同級生

真田直樹

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里奈の友達にバレそうになる小事件

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――鋭すぎる親友――

その日は、昼休みだった。

里奈と優斗は廊下の端で、ほんの少しだけ話していた。
内容はどうでもいいこと。

「今日、英語の小テストあるよ」

「まじで?」

「うん。死亡確定」

そんなレベル。

でも距離が近かった。
声も自然と小さくなっていた。

そこへ――

「……あれ?」

背後から聞き覚えのある声。

里奈の親友・真奈だった。

「なに二人でコソコソしてんの?」

里奈は一瞬、心臓が止まりかける。

「え!? いや、その……」

優斗も明らかに動揺している。

「テ、テストの話」

真奈は二人の顔を交互に見る。

里奈は目が泳ぎ、
優斗は耳まで赤い。

完全に怪しい。

真奈は腕を組んで一歩近づいた。

「ふーん?」

鋭い視線。

「なんで二人とも今日そんな顔赤いの?」

里奈は反射的に叫んだ。

「暑いから!」

「今日は涼しいけど?」

即ツッコミ。

優斗は咳払い。

「運動不足で……」

「昼休みで?」

真奈は目を細める。

完全に探偵モードだった。

その後、教室に戻っても真奈の視線が痛い。

里奈が水筒を飲めば見られる。
髪を触れば見られる。
優斗と目が合えば、即チェック。

(やばい……絶対疑ってる……)

そして案の定。

昼食後、真奈が里奈の腕を掴んだ。

「ちょっと来て」

連行。

人気のない階段の踊り場。

真奈は腕を組んで言った。

「で?」

里奈はとぼける。

「なにが?」

「新田里奈」

フルネーム。

これは危険信号。

「最近、藤川と距離近くない?」

里奈の喉が鳴る。

「そ、そう?」

「目合わせて照れてるし」

ぐさっ。

「昨日なんか、廊下ですれ違っただけで顔真っ赤だったよね?」

致命傷。

里奈は観念しかけた。

(バレた……)

でも、ここで白状したら終わりだ。

「気のせいだよ」

必死で笑う。

真奈はじっと見つめてから、ふっとため息をついた。

「まあいいや」

「え?」

「どうせそのうち言ってくるでしょ」

里奈は目を丸くする。

真奈はニヤッと笑った。

「その顔、恋してる顔だから」

里奈は完全にフリーズ。

「安心しな」

肩をぽん、と叩かれる。

「私は見てないフリしてあげる」

そう言って去っていった。

放課後。

里奈は優斗に小声で報告した。

「真奈に、ほぼバレた」

優斗は固まる。

「え」

「まだ確定じゃないけど、時間の問題」

優斗は頭を抱える。

「俺、隠すの下手なんだよ……」

里奈はくすっと笑う。

「知ってる」

それから少し真面目な顔で言った。

「でもさ」

「うん」

「バレてもいいかもって、ちょっと思った」

優斗は驚いたように里奈を見る。

「だって、恥ずかしいけど」

里奈は小さく微笑む。

「優斗と付き合ってるの、嫌じゃない」

優斗は一拍置いて、照れながら言った。

「……俺も」

二人は顔を見合わせて、静かに笑った。

まだ正式にはバレていない。

でも。

友達の鋭い勘が、確実に二人の距離を暴き始めていた。

小さな事件は、
“秘密の恋”がそろそろ終わりに近づいていることを、静かに知らせていた。
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