しばらくして、苦し紛れにそう提案をした。
「その、湊が良いなら……慎二、お前の父さんの弟なんだが、あいつと一緒に暮らすって言うのはどうだ?」
叔父とは、一度だけ顔を合わせた事があったが、ほとんど記憶にもない相手だ。
でも湊が何かを嫌がる事は今までに一度もなかった。
「生活出来るなら問題ないよ」
とてもよく出来た子供のように、湊は笑顔で頷く。
祖父は提案を受け入れられて、安堵とも驚きとも言える感情を得ていた。
その時から僅かにであるが、孫の異常さに気づき始めていたのかもしれない。
とは言え、両親を失くしたばかりの身を突き放すわけにもいかず、物分かりの良い少女に感謝しながら、すぐに湊の叔父へと連絡を取った。
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