恋愛系小説

花梨美亜

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 対局に負けた私は、部員たちにこう尋ねた。

 「あの、対局ありがとうございました、私の指し方はど、どうでしたでしょうか…」

 と尋ねる。

 すると、その部員たちが「まあ、悪くないけど、強いて言うなら、理乃ちゃんの指し方は、攻め一辺倒だから、中盤、終盤になると、自陣のまもりがおろそかになって負けてしまうから、序盤はしっかりと守って、中盤あたりから、徐々に攻めの陣形へと変えていったほうが勝ちやすいとは思うよ…」

 とアドバイスしてくれた。

 その後も、いろんな人と対局を繰り替えしては負けるばっかりで、勝った対局が一局もない。

 家に帰り、私は部長からもらった私の棋譜を並べては、研究を開始した。

 研究をしていると、確かに攻めてばっかりで、守りが全然できてないことに気づき、私は早速お姉ちゃんと対局をすることにした。

 「よろしくお願いします」

 とあいさつをし、チェスクロックのボタンを押して、対局が開始された。

 先手番は私だ。

 
 私は少し悩んで、78飛車と早速飛車を振り、攻めの陣形を作っていく。

 おねえちゃんは、34歩と歩をひとつ前に進め、角道を開けてきた。

 そして、私も76歩と歩を前に進めて角交換をしようとかくみちをあけた。

 でもお姉ちゃんは、84歩と歩を前に進め、飛車先を破ろうと飛車先の歩を開けた。

 それに対し私は、75歩と歩を前に進め、石田流にして攻めの陣形を作っていく。

 お姉ちゃんは、62銀と銀を斜め前に上げ、守りの陣形に切り替える。


 「ここで守りの陣形にしてきたってことは、攻めの手が緩んだってことよね、なら攻めさせてもらうわ…」

 と言い74歩と歩を前に進め、飛車先突破を試みた。

 でも、ここでお姉ちゃんは88角成と角交換をしてきた。

 私は相手の馬を同銀と銀で取り、角交換を終えた。

 それからも、お互いに駒組を進めていき、何とか守りの陣形を完成させることができた。

 でも、元奨励会員のお姉ちゃんは、容赦なしに、飛車をこっちの陣地に成りこませ、拠点を作ってくる。

 私も、構わず、桂馬やぎんや飛車を相手陣地に成りこませ、拠点を作り、お姉ちゃんの駒をどんどんとっていく。

 お姉ちゃんもなりこませた駒たちを、中心に私の駒をどんどんとっていき詰めろをかけてくる。


 「はあ、はあ、やはりお姉ちゃんは強い…でも、私だっていろいろスタイルを変えながらせめているけど、なかなか、お姉ちゃんの玉を詰ませられない…勝ちに行くなら、ここで龍を切ることだけど、でも、ここで渡してもいいの?」

 と迷いながらも、龍を切って、相手玉に王手をかける。


 それに対しておねえちゃんは、「え?このタイミングでぶっち?」と言いながら、相手の龍をとる。

 すると理乃は「よし、ここで、15角打ち王手」と再び王手をかける。

 お姉ちゃんは角道じゃないほうの44の地点に逃げるが、理乃はそのすきを逃さず54金と金を打ち込み、さらに王手をかけていく。

 お姉ちゃんも必死に逃げるが、それでも理乃は、王手ラッシュをかけていき、相手の逃げ道をふさいでいく。
 
 お姉ちゃんは、とうとうどこにも逃げ場がないと判断したのか「ありません、負けました」と負けを認め、投了した。
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