同級生

真田直樹

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初めてのキス、屋上で

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――勇気の一歩――

放課後。

優斗が小さな声で言った。

「……屋上、行かない?」

里奈は一瞬戸惑ってから、うなずく。

誰もいない屋上。
フェンス越しに広がる夕焼け。

風が制服を揺らす。

二人は並んで立っていた。

昨日ハグしたのに、今日はまた緊張している。

優斗が指先をもじもじさせながら言う。

「今朝さ」

「うん」

「目、合いすぎ」

里奈は思わず笑う。

「優斗が見るから」

「里奈も見てた」

沈黙。

でも、嫌じゃない。

優斗は深く息を吸った。

「俺さ……」

里奈を見る。

真剣な目。

「昨日から、ずっと考えてて」

胸が高鳴る。

「里奈のこと、大事すぎて」

声が少し震える。

「どうしていいか分かんない」

里奈は一歩近づいた。

「優斗」

「なに」

「そのままでいいよ」

優斗はゆっくり手を伸ばし、里奈の頬に触れた。

指先があたたかい。

「……キス、していい?」

里奈は小さくうなずいた。

目を閉じる。

優斗の額がそっと触れて、
それから、唇がほんの一瞬、重なる。

軽くて、短くて、不器用なキス。

でも。

世界が静かになる。

離れたあと、二人とも顔が真っ赤だった。

「……した」

優斗が小さく言う。

里奈は笑いながら目を潤ませる。

「したね」

二人は同時に照れて、同時に笑った。

抱きしめるわけでもなく、ただ手をつなぐ。

それだけで胸がいっぱいだった。

帰り道。

優斗がぽつり。

「今日、忘れない」

里奈はうなずく。

「私も」

初めてのキスは、屋上の夕焼けの中。

静かで、ぎこちなくて、でも確かに“恋人”になった瞬間だった。
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