地球連邦軍様、異世界へようこそ

ライラック豪砲

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第三章 出会いと契約

第11話―1 会談へ

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 一木はカタクラフトに収容されると、地上コマンドと他の部隊に兵士の救助を託して宿営地に帰還した。
 帰り際の機内で現場に増援を手配しつつ、今後の事を考える。

 何はともあれまずは二人の治療だ。
 その経過を見ながら、目覚めた二人と会談して、まずはこちらの素性を説明しなければならない。
 そこまで考えたところで、一木は厄介なことを思い出した。

 グーシュ皇女に見せる予定だった地球連邦の解説動画が未だ未完成だったのだ。
 帰還したら体の整備もそこそこに大急ぎで仕上げなければならないだろう。

「仕方ない……徹夜覚悟だな」

 スラスターを使用した反動なのか、すさまじい眠気に襲われていたが、そうも言ってはいられない。
 徹夜の覚悟を一木が決めたころ、カタクラフトは宿営地に到着した。

 到着したカタクラフトは宿営地の簡易ヘリポートに着陸した。
 未だに航空機関連の施設は未完成で、いずれは宿営地近くに本格的な滑走路を造る予定になっていた。
 だが、それは後々の事だ。
 
 現在はカタクラフトが二機着陸するのがやっとの狭い空間だった。
 そこに着陸したカタクラフトには、大急ぎで給油作業が行われる。

 軌道空母から飛び立ったカタクラフト汎用攻撃機は、よほどの空荷でない限りそのままでは衛星軌道にある母艦に帰還することが出来ない。
 そのため、スペースを確保するためにも大急ぎで給油して、カタクラフト部隊を軌道空母に返してやらなければならない。

 そんなあわただしいヘリポートから、一木は軽トラのような強化機兵の移動型整備ベットに乗せられて宿営地内に運び込まれた。
 
 そして整備工場に運び込まれ、メンテナンスのため宙吊りにされ、装甲板を取り外される。
 すると、身体の隙間から泥水や魚、木の枝がパラパラと落ちてきた。

 これはしっかりと清掃と整備をしてもらわなければ。
 そう一木が考えていると、殺大佐とミラー大佐、ジーク大佐とシャルル大佐、そしてマナがやってきた。
 
 「よお、命知らずの司令官殿。調子はどうだい?」

 殺大佐が相変わらずの軽口を言ってくれる。
 正直言ってこういった配慮がありがたい。
 ただし、今この場には軽口ですまない者がいた。

 「あー、マナ。本当にすまな……」

 そこまで言った所で、マナは一木にペチリとタッチするような弱弱しいパンチを繰り出すと、一木に抱き付いて声を上げて泣き始めた。

「本当にごめんな。けど、後にしないか? 泥で汚れるし、魚臭くなるぞ? ねえマナ?」

「ストレスが許容値超えたな、こりゃ」

 殺大佐の言う通り、まだ製造から間もないマナに対し、ずいぶんと酷いことをしてしまったものだ。
 しっかりと謝って、相手をしてやらなければならないだろう。
 そのうえで夜間の間に記憶領域のデフラグをしてやらなければならないだろう。

 アンドロイドに睡眠は必要ないが、長期間の活動や大きなストレスがあった場合などは、スリーブモードになり記憶領域の情報を整理してやる必要がある。
 このことを通称デフラグ(PCのHDDのデフラグメンテーションが由来だが、作業内容は異なる)と呼び、感情制御型AIを搭載するSSやSLにとっては性能を維持するための重要な日常作業となっていた。

「みんなにも心配をかけて申し訳ない……」

「くだらないことで謝らない。作戦を成功させたんだからもっと堂々としてなさい。そのために命を危険にさらしたことは問題だけど、それは私たちに謝ることじゃないでしょう?」

 ミラー大佐の言う通りだ。
 今回の行動の結果は、すべて自分が責任を持たなければならない。
 彼女たちはあくまで地上部隊の指揮官である一木を補佐する立場なのだ。
 勝手に死にかけたマヌケに謝られる筋合いなどないだろう。

「まあまあ、一木司令。ミラー大佐も一木さんが川に入った時は心配してたんですよ。だからあんまり言葉を真に受けて落ち込まないでくださいね」

 シャルル大佐が珍しくまともに励ましてくれた。
 ここの所料理関係の仕事をしているからかもしれない。

「僕も心配していたんだ、本当だよ? まあ僕は司令官の事を信じていたから」

「ああ、ありがとう、ジーク大佐。さて、整備中の身で悪いんだけど、参謀のみんなが揃ったところで今後の事を話しておこうか」

 言葉を軽く流されたジーク大佐がジト目でこちらを見ているが一木は見ないふりをした。
 さすがに一木も学習しつつあるのだ。
 しがみつきながら、どこか勝ち誇った顔をしているマナと、悔しそうにしているジーク大佐の状況を鑑みるに、この場では二人に関して触れない事が正解だろう。

「グーシュ皇女とお付きの騎士ミルシャが目覚め次第、会談を行おうと思う」

 宙吊り状態で体を整備のためバラされながら、一木は宣言した。       
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