残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました

月(ユエ)/久瀬まりか

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ウォルター・モーガン

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翌日、学園に着くと教室ではクリスティンを中心に女生徒の輪が出来ていた。お祝いの言葉が溢れ、笑ったりはしゃいだりしているその中にアンジェリカは入って行く勇気を持てなかった。そっと横を通り過ぎようとすると、クリスティンに声を掛けられた。

「あらアンジェリカ。相変わらず暗いわねえ。そうそう、私ね、ウィリアム殿下の婚約者に選ばれたのよ。ごめんなさいね、あなたを差し置いて」

ごめんなさいとは口ばかりの勝ち誇った顔である。

「あ、あの、クリスティン。ご婚約、おめでとうございます」

アンジェリカは顔だけはクリスティンに向けていたが目を合わせることは出来なかった。

「ふふ、あなたにもいい縁談があるといいわね」

「ロバとの縁談だったりして」

誰かの声が聞こえた。一斉に皆が笑い出し、アンジェリカは顔を引き攣らせながらその場を離れ、廊下へ飛び出した。ちょうどその時、ウォルターが教室に向かって歩いて来るところだった。

「やあ、おはようアンジェ」

穏やかな笑みを浮かべてアンジェリカに話し掛ける。

「あ……おはよう、ウォルター。今日は、体調は大丈夫なの?」

「ありがとう。今朝はだいぶいいんだよ。それよりどうしたんだい、顔色が悪いよ」

ウォルターはドアから教室の中をチラッと覗くと納得の表情を浮かべた。

「クリスティン達だね。また嫌味を言われたのかい?」

「いいえ、そんなことないわ。平気よ」

「まったく、彼女達は性格が悪いよ。いくら君がロバに似ているからって」

アンジェリカは暗い顔をして俯いた。

「ああ、でもアンジェ、僕はそんな君が好きなんだからね。僕だけは君の味方だから」

ウォルターが優しく微笑む。男子としては少し低い身長と病気がちのため痩せ型の身体、鳶色の巻毛が彼を年齢より幼く見せていた。

「僕もやっと十八になったからね、そろそろ正式に君に婚約を申し込むよ。王太子殿下が君を選ばなくて本当に良かった。やっぱり、僕以外に君と結婚したがる男はいないと思うんだ。ぜひ受けておくれよ」

「……父に聞いてみませんと」

「ああもちろんさ。お父上によろしく」

もう一度微笑んでウォルターは教室に向かった。

誰にも聞こえないようにため息をつきながらアンジェリカも教室へ戻って行った。
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