『夜明けのミッドナイト』

真田直樹

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第二部挫折と分裂

第31章 社会の壁

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第31章 社会の壁
現実の厳しさ

春が過ぎ、初夏の空気が東京の街に流れ始めていた。

大学の講義室。

藤川優斗はノートを開いたまま、窓の外を見ていた。

講義の内容は頭に入ってこない。

周りの学生たちは、就職の話をしている。

「インターンどこ受ける?」

「大手企業狙う?」

「資格取らないと厳しいよ」

現実的な話ばかりだった。

優斗は思った。

(社会って…)

思っていたよりずっと厳しい。

夢だけでは進めない。

大学を出たら、仕事。

競争。

責任。

それが現実だった。

夜。

喫茶ミッドナイト。

ドアが開く。

カラン――

優斗が入ってきた。

「こんばんは」

勝巳がコーヒーを入れる。

「疲れてる顔だな」

優斗は苦笑した。

「大学が大変で」

そのとき里奈が入ってきた。

「優斗!」

しかし、いつもの元気は少し弱かった。

「どうしたの?」

優斗が聞く。

里奈は椅子に座る。

「実習先ね」

「人手足りなくて」

紀子も来た。

「音大も厳しい」

桂一も入ってくる。

「企業の世界はもっと厳しい」

さゆりも言う。

「オーディション全然受からない」

雅人が最後に来た。

「警察学校、脱落者多い」

店が静かになる。

それぞれの現実。

それぞれの壁。

優斗は思った。

皆、苦しんでいる。

夢を持って進んだはずなのに。

簡単にはいかない。

里奈が言う。

「社会って」

「思ったより大変だね」

紀子がうなずく。

「うん」

桂一が言う。

「当然だ」

里奈が言う。

「桂一冷たい!」

桂一は続ける。

「社会は結果を見る」

店が少し静かになる。

そのとき勝巳が言った。

「その通りだ」

皆が見る。

勝巳はコーヒーを飲む。

「社会は優しくない」

優斗は黙って聞いていた。

勝巳は続ける。

「夢なんて関係ない」

「結果がすべてだ」

里奈が少し落ち込んだ顔をする。

しかし勝巳は続けた。

「でもな」

少し間を置く。

「だから面白い」

皆が驚く。

優斗が聞く。

「どうしてですか」

勝巳は笑った。

「簡単だったら」

「誰でも成功する」

店の空気が少し変わる。

勝巳は言った。

「壁があるから」

「乗り越える奴が出てくる」

優斗は思った。

社会の壁。

それは確かに厳しい。

でも――

この仲間たちなら、

乗り越えられるかもしれない。

里奈が小さく笑った。

「よし」

紀子もうなずく。

「頑張る」

さゆりも言う。

「もう一回挑戦」

雅人が言う。

「逃げない」

桂一が言う。

「計画通り進める」

優斗も言った。

「僕も」

ミッドナイトの夜。

七人は初めて本当の社会の壁を知った。

しかし――

それでも前に進むことを選んだ。

ここから。

物語はさらに厳しい世界へ進んでいく。
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