同級生

真田直樹

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翌日、さらに照れが加速する学校編

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――近すぎて、見られない――

翌朝。

里奈は鏡の前で制服の襟を整えながら、深呼吸を三回した。

(普通に。今日は普通に)

昨日の屋上。
優斗の指先。
一瞬だけ触れた唇。

思い出しただけで、頬が熱くなる。

「……だめだ、全然普通じゃない」

そう呟いて、鞄を掴んだ。

教室のドアを開ける。

ざわざわした朝の空気。
机の音。
友達の笑い声。

そして――

優斗と、目が合った。

一瞬。

それだけなのに、二人同時に視線を逸らす。

里奈は自分の席へ直行。
優斗は窓際で教科書を開く。

周囲から見れば、いつも通り。

でも、二人の内側だけが嵐だった。

(無理……顔見れない……)

ノートを出す手が震える。

ふと横を見ると、優斗も同じように落ち着かない様子で、シャーペンを意味もなく回していた。

里奈は思わず小さく笑ってしまう。

(同じ顔してる)

一時間目の途中。

先生の声が遠くなる。

里奈は前を向いたまま、視界の端で優斗を探してしまう。

すると優斗も同時にこちらを見る。

また目が合う。

今度は逃げ遅れた。

二人とも固まる。

優斗は慌ててノートに視線を落とし、里奈は髪を耳にかけて誤魔化す。

友達が小声で囁いた。

「里奈、今日なんか赤くない?」

「気のせい!」

即答。

心臓がうるさい。

昼休み。

廊下ですれ違った瞬間、優斗が小さく手を振った。

里奈も同じように返す。

それだけ。

なのに、胸が跳ねる。

階段の踊り場で二人きりになったとき、優斗が小声で言った。

「……昨日のせいで、目合わせられない」

里奈は吹き出しそうになるのを必死でこらえる。

「私も」

「やっぱり?」

「うん。加速してる」

優斗は困ったように笑った。

「どうすんの、これ」

里奈は少し考えてから、指先で優斗の袖をちょん、とつつく。

「慣れるまで、こういうの」

その仕草に、優斗の耳が赤くなる。

「それもそれで破壊力ある」

「知らない」

二人は小さく笑った。

放課後。

一緒に帰る約束をしていたのに、並んで歩くだけで緊張する。

手をつなぐ勇気も出ない。

沈黙のあと、里奈が言う。

「昨日さ……」

優斗が身構える。

「なに」

「キスのあと、家で布団転がった」

優斗は立ち止まる。

「……俺も」

「え?」

「ベッドで天井見つめてた」

二人は顔を見合わせて、同時に笑った。

少し安心する。

同じだった。

駅前で別れるとき。

優斗が小さく言った。

「今日は、昨日より恥ずかしかった」

里奈はうなずく。

「うん。でも……嫌じゃない」

優斗は少し考えてから、

「じゃあ、明日もたぶん照れるな」

「たぶんじゃなくて確実」

二人はまた笑う。

言葉にしなくても分かる。

距離は確実に近づいている。

その分、照れも倍増している。

翌日の学校は、
“初キス後あるある”の連続だった。
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