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落ちこぼれ部署
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舞台は東京。
日本最大の警察組織、
警視庁。
一万人以上の警察官が働く巨大組織の中に、
ほとんど知られていない部署があった。
人材特別調整係。
表向きは「教育部署」。
だが、現場の警察官たちは別の名前で呼んでいる。
落ちこぼれ部署。
問題を起こした警察官、
上司と衝突した警察官、
能力はあるが扱いにくい警察官。
そんな者たちが、
ここに集められる。
警察人生の終着駅。
そう言われていた。
古い庁舎の三階。
廊下の一番奥。
蛍光灯の光が少し暗い。
その部屋に、七人の警察官が集められていた。
誰も口を開かない。
重たい空気。
最初にため息をついたのは
藤川優斗だった。
「はぁ……」
椅子にもたれ、天井を見る。
「俺たち終わったな」
向かいに座っていた男が笑う。
小林勝巳。
「まあそうだろうな」
腕を組みながら言う。
「警察人生の墓場だ」
窓際に座っていた女性が振り返る。
新田里奈。
眼鏡の奥の目は鋭い。
「まだ何も始まってないわ」
優斗が苦笑する。
「楽観的だな」
里奈は首を振った。
「違う」
「ただ現実を見てるだけ」
机の上の辞令を指で叩く。
人材特別調整係配属。
警察では有名な左遷だった。
その隣で静かに書類を見ている女性。
尾上紀子。
元交通課。
努力家として知られていた。
だが、現場経験の少なさを理由に
昇進試験で何度も落とされていた。
紀子は小さく言う。
「私はまだ諦めてません」
勝巳が笑う。
「真面目だな」
奥の椅子に座っていた大柄な男が
机を叩いた。
内田佳祐。
元機動隊。
格闘能力はトップクラス。
しかし。
「やりすぎたんだよな」
勝巳が言う。
佳祐は不機嫌そうに答える。
「犯罪者を止めただけだ」
「骨が折れただけで問題になる」
警察の中では
暴力的すぎる警察官という評価だった。
その横ではスマートフォンをいじっている男。
丹羽雅人。
サイバー犯罪対策課から異動。
天才的なハッキング能力を持つ。
だが。
協調性がない。
雅人は顔も上げず言った。
「この部署、ネット回線遅すぎ」
優斗が呆れる。
「そこ?」
最後に。
ドアの近くに立っていた女性が言った。
「みんな暗いね」
明るい声。
富田さゆり。
元交番勤務。
地域住民からは人気。
だが警察内部では評価が低かった。
理由は簡単。
「警察官は優しすぎると舐められる」
そう言われ続けていた。
七人。
誰もが問題児。
誰もが出世コースから外された。
警察組織の中で、
必要ない存在。
そう思われていた。
そのとき。
ドアが開いた。
静かに。
全員が振り向く。
一人の男が入ってきた。
背が高い。
五十代。
無駄のない動き。
目だけが異様に鋭い。
男はゆっくり部屋を見回した。
そして言った。
「お前たちが問題児か」
誰も答えない。
男は机の前に立つ。
名札にはこう書かれていた。
神崎隼人。
新しい係長だった。
神崎は椅子に座る。
そして。
静かに言った。
「安心しろ」
七人が顔を上げる。
神崎は続けた。
「お前たちは」
少し笑う。
「警察で一番使える人間だ」
優斗が眉をひそめる。
「……冗談ですか」
神崎は首を振る。
「違う」
部屋の空気が変わる。
神崎の目が鋭くなる。
「無能ならここに集めない」
「問題なのは」
指を七人に向ける。
「使い方が分からないだけだ」
沈黙。
神崎は言った。
「今日から訓練を始める」
佳祐が聞く。
「何の訓練です」
神崎は立ち上がった。
「一流警察官になる訓練だ」
勝巳が吹き出す。
「俺たちが?」
神崎は真顔で答えた。
「そうだ」
そして。
静かに言った。
「半年後」
「お前たちは警視庁のエースになる」
誰も信じていなかった。
このとき。
七人の落ちこぼれ警察官が
警察史を変える
日本最大の警察組織、
警視庁。
一万人以上の警察官が働く巨大組織の中に、
ほとんど知られていない部署があった。
人材特別調整係。
表向きは「教育部署」。
だが、現場の警察官たちは別の名前で呼んでいる。
落ちこぼれ部署。
問題を起こした警察官、
上司と衝突した警察官、
能力はあるが扱いにくい警察官。
そんな者たちが、
ここに集められる。
警察人生の終着駅。
そう言われていた。
古い庁舎の三階。
廊下の一番奥。
蛍光灯の光が少し暗い。
その部屋に、七人の警察官が集められていた。
誰も口を開かない。
重たい空気。
最初にため息をついたのは
藤川優斗だった。
「はぁ……」
椅子にもたれ、天井を見る。
「俺たち終わったな」
向かいに座っていた男が笑う。
小林勝巳。
「まあそうだろうな」
腕を組みながら言う。
「警察人生の墓場だ」
窓際に座っていた女性が振り返る。
新田里奈。
眼鏡の奥の目は鋭い。
「まだ何も始まってないわ」
優斗が苦笑する。
「楽観的だな」
里奈は首を振った。
「違う」
「ただ現実を見てるだけ」
机の上の辞令を指で叩く。
人材特別調整係配属。
警察では有名な左遷だった。
その隣で静かに書類を見ている女性。
尾上紀子。
元交通課。
努力家として知られていた。
だが、現場経験の少なさを理由に
昇進試験で何度も落とされていた。
紀子は小さく言う。
「私はまだ諦めてません」
勝巳が笑う。
「真面目だな」
奥の椅子に座っていた大柄な男が
机を叩いた。
内田佳祐。
元機動隊。
格闘能力はトップクラス。
しかし。
「やりすぎたんだよな」
勝巳が言う。
佳祐は不機嫌そうに答える。
「犯罪者を止めただけだ」
「骨が折れただけで問題になる」
警察の中では
暴力的すぎる警察官という評価だった。
その横ではスマートフォンをいじっている男。
丹羽雅人。
サイバー犯罪対策課から異動。
天才的なハッキング能力を持つ。
だが。
協調性がない。
雅人は顔も上げず言った。
「この部署、ネット回線遅すぎ」
優斗が呆れる。
「そこ?」
最後に。
ドアの近くに立っていた女性が言った。
「みんな暗いね」
明るい声。
富田さゆり。
元交番勤務。
地域住民からは人気。
だが警察内部では評価が低かった。
理由は簡単。
「警察官は優しすぎると舐められる」
そう言われ続けていた。
七人。
誰もが問題児。
誰もが出世コースから外された。
警察組織の中で、
必要ない存在。
そう思われていた。
そのとき。
ドアが開いた。
静かに。
全員が振り向く。
一人の男が入ってきた。
背が高い。
五十代。
無駄のない動き。
目だけが異様に鋭い。
男はゆっくり部屋を見回した。
そして言った。
「お前たちが問題児か」
誰も答えない。
男は机の前に立つ。
名札にはこう書かれていた。
神崎隼人。
新しい係長だった。
神崎は椅子に座る。
そして。
静かに言った。
「安心しろ」
七人が顔を上げる。
神崎は続けた。
「お前たちは」
少し笑う。
「警察で一番使える人間だ」
優斗が眉をひそめる。
「……冗談ですか」
神崎は首を振る。
「違う」
部屋の空気が変わる。
神崎の目が鋭くなる。
「無能ならここに集めない」
「問題なのは」
指を七人に向ける。
「使い方が分からないだけだ」
沈黙。
神崎は言った。
「今日から訓練を始める」
佳祐が聞く。
「何の訓練です」
神崎は立ち上がった。
「一流警察官になる訓練だ」
勝巳が吹き出す。
「俺たちが?」
神崎は真顔で答えた。
「そうだ」
そして。
静かに言った。
「半年後」
「お前たちは警視庁のエースになる」
誰も信じていなかった。
このとき。
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