スキル盗んで何が悪い!

大都督

文字の大きさ
19 / 174

第19話 一難去ってまた一難

しおりを挟む
 キラービーの集団に対抗するために今は出し惜しみはしない。
〈即毒〉と〈連射〉のスキルコンボでバタバタと空からキラービーの亡骸を降らせている。

 そんな戦闘をしていると、川辺でアースベアーの足止めをしているローゼ達が唖然の表情でこちらを見ていた。

「ローゼ、何なのよあの子……」

「こっちが聞きたいわよ……。私あなたの援護に来たのにキラービーが殆どこっちに来ないじゃない……」

「下手にこっちから攻撃したら、あの集団がこっちに攻めてくるんでしょうね……」

「悪いけど私じゃ無理よ……」

「私の氷壁でも耐えきれないわね」

「ローゼさん!」

「ミーシャ! ローゼ!」

「ミミ、トト、二人とも大丈夫?」

「あぁ、一般人の避難はもう終わったぞ」

「今この川の周辺にいるのは殆どか冒険者だけです。私、あの人達に支援してきます!」

「あ~。ミミ、それはいいわ」

「えっ?」

「何言ってんだよローゼ!? 支援もなしにモンスターと戦闘なんて自殺行為だぞ!」

「二人とも、あれをよく見なさい……」

 ギギギ……ギッ!

 バシュ!

 死にぞこないのキラービーの最後の抵抗だろう、いきなり下腹部の下の方から針を飛ばし、近くにいたプルンの足に刺さってしまった!

「ニャ!」

「プルン!こっちへ!」

 毒をもらってしまったのか、即効性が強いのかプルンの足が一気に青黒くなっていく

「ニャ……」

「キュアクリア!」

 まっ、そんな物も最悪な状態になる前に治してしまえば問題ないけどね。
 刺さった毒針も抜いて直ぐに回復する。
 プルンの足も血色を戻し元に戻った。

「ニャ!」

「支援かけ直すよ。ブレッシング、速度増加、ヒールもついでにっと」

「ありがとうとニャ!」

「モンスターはまだまだいるからね。時間まで気を抜かないで!」

「解ったニャ!」

 ミツの行動に、更に唖然の表情が二人増えた。

「何であいつ回復使えてんだ……」

「回復だけじゃ無いわ、ブレッシングと速度増加も使ってたわ」

「なっ!」

「それって、彼は支援職のクレリックなんじゃ」

「ん~。それだとあの弓の強さが説明できないのよね」

「あの光の強さ……。私よりヒールの回復量があると思います。彼女の傷の治り方を見ても大きみたいですね。あと、毒も治した様なので毒を治す支援も使えるみたいです」

「皆! 気になるのは解るけど、こっちにもキラービーが来たわよ!」

 流石に全部か全部とキラービーがミツとプルンの方へとは行かない。
 数匹だが、ローゼ達のパーティーの方へと流れたのだ。

「ミーシャはそのままアイスウォールの継続を。ミミは皆に支援のかけ直して。トトは私が撃ち落とした敵にトドメを!」

「「「了解!」」」

「やはり良いパーティだねあの四人は」

「ニャ!? ミツ、よそ見してないでどんどん撃つニャ!」

「ごめんごめん。なら、コッチも負けずに敵を倒すよ!」

 シュ! シュ! シュ! シュ! シュ! シュ……。

「ニャニャ!? さっきより矢の数が増えたニャ!」

「どんどん行くよ、プルン急いでトドメを!」

「解ったニャ!」

 スキルのレベルは上がってないけど、こうも矢を連射してるとコツを掴むものだ。
 ローゼ達以外の他の冒険者も、ミツの攻撃速度に驚きを隠せないようだ。

「おい、あれだけのキラービーがもう半分近くまでに減ってるぞ……」

「あそこの……あそこの冒険者二人で殆ど倒してるわね……」

「まぁ、被害を抑えてることだからいいことなんだろうけど」

「きっとアイアンかグラスランクの冒険者なのよ!」

「そっ、そうか! なら納得だな! 俺達ブロンズランクですらまだ数匹なんだしな!」

「そうよ!」

「そうだな!」

「「あはは……」」

 戦闘を続けて行くと足元にはキラービーの死体で埋め尽くされてきた。

「援軍はまだ来ないニャ!?」

「おかしいな?」

(ユイシス援軍は? あれから10分は過ぎてるけど)

《援軍部隊が途中逃げた一般人の保護に周り、こちらへの進軍が止まってます。残念ながらもう暫く掛かりそうです》

(なんてこったい……)

「プルン恐らくだけど、ここから逃げた人達に出くわして保護する為にこちらに来るのが遅れているんだよ」

「ニャるほど……。ならもウチらだけで戦うしか無いニャ!」

「そうだね。矢筒買っといて良かったよ。これが終わったらまた買い出しに行かなきゃね」

「ニャ! また行くのかニャ……あの店疲れるからミツだけで行って来るニャ」

「え~」

「それに買いに行かなくても、倒した後に矢を回収すればまた使えるニャ」

「使えるかな?」

「半分は使えるニャ」

「もう半分は?」

「すまんニャ。キラービーの頭を潰すと一緒にウチが折っちゃってるニャ」

「なるほど、おいコラ」

 矢なんて基本使い捨てだと考えていた。
 使い回し……今後矢が補充できなかったりした時の事も考えるとその辺も考えとかないとな。

 カチカチカチ!

「ニャ!」

「プルン! 横に飛べ!」

 ザッ! バシュ!

 ギギッギ!

「敵の攻撃が落ち着いてきたとは言え油断しないでよ」

「ニャハハ。すまんニャすまんニャ」

 そろそろ戦闘に余裕が出来てきた。
 最初の怒涛の攻撃がなくなったおかげでプルンと二人でも対処できてる。
 群れから離れたキラービーは他の冒険者に倒されてるから大丈夫だな。

「敵も考えなしじゃないみたいだね」

「少しづつだけど敵に危機感が出てきたんだニャ」

「それなら敵の攻撃が落ちてる間に攻めるよ!」

「バッチコイニャ!」

「ボッチャま!!!」

 飛んでいるキラービーに矢先を向け、追撃をしようとしたその時、聞こえてくる声の先に二人は視線を向けた。

「っん!」

「ミツ! あれ!」

 それは一匹のキラービーだった。

 しかし、その脚には子供がガッチリと捕まえられていた。
 逃げ出そうと一生懸命に動いてはいるが、子供の力では抜け出すこともできず。
 更には脚の爪が柔らかい子供の体に鋭く刺さっている。

「あれは……ロキア君!」

「え~ん! じ~や! じ~や! 助けて!」

「ボッチャま! どけ、この羽虫ども! ボッチャまに怪我を負わせるとわ!!! 貴様ら一匹残らずその脚を引き千切り、バラバラに引き裂いて死滅させてくれるわ!!!」

 怒涛の勢いとはこの事を示すのだろうか。
 キラービーに捕まってしまったロキアを助けようと、ゼクスが凄い勢いに走ってきた。
 ボッチャまの事になると、本当にヤバイなあの人は……。

「ミツ! どうするニャ! 撃ち落とすニャらウチがキャッチするニャ!」

(あの人の前でロキア君に向かって矢何て撃とう物なら、助かっても後で何言われるか解ったもんじゃない……)

 しかし、このまま放っといたら連れて行かれてしまう。人が成功するか解らないけどやるしか無い。

(スティール!)

 レベルアップした〈スティール〉ユイシスの効果説明を聞く限り大丈夫だと信じ。
 キラービーからまさかの人をスティールしてみた。

 ギギッ! ギギッギギッ!

 キラービーの脚に捕まっていたロキアの姿がシュッど消えた。

「はっ! ボッチャま!」

「グス……ウゥッ……ヒッグッ……!」

 キラービーに掴まれていたロキアを回収することに成功した!

 キラービーの鋭い脚に強く捕まっていたためか、ロキアは腕やお腹、足からは血を流し、あっちこっちに小さな傷をつけていた。

「ニャニャ!」

「おっ、お兄ちゃあぁぁん!!」

「よしよし、大丈夫だったかい、頑張ったね。今回復してあげるからね。ヒールっと。それとロキア君を虐めた奴にお仕置きしないとね。プルン、ちょっとお願い」

 傷も治り、抱えたロキアをプルンに渡し、弓を上向けて構えた。

「ニャ……」

「えーっと、あれだったかな」

 バシュ!

 ギギッギ!

 矢は見事キラービーの頭部に当たり、一発で即死させた。

「よし! ロキア君を虐めた奴を倒したよ」

「うん……ヒッグッ……ありが……ヒッグ……とう」

 嗚咽を出しながらもしっかりとお礼を言える子は凄いと思う。
 本当にスティールが成功してよかった。

「ボッチャま!!」

「じ~や! じ~や! わぁぁぁああ!」

「お~! ボッチャま! 申し訳ございません! 申し訳ございません! 私が側にいながら、貴方様に辛く怖い目に合わせてしまって!」

「だっ、大丈夫ニャ……」

 大泣きしながら大粒の涙を出しながら近づいてくるゼクスに若干プルンが引きながらも、ロキアを渡し無事を伝えた。

「ゼクスさん大丈夫ですよ。服は破けてますけど怪我はしっかりと治してますんで」

「おお! ミツさん! 貴方がボッチャまを!」

「えぇ……」

「しかも二度もボッチャまの怪我を治し……。.いや! 命を救ってくれた事に感謝いたします!」

 一度目は転んだだけじゃん。
 いや、この人にとっては大事なことだろうな……。
 ミツは内心で思いつつ、彼は苦笑を浮かべるしかできなかった。

「無事で良かったですね」

「しかし、どうやってボッチャまをお救いに?」

「よかったニャ。キラービーがこの子を落とさなかったら巣に連れて行かれたところだったニャ」

「そっ……そうなんだよ。ロキア君結構暴れたから、キラービーも落としちゃったんだね。ホント、運良くキャッチできて良かったよ!」

「そうだったんですね。いやはや、いきなりボッチャまの姿が消えたので、私心臓が止まるかと思いましたぞ」

「まだ、キラービーが残ってます、急いで避難してください」

「んっ……ミツさん!」

「っえ……あっ!」

 先程とは違い、いきなりシリアスな顔と声のゼクスに戸惑ったがその意味はすぐに解った。

 ドン! ドーン!

「駄目! もう……もたない!」

「ミーシャ! 頑張って!」

「ミーシャさん!」

「ミーシャ踏ん張れ!」

 ミーシャの作った氷壁の先で、アースベアーが体当たりをしていたのだ。
 触っても痛くない物なら壊す事を考える、その結果ほんの数回の体当たりで氷壁は崩されてしまった。

 ドッガーーン!

「きゃーー」

「うっ!」

「うわっ!」

「ううっ」

 壊された氷壁の先から、ゆっくりと浅瀬を渡ってくるモンスター。
 体は青っぽく茶いラインが入っており、牙は鋭く、獲物を狙う鋭い目、立ち上がる姿は見るだけでも恐怖が襲ってくるようだ。

「あれがアースベアー!」

「大きすぎるニャ……。ミツ……」

「じ~や~」

「大丈夫ですぞ、ボッチャま」

アースベアー 亜種
Lv40。 獣種
土石流Lv5。
土石落としLv5。
岩石砕きLv5。
感覚強化Lv3。
打撃強化Lv5。
攻撃強化Lv5。

 見た目は普通の熊だ。
 しかし、この世界のアースベアーが平均の大きさは解らないが、目の前に現れたアースベアーは2階建ての窓まで届きそうな大きさ。
 アースベアーが現れた途端、周りの冒険者の顔が青ざめていく。

 上にはキラービー数十体、目の前にはアースベアー。
 こんな時なんて言うんだっけか。
 前門の虎、後門の狼だったかな、熊と蜂だけどね。

「ミツさん……ボッチャまを連れ、この場から離れていただけませんか」

「ゼクスさん!」

「ボッチャま……私は最後までボッチャまの為に戦いますぞ……。ミツさん、頼みます……」

(ユイシス、ゼクスさんだけで大丈夫かな……)

《不可能です。元冒険者だけに戦闘の心得はありますが、アースベアーに討伐する力が足りません。また、今回目の前に現れたアースベアーは、通常のアースベアーとは異なり、亜種となります》

(普通とは違うって事だね……。ユイシス、どうしたら良いかな……)

《ミツは心の中では決まっているのでは?》

(フッ……勿論)

「いえ! 自分も手伝います!」

「なっ!」

「ニャ!」

「……ふーっ。君は賢く、優しい子だと今でも私は信じています。だからこそ、君に頼むことを解ってください」

「プルン、ロキア君を避難場まで連れてってくれ」

「ミツさん!」

「ミツ……。解ったニャ」

「お嬢さんまで!」

「失礼ですが、自分はゼクスさんだけではアースベアーの討伐は無理だと思います」

「私には無理ですか……」

 ミツの言葉に、ゼクスの眉がピクリと動く。 

「じ~や」

「ボッチャま大丈夫です……。必ずまた後でお会いできますので、少しの間お待ち下され」

「……うん」

「ありがとうございます。お嬢さん、申し訳ございませんがボッチャまを」

「解ったニャ……」

「プルン、避難場についたらそのままその場で待ってて。ロキア君一人にしたら危ないからね」

「お兄ちゃん……」

「大丈夫、直にゼクスさんと一緒な迎えに来るからね」

「うん」

「〈速度増加〉プルン、行って!」

「ニャ!」

 ロキアを抱えたプルンに支援をかけ直し、直ぐにこの場から離れるように伝えた。
 子供を抱えてるとはいえ、プルンのスピードは戦闘の時と変わらない速さで移動し、プルンの姿は直に見えなくなった。

「ほう、治療魔法だけでは無いのですね」

「ブレッシング、速度増加。ええ、居てもお邪魔にはなりませんよ」

 ゼクスにも支援をかけてお互い万全の状態にする。

「ふむ……。しかし、先程から君はアースベアーに何かをしてるみたいですね」

「気づかれましたか。あれには、威嚇スキル使ってこっちに越させないようにしていました。ロキア君も居ましたからね」

「それはそれは……。ボッチャまのためのお心遣い、誠に感謝いたします」

「ゼクスさんの素がわかりませんね……」

「ホッホッホッ、私はただの執事です。ご主人様のご子息を心配するのは当たり前の事ですよ」

「そうですか。なら、今のうちに謝っときます」

「はて、何をでしょうか?」

「先程ゼクスさんだけじゃ討伐は無理だと言ったことに対してです」

「いや、先程は大人気ない発言をしました……」

「生意気言ってごめんなさい!」

「いえ、本心を言うと私も一人だと無理なのは解っておりました」

「そうなんですか」

「しかし、君とならと思ったのですが、若い君に頼るのもボッチャまの前ではかっこ悪いですからな、ホッホッホッ」

「まんまとハメられた感じです」

名前  『ゼクス・エンブリオ』 人族/58歳
フロールス家執事長
元冒険者
スワッシュバックラー
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ツイストアタック________:Lv9/10。
クレセントスラッシュ___:Lv9/10。
レイピアルクス__________:Lv8/10。
ジャッチメントクロス____:Lv6/10。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 流石元冒険者、ステータスのスキルで大体の強さは解る。

 腰のレイピアを構えたゼクスの顔は優しい爺やさんの顔ではなくなっていた。

「さて、お喋りはこの辺で……」

「はい!」

「行きますぞ!」

 ゼクスと左右に分かれアースベアーを挟み撃ちで攻撃!

「ハッ!」

 シュッ! ガチン!

「ヤッ!」  

 しかし、アースベアーの野生の感であろうか、あっさりと撃った矢は落とされ、後ろから攻撃してきたゼクスの攻撃にカウンターを合わせてきた。

 ザッシュ!

「くっ……」

「ゼクスさん!」

「かすっただけでこの威力ですか……」

「ヒール! 気をつけてください!」

「助かりますぞ。しかし、こんな時に愛刀を持ってないとは……」

「ゼクスさんのメイン武器ってなんですか?」

「そうですな、私は元冒険者をやってたときは【スワッシュバックラー】つまり軽剣士をやっておりましたので今使っているレイピアとかですな」

「それでは駄目なんですか?」

「コレは刃が入っておりません。刺したり、突くことで相手へのダメージとなるのですが……アースベアーの皮膚の硬さゆえ、狙える場所が少ないのです」

「突く……刺す……。あっ!?」

 そうだと思い。
 キラービーのスキルに〈刺す〉があった事を思い出す。
 きっとあれが使えるかもしれないと思い、ミツは上空にいるキラービーを見上げた。

「ミツさんの威嚇のおかげで多少なりともダメージを入れておりますが、決め手にはなりませんね」

「ゼクスさん、ほんの少しだけアースベアーをお願いしてもいいですか?」

「どうされました?」

「あ~、いや……。上のキラービーが気になって、集中できなくて、先にあれを片付けていいですか!」

 自分は上空で警戒しながら飛んでいるキラービーの群れを指差した。
 仲間の半数が撃ち落とされてから戦意喪失してるのか、今ではむやみに襲ってこなくなって来た。

「ホッホッホッ、それはそれは、弓の腕前は失礼ながら先程見させていただきました。ミツさんの腕前ならすぐに終わるでしょう」

「すみません、先に殲滅しとくべきでしたね」

「いえ。本来ならば、ボッチャまに傷をつけたあの羽虫共は私が抹殺するつもりでしたが。ここはミツさんにお譲りいたします」

「あはは……」

(この人、ガチでロキア君関係だとやばい人になるな)

《人という生き物は自分が大切なものを傷つけられると、こうなる物なのでしょうか?》

(現実に目の前にいるからその言葉に否定はできない)

「では、直に終わらせますので」

「はい、おまかせ下さい」

 ゼクスから少し距離を開け、弓をキラービーへと向けた。
 〈即毒〉と〈連射〉のスキルを発動しながらミツは矢を放つ。

 シュ! シュ! シュ! シュ! シュ! シュ! シュ!

《経験により〈フクロウの目Lv3〉〈即毒Lv2〉となりました》

 ボトッ! ボトボト!

 ギギッ! ギギッ!

「よし、スキルのレベルも上がってきた。毒も上手い具合に効いている、即毒を乗せてるから時期に死んでしまう、それまでに」

(スティール!)

《〈刺す〉〈運搬〉〈スピアアタック〉を習得しました》

刺す
・種別:アクティブ
物を刺すときの威力が上がる。

運搬
・種別:パッシブ
物を運ぶスピードが上がる、レベルに応じて荷物の重さを軽減できる。

スピアアタック
・種別:アクティブ
鋭い突きでダメージを与える、レベルに応じて威力が増す。

 〈刺す〉のスキルだけを狙ったのだが他にも手に入ったか。

「連続で行くよ! スティール!」

《経験により〈刺すLv2〉となりました》

「まだまだ! スティール!」

《経験により〈刺すLv3〉〈運搬Lv2〉〈スピアアタックLv2〉となりました》

「他にスキル持ってないの? スティール!」

《経験により〈刺すLv4〉〈運搬Lv3〉となりました》

「ゴブリンの方がスキル豊富だったよ! スティール!」

《〈虫の目〉を習得しました。経験により〈刺すLv5〉〈運搬Lv4〉となりました》

虫の目
・種別:パッシブ
多数の物を一度に判別できるようになる。

「おっ、目シリーズ。地味に使えるんだよねこれ。例えるならトンボみたいな物かな?」

 それから〈刺す〉のスキルが上がりきるまで、ミツは〈スティール〉を繰り返した。

《経験により〈刺すLv10〉〈運搬Lv8〉〈スピアアタックLv6〉〈虫の目Lv3〉となりました》

 目的のスキルの〈刺す〉がMAXになった。
 おまけに他のも上がったから良かった。
 後はいらないから殲滅しよう。
 先ずは矢に〈即毒〉を付けずに撃つ!

 シュッ! バチン!

「ほぉ、たいした腕前をお持ちですな」

 キラービーの体は矢が刺さると同時に矢の勢いで真っ二つに分かれてしまった。

 予想通り〈刺す〉のスキルは弓にも使えた。
 なら次はこれで。

 残りのキラービーを全て〈連射〉〈刺す〉で狙う

 シュ! シュ! シュ! シュ! シュ……。

 バタバタと落ちていくキラービー。

 その姿を遠くから見つめるローゼのパーティ。

「私……。弓職の自信無くしそう……」

「私も、支援自信無くしそうです」

「二人とも、上には上がいるってことよ、受け入れなさい」

「あれだけいたキラービーがもう殆ど残ってないぜ……」

《経験により〈連射Lv3〉〈鷹の目Lv2〉〈小鳥の目Lv2〉となりました》

 矢が当たった殆どのキラービーが一撃で即死している。

 下に落ちてかろうじて生きているのもいるけど正に虫の息、放っといても死んでいくな。

 こうして連射を続けているうちに空に飛んでいたキラービーを全て撃ち落とすことができた。

 勿論周りからの視線が凄いことになっていたが、そんな事よりも今はアースベアーだ。

「おまたせしました!」

「ミツさん、キラービー討伐お見事でした」

「ありがとうございますって! うわわっ! めっちゃ血が出てるじゃないですか!」

 キラービーを殲滅が終わり、ゼクスの方へ近づくと腕や足を爪でやられたのか、ドクドクと血を流していた。

「いやはや、見事な弓さばきに何度か目を奪われまして、よそ見をしていたら良いのを貰ってしまいました」

「ヒール、これで大丈夫です。お願いしといて何ですが、無茶はやめてくださいよ」

「ありがとうございます、これでアースベアーに集中できますな」

「はい……。と言いたいところなんですけど」

「まだ何か?」

「いえ、我儘なこと言ってすみませんが、アースベアーの討伐を自分一人でやらせて頂けませんか」

「ほう……何かお考えでも」

「はい! とっても試したいことがあるんです!」

「いやはや、そのような純粋な目でお願いされては仕方ないですな」

「じゃあ!」

「駄目です」

「なっ!」

「冗談です」

「どっちなんですか!」

「いえいえ、本音では今の私ではトドメを刺すこともできませんからね。ここはよろしくお願いします」

「じゃ、すみません」

「グオオオロロ!!」

「五月蝿い。黙れ……」

 威嚇を感じさせるアースベアーの唸り声、それを〈威嚇〉スキルをかけながら黙らせる。

「!! ……グルルル!」

「そのスキルがあれば大怪我は無いでしょう。私は後ろからフォローを入れますので」

「ありがとうございます」

 自分がいきなりなぜこの様なことを言い出したか、それは気付いてしまったからだ。

 そう、キラービーを200近くも倒したのだから【シーフ】のジョブもMAXになる。

 上位ジョブの【忍者】が解禁されてるのだ。

(さー、ユイシス、忍者に転職だよ!)

《はい、忍者に転職します》
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...