15 / 17
真奈にとうとう問い詰められる回
しおりを挟む
――もう隠せない――
それは、放課後のことだった。
里奈が帰り支度をしていると、机の横に影が落ちる。
顔を上げると、真奈だった。
腕を組んで、静かな声。
「里奈。ちょっと来て」
その言い方で分かる。
これは“軽い雑談”じゃない。
里奈は小さくうなずいて、教室を出た。
連れて行かれたのは、誰もいない階段の踊り場。
窓から夕焼けが差し込んでいて、やけに現実感があった。
真奈は壁にもたれて、じっと里奈を見る。
逃げ場なし。
「ね」
低い声。
「正直に言って」
里奈は唾を飲み込む。
「藤川と、付き合ってるでしょ」
胸が、どくん。
一瞬だけ迷ってから、里奈は観念したように息を吐いた。
「……うん」
それだけ。
でも、それで全部だった。
真奈は目を閉じて、深くため息。
「やっぱり」
それから少し笑った。
「もうね、分かりやすすぎ」
里奈は申し訳なさそうに肩をすくめる。
「ごめん……」
「なんで謝るの」
真奈は呆れたように言う。
「怒ってるわけじゃないし」
里奈は顔を上げる。
「じゃあ……」
「ただ」
真奈は一歩近づいた。
「最初から言いなさいよ」
里奈は困ったように笑う。
「なんか……恥ずかしくて」
「キスでもした?」
里奈の顔が一気に赤くなる。
真奈、即理解。
「あー。はいはい」
額を押さえる。
「最近の赤面、全部それね」
里奈は両手で顔を覆った。
「言わないで……」
真奈は肩をすくめる。
「青春だなあ」
少し間を置いて、優しい声になる。
「で?」
里奈を見る。
「大事にされてる?」
里奈は迷わずうなずいた。
「うん」
真奈はその表情を見て、ふっと笑った。
「ならいい」
里奈は驚く。
「え、それだけ?」
「それだけ」
真奈はぽん、と里奈の肩を叩いた。
「ちゃんと好きな人に、大事にされてる顔してる」
その言葉に、胸がじんとする。
「応援するよ」
里奈の目が少し潤む。
「……ありがとう」
そのころ、廊下の向こう。
優斗は落ち着かない様子で時計を見ていた。
(遅い……)
もし真奈に怒られてたらどうしよう。
そんなことを考えていると、里奈が戻ってきた。
目が合う。
里奈は小さく親指を立てた。
“セーフ”の合図。
優斗は心底ほっとして、肩の力が抜ける。
帰り道。
里奈は報告した。
「バレた」
優斗は固まる。
「……え」
「でも大丈夫。応援してくれた」
優斗は信じられない顔。
「まじで?」
「うん。『大事にされてる顔』って」
優斗は照れながら視線を逸らす。
「それ……俺、ちゃんとできてる?」
里奈は優斗の袖を軽く引いた。
「できてるよ」
小さな声で。
優斗はそれ以上何も言えなかった。
こうして、“秘密の恋”は終わりを迎えた。
まだクラスには広まっていない。
でも、里奈の親友には知られた。
それだけで、二人の関係は一段、大人になった気がした。
隠す恋から、認められる恋へ。
その第一歩は、
真奈の鋭すぎる勘から始まった。
それは、放課後のことだった。
里奈が帰り支度をしていると、机の横に影が落ちる。
顔を上げると、真奈だった。
腕を組んで、静かな声。
「里奈。ちょっと来て」
その言い方で分かる。
これは“軽い雑談”じゃない。
里奈は小さくうなずいて、教室を出た。
連れて行かれたのは、誰もいない階段の踊り場。
窓から夕焼けが差し込んでいて、やけに現実感があった。
真奈は壁にもたれて、じっと里奈を見る。
逃げ場なし。
「ね」
低い声。
「正直に言って」
里奈は唾を飲み込む。
「藤川と、付き合ってるでしょ」
胸が、どくん。
一瞬だけ迷ってから、里奈は観念したように息を吐いた。
「……うん」
それだけ。
でも、それで全部だった。
真奈は目を閉じて、深くため息。
「やっぱり」
それから少し笑った。
「もうね、分かりやすすぎ」
里奈は申し訳なさそうに肩をすくめる。
「ごめん……」
「なんで謝るの」
真奈は呆れたように言う。
「怒ってるわけじゃないし」
里奈は顔を上げる。
「じゃあ……」
「ただ」
真奈は一歩近づいた。
「最初から言いなさいよ」
里奈は困ったように笑う。
「なんか……恥ずかしくて」
「キスでもした?」
里奈の顔が一気に赤くなる。
真奈、即理解。
「あー。はいはい」
額を押さえる。
「最近の赤面、全部それね」
里奈は両手で顔を覆った。
「言わないで……」
真奈は肩をすくめる。
「青春だなあ」
少し間を置いて、優しい声になる。
「で?」
里奈を見る。
「大事にされてる?」
里奈は迷わずうなずいた。
「うん」
真奈はその表情を見て、ふっと笑った。
「ならいい」
里奈は驚く。
「え、それだけ?」
「それだけ」
真奈はぽん、と里奈の肩を叩いた。
「ちゃんと好きな人に、大事にされてる顔してる」
その言葉に、胸がじんとする。
「応援するよ」
里奈の目が少し潤む。
「……ありがとう」
そのころ、廊下の向こう。
優斗は落ち着かない様子で時計を見ていた。
(遅い……)
もし真奈に怒られてたらどうしよう。
そんなことを考えていると、里奈が戻ってきた。
目が合う。
里奈は小さく親指を立てた。
“セーフ”の合図。
優斗は心底ほっとして、肩の力が抜ける。
帰り道。
里奈は報告した。
「バレた」
優斗は固まる。
「……え」
「でも大丈夫。応援してくれた」
優斗は信じられない顔。
「まじで?」
「うん。『大事にされてる顔』って」
優斗は照れながら視線を逸らす。
「それ……俺、ちゃんとできてる?」
里奈は優斗の袖を軽く引いた。
「できてるよ」
小さな声で。
優斗はそれ以上何も言えなかった。
こうして、“秘密の恋”は終わりを迎えた。
まだクラスには広まっていない。
でも、里奈の親友には知られた。
それだけで、二人の関係は一段、大人になった気がした。
隠す恋から、認められる恋へ。
その第一歩は、
真奈の鋭すぎる勘から始まった。
40
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる