スキル盗んで何が悪い!

大都督

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第49話 洞窟5階層

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 5階層へと進む緩やかな下り道を進む冒険者達。

 辿りついた5階層のフロア。
 そこはジメジメとした空気が流れ、あちらこちらに苔の様な物が光を出す壁に張り付いて光を遮断している、そのせいか通路は若干薄暗い。

 そして何より皆が思った事。


「臭っ! なんだこの臭い、ゾンビとは違ってまた違う臭さだな」

「ニャ~、最悪ニャ~、鼻が曲がるニャ~」

 4階層から下る際に徐々に感じて来た悪臭にも似た臭いだ。

 それはプルン達だけではなく、リティーナやゼリ達も感じてるのだろう。
 リティーナは鼻に拭き物を当て嫌悪感を感じながら眉間にシワを寄せている。


「でも、なんか私この臭いに近い物嗅いだ事あるわ……」

「リッコもですか、ここ迄臭いは無いですけど確かに近い物を嗅いだ記憶が僕にも……」

「そうか? 俺には解かんねぇ、ミツはどうだ?」

「うん、実は自分も嗅いだことある臭いでね、何だったかな……」

 「そこまで臭うか?」

「えっ!」

 そんなミツ達を見てゲイツが気にならないとばかりの発言。
 鼻でも詰まってるんじゃないのかこの人はそう思ったが男性冒険者皆がそんな表情を浮かべていた。

「いや、もしかしたらここに何度も来てるせいで臭いに鼻が慣れちゃったとか?」

「うわ、それ最悪。私だったら耐えれないわ」

「何言ってるんじゃ! ここは洞窟じゃぞ、モンスターの小便や糞の臭いもあるんじゃ、小娘共がギャーギャーと騒ぐな」

「最低発言ね」

「ここ……嫌」

 5階層に来た途端、仲間内で突然の言い合いが始まった。
 仕方ないと思い、匂いに耐えきれない人は布を口に巻いて移動することに

(しかし、やっぱり匂いに慣れちゃってるのかな、ゲイツさん達は気にもせずに歩いてるし。だけど何の臭いだったかな~。食べ物の腐った匂いに近いし、ロウソク見たいな深みのある感じもあるし、あ~なんだか古本屋の匂いとも取れるな。ねぇユイシス、これって何の匂いなの?)

(はい、ミツ達が感じている匂いですが洞窟内のモンスターから発せられている匂いと思われます)

(えっ……モンスターの匂いなの、これ……)

(その階層に生息するスモールオーク。そのモンスターの皮膚から出てくる分泌液が原因です)

(そうなんだ……。ん? つまり体臭かな)

《体臭とは異なりますが、皮膚ガス、詰まり加齢臭に近いものだと例えれば解りやすいかもしれません》

「ぶっ!」

「ミツどうしたニャ?」

「いっ、いや。何でもないよ」

(ははっ、加齢臭って言葉に思わず吹き出してしまった。そうか、何となく嗅いだことあるのは爺ちゃんと一緒に暮らしてた時に嗅いだ事あったからか。リッコ達が嗅いだ事あるって言うのはリッコ達の親って可能性もあるな。あれ? そう考えるとゲイツさん達が気にならないのって……考えるの止めとこう)

 
 進む足取りは重いが皆警戒をしながらの進行。

 そして現れた5階層初のモンスター。
 猪の様に体中を毛が生えており、フゴっフゴっと鳴き声を出しながら近づくは数匹のスモールオークだ。
 手には槍や石斧または弓などの様々な武器を持ち、まるで原始時代を思わせる武器を全てのスモールオークが持っていた。
 

 フゴ、フコッ!


「来たぞ! 豚共だ、限界までひきつけろ!」

「ゲイツ、此方からは仕掛けないの!?」

「お嬢、あいつらはかなり頭が回る。近くに罠を仕掛けてる時もありますから此方からは出来るだけ手を出さないように。それと後に弓を持った奴も見受けられます。特に矢での攻撃には注意を!」

「解ったわ」

「ゲイツさん此方から魔法や弓での攻撃は大丈夫ですか?」

「あぁ、それは構わん。しかし乱戦になると矢は仲間にも当たってしまう事もあるからな、その辺覚えといてくれ。今回は先ず俺達が戦うから二人は流れをそれで掴むんだ」

「解りました」

 ゲイツのアドバイスで二人はコクリと頷く、迫り来るスモールオークに剣を構え迎え撃つゲイツと他の冒険者達。



スモールオーク

Lv20。

罠仕掛  LvMAX。
罠解除  LvMAX。


スモールオーク

Lv18。

獣の目  Lv3。
矢制作  LvMAX。
罠仕掛け LvMAX。
    

 ゲイツが剣を振りスモールオークの持つ武器を粉砕、モンスターは武器も持たなければ自身の爪や牙で戦うしかない。
 しかし、スモールオーク自身の牙は下顎からの鋭い牙はあっても口の上にはそれ程脅威となる牙は無い。
 爪も鋭く危険でもないので武器さえ落とせばスモールオークの攻略は意外と簡単なのかもしれない。
 ただしスモールオークからの漂う臭いだけが強敵なのかもしれない。

「おりゃ!」

 プギャ!!!

 ゲイツに剣を腹部に刺されたスモールオーク。
 断末魔を出しながらまた口からは体臭とは違った悪臭を唾や唾液と共にゲロリンする為にゲイツはすぐ様剣を引き抜きスモールオークを蹴り飛ばした。


「うりゃ!」 「せい!」

 次々と倒されていくスモールオーク、後方に居た弓を持つ敵も前衛があっさりと倒され弓を引く暇も無くバッサリと切り倒されていた。

 戦いに残ったのはスモールオーク数体の亡骸だけだった。


「ふ~、何か楽勝でしたねゲイツの旦那」

「ああ」

 ゲイツは不思議に思っていた、いつもならスモールオークの分厚い肉を斬るのは難しい事だ。
 しかし、今回の戦いではそんな事は無く、何時もの力以上の力で豚の腹を突き刺す事ができたのだ。

 ゲイツだけではなく他の冒険者の数人が自身の力とあっさりと倒せたスモールオークに少し違和感を感じていた。
 
 その違和感の正体。
 それはミツの持つスキルの1つ〈絆の力〉が発動してるからだった。
 スキル効果はパーティーの人数に応じてステータス上昇と対象はパーティー全てに反映する。

 このスキル、他の支援スキルとは違って自身に支援を掛けられたという認識が無いので非常に解り難い。
 その為このスキルを持つ者がパーティーから放れてしまった途端、スキル効果失われ消えてしまう。
 そうすると先程まで倒せたモンスターすら倒せなくなると言う、意外と危険なスキルだった
 その代わり、ミツは偶々一緒に向かっていると言言ってたが、スキルがその場の人数の19人をパーティーだと反応をした為。
 ゲイツ達だけでは無く、荷物運びの人々までもステータスが上昇している状態だった。
 正に諸刃の剣の様に使い方次第では高性能なスキルでもある。


「流石ですね、勉強になります」

「先に武器を狙うのね、解ったわ」

 そんな事が起きてるとは知らず、自分は今のゲイツの動きを流石プロの冒険者と感心しながら観賞していた。


「ミツ」

「ん?」

 名前を呼ばれたと後ろを振り向くと、プルンがちょいちょいと手招きしていた。

 何かと思ったが皆が自分が振り向いた途端に手を合わせたので、能力上昇系スキルを求めてる事が理解できた。

「あ~、そっか。今行くよ」

「ん?」

 突然自分が後衛の方へと歩いていき、リック達五人で円陣を組んでいた事に疑問に思うリティーナ。

 能力上昇系スキルをかけ終わると、自身の身体が一気に軽くなった気持ちになった。

 スキルをかけると自分のステータスがここ迄上がっている。
 なら、リック達は何処まで上がったのだろうと気になり、彼らを鑑定をしてみることにした


名前  『リック』    人族/17歳
性別男 身長175センチ 体重68キロ
ランサーLvMAX
転職可能new
【剣術】
ショートランス ライトシールド 鉄の胸当て

※※※※※※※※※※※※※※※※※※

HP ______91。
MP______14/14。
攻撃力___75+(20)。
守備力___65+(15)。
魔力_____9+(5)。
素早さ___45+(10)。
運 ______21+(10)。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

【ノービス】   Max
【ランサー】   Max

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

シャドームーン___:Lv9/10。
二段突き_________:Lv8/10。
突き落とし_______:Lv6/10。
連撃_____________:Lv6/10。


※父.ベルガー、母.ナシルとの間に産まれた長兄。
魔力は少ないが近接での戦闘を得意とする。
弟はリッケ、妹はリッコ。

 ステータスがかなり上がっているのが解った。
 能力上昇系スキルの効果なのか、基本となる【ノービス】と別に1つジョブをLvMAXにしてこのステータスは凄い。
 ならばリッコもやはり同じ位上がっているだろうと今度はリッコを鑑定してみた


名前  『リッコ』    人族/17歳

性別女 身長155センチ 体重44キロ
B79 /W65/ H85
ウイッチLvMAX
転職可能new
【魔力術】
鉄の杖 魔術師のローブ(紺色)

※※※※※※※※※※※※※※※※※


HP ______61。

MP______128/128。

攻撃力___20+(10)。

守備力___28+(10)。

魔力_____76+(35)。

素早さ___29+(10)。

運 ______39+(10)。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

【ノービス】   Max
【ウィッチ】   Max

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ニードル____________:Lv9/10。
サンドウォール______:Lv9/10。
ファイヤーボール____:Lv9/10。
ファイヤーウォール__:Lv8/10。

※父.ベルガー、母.ナシルとの間に産まれた長女、母の魔力を高く引き継ぎ、生まれながら高い魔力値を備えている。
長兄はリック、次兄はリッケ

 リッコを鑑定後、自分は目を丸くしたまま少し固まってしまった。
 何故にスリーサイズまで表示されるのか……。
 鑑定にて体重まで表示される事は理解はしていた。
 しかし、乙女の秘密がモロバレである。

(これは、神様のイタズラかな……)

 本当はプルンも鑑定を考えていたが、下心を出してはスケベ扱いされるので鑑定控える事とした。

(いや、まぁ~ステータスは気になるけど、あの様子なら上がってるのは間違いなさそうだし。今回は鑑定しなくてもいいかな……)

 ミツの能力上昇系スキル皆が言うおまじないはカナリの効果を出していた。
 事実同じジョブの【エンハンサー】が使用したとしてもここ迄の効果は出ないだろう。
 今のリック達のステータスはミツの〈絆の力〉〈能力上昇系〉スキルこの2つの他に又様々なスキルや運が重なった結果である。


「ありがとよ、ミツ」

「また後でよろしくニャ」

「何だか身体が軽いですね。流石ミツ君のおまじない」

(等々リッケまでおまじないって言っちゃったよ)

「ふ~、気分が良いわ~。おまじない様々ね」

「うっ、うん……」

「どうしたのミツ?」

「いやいや、何でもないよ」

 ぐっと背伸びをするリッコ、先程見てしまったスリーサイズの数値が横切ってしまったのか、自分は少し顔を赤くしてしまった。


「そう……? あんたがそう言うなら良いけど」

「じゃ、自分は前に戻るね」

 皆におまじないをかけると前衛位置へと戻る。
 戻ろうとした時、他の冒険者にはスキルは使わないのかとリックに耳打ちされた。
 だが、ハッキリ言ってまだ自分の中に危機感が取れていないのか、進んで他の人のステータスを上げようとは思ってはいない。
 マムンが死んだ原因はゲイツから聞かされたが、ゲイツが言った事が全て本当の事だと信じるには早いと判断したのだ。
 能力上昇系スキルは目に見えて効果はバツグン。
 それをかけてしまうと自身だけでは無く、プルン達も危険にしてしまう。
 その為、リックにはそのまま伝えると理解してくれたのか「そうか」の一言を言って終わった。


「すみません、さぁ先に進みましょう」

「えぇ、ミツさんは先程皆様と何を?」

 軽く謝罪をしながら戻るとリティーナが先程の自分達の円陣の事を聞いてきた。

 それはそうだ、突然後ろに戻ったと思ったら五人で円陣作って直ぐに戻ってきたのだから何処の熱血集団だと思う。


「えーと……。今のはおまじないですよ」

「おまじない? ですか……」

「はい。この階層でも皆で頑張ろうと言う意味も込めて気合を入れてきました」

「そうですの」

 言ってる事は違うが、自分の思う事は言った事そのままなので嘘ではない。
 前衛に戻ってきたのでゲイツが先へと歩き出した。

「お嬢。モンスターが次出てきた時は先程の戦いを思い出しながら試してみてください。相手の武器を落としその後に仕留める、無理して最初から行っては駄目です。ミツはお嬢の言ったとおり自由に戦って構わん」


「はい、では自分は弓で戦いますね」

「えぇ、解ったわゲイツ。ミツさんよろしくお願いしますね」

「はい」

《ミツ、この先罠が多彩に仕掛けられています、注意して下さい》

(ありがとうユイシス。早くモンスターから罠解除のスキルを貰わないと、特殊スキルの罠発見が欲しいしね)

「止まって下さい。そこの石に気をつけて、それ罠です」

「えっ! これがですの?」

「ほぉ……。お嬢、確かにこれは罠です、外見はただの石が置かれてる様に見えますがギリギリの重さで紐を抑えています。豚共、かなり巧妙に仕掛けてますね」

「ゲイツの旦那離れてくれ、俺が片付ける」

「頼む」

 そう言って一人の冒険者が罠である岩の先に括り付けられた紐を手持ちのナイフで切った。
 その瞬間、岩と岩の隙間から槍が1本勢い良く突き出してきたのだ。
 どうやら槍を撓らせて紐で固定していたようだ。
 
「ひー、危ねえ危ねえ。恐らく冒険者が使っていた武器ですねこれは。豚共、また拾った武器を罠に使ってやがるみたいです」

 スモールオークは罠を作る事はできるが鉄等の精製は勿論できない。フロアに落ちていた武器を使うと言う何ともエコロジーなモンスターだ。

 槍が飛び出した先にまた別の罠がある事を告げる。罠を解除した冒険者は自分の言う場所を一つ一つ解除していった

「流石専門ですわね。あの数の罠が次々と外されてますわ」

「そうですね……」

 ゲイツは本当に凄いのは罠を解除している冒険者ではなく少年の方だと思っていた。
 確かに罠一つ一つを確実に解除している冒険者は凄い、罠一つが冒険者の致命傷になりそうな罠でもあるからだ。
 それを一つでも作動させてしまえば怪我人が出てしまい、先へと進む進行速度は落ちてしまう。
 そこに豚共に攻撃されると怪我人は真っ先にモンスターのターゲットとなり殺られる可能性も出てくるのだから。

 しかし、罠と言う物は事実目の前にしないと解らない物か大半だ。
 ゲイツ自身罠を見つけるのはその罠を発動させてしまう一歩手前が殆ど。
 更には専用のスキルを持っているとしてもだ、その場所を目を凝らしながら見て違和感を感じる程度だと他の冒険者に聞いた事がある。
 だが目の前の少年はそんな素振りもなく、次々とまるで元々罠の場所を知っているかの様に罠の場所を指定している。

 5階層ではモンスターとの戦闘よりもスモールオークの罠が冒険者に取っての1番の厄介物だと言われている。
 だがその厄介な物が未だ一つも発動していない。
 ゲイツは目の前の少年に先程から驚きしか感じていない事に気づき少し自身を鼻で笑った。


「これで、ここの通路は大丈夫ですね」

「おう、坊主に感謝だな」

「いえいえ、いえいえ、自分は解除法が解らないのでこちらこそ助かりました」

「旦那、もう大丈夫ですぜ」

「そうか。お嬢、罠があるという事は近くに豚共が潜んでるに間違いないでしょう、今から誘き出すのでその対応をしてもらいます」

「誘き出すってどうやって?」

「なに簡単ですよ」

 そう言いながらゲイツは冒険者の一人に目線を送りそれを見た冒険者は頷きながら返事をした。


「へい!」   

 そして洞窟奥に向かって耳を塞ぎたくなる程の大きな声を上げだした。


「ぐあぁぁー! 足が足がー! ぎゃあぁぁー! やばいモンスターの罠だー!」

 突如として悲鳴のように叫びだした冒険者。
 すると時間も待たずに奥から続々とスモールオークがやってきたのだ。


「旦那、釣れました」

「んっ、すまんな。お嬢相手は此方が罠に掛かったと油断してます。今のうちに相手の意表をついて素早く殲滅を目標として下さい」

「えぇ! 解ったわ」

 冒険者の知恵だろうか、冒険者が罠に掛かったと思わせてスモールオークを逆に罠にかける策。

 これは言葉を理解できないモンスターだからこそ使える策だろう。
 そうでもなければあんな棒読みの台詞に駆け寄ってくる者はまず居ない。

 スモールオークは近づくと自身達が仕掛けた罠は壊され獲物である人間が誰も怪我をしてないことに気づいた。
 しかし、そんな事よりも目の前に立つリティーナと後方に居る女性冒険者。
 久し振りの、そう、正に自身の欲を満たす為の獲物である対象にスモールオークは高く興奮しはじめた。
 ゲハゲハと不気味な鳴き声を出しヨダレを垂らしながら進む脚は止めずどんどんと近づいてきている。


「ひっ」

 思わず後ずさってしまったリティーナ。
 リティーナの脳内に一瞬荷物運びの女性を目の前で強姦しようとしたマムンの姿が思い浮かんでしまった。
 自身へと向けられたゲスな視線と不気味な鳴き声。
 剣士としてでは無く、女として身体が無意識に危機感を感じてしまったのだろう。

「リティーナ様ここは自分が足止めします。その後皆さんと一緒に倒して下さい」

「あっ、足止めですか……解りましたお願いします!」

 迫り来るスモールオーク、狙いはリティーナと解りやすく、スモールオークはリティーナの方へと走って来ている。
 リティーナの前にスッと立つ、低身長の自分が前に立ったとしてもリティーナの顔は隠れていないのでスモールオークは自分の姿は気にもしなったかもしれない。


(6体か。全てスキルも大して変わらないか。なら、今回は倒してしまっても大丈夫だな)

 指の間に矢を挟め構える。


「先ずは前の数体を、セイッ!」

 弓の弦に流れるように矢を合わせ、スキルの〈連射〉発動。
 少しの時間差はある物の、4本の矢は一本づつスモールオークへの脚に突き刺さった。

 ギャブ! グブッ! ブギャ! ピギャー!

 断末の悲鳴を上げる4体のスモールオーク。
 放った矢は全てスモールオークの膝に命中。
 膝に矢と言う場所は特に厄介な場所だったりする。刺さった矢を直ぐに抜く事もできない場所でありながら、関節部と言う動く事を簡単に止める事のできる場所だからだ。


「見事」

「すっ、凄い!」

「今のうちですぜ旦那!」

「お嬢!」

「はっ、はい!」

 ミツの弓の腕前に見惚れしてしまったリティーナ。
 冒険者の声を聞き、倒れたスモールオークのトドメを刺す為と自身の剣を抜いて駆け出すリティーナとゲイツ。

 自分はそんな倒れたスモールオークの方を見ると、その先から何やらキラリと光る物が見えた。


(ん? あれは)

《注意。スモールオークの弓矢の攻撃です、鏃の先に毒が仕込まれています》

(毒か)

 ユイシスの言葉を聞いて一気に駆け出す。
 〈電光石火〉のスキル効果もあってその足の速さは瞬速だ。

 スモールオークの放った矢は真っ直ぐにリティーナへと向かって居る。
 リティーナ自身倒れたスモールオークに気が行ってしまい、奥に弓を構えたスモールオークの事は後回しと気が向いていなかった。


「んっ! お嬢伏せろ!」

「えっ!?」

 敵へと走り進む際、スモールオークからの弓矢での攻撃が来ることに気づいたゲイツ。
 狙いはリティーナ、直ぐに指示を飛ばすがリティーナにはまだゲイツの言葉に直ぐに反応できる程の判断力は持ち合わせてはいなかった。


 ザッ!

「!?」

「えっ!」

 ゲイツとリティーナは自身も走っていると言うのに突然目の前に現れた少年の姿。

 そして次の瞬間。

 バシッ

「これは返すよ!」

 飛んできた矢の篦の部分を横から掴み、自身の弓でスモールオークに毒付き矢を返却。

 ドスッと眉間に矢が刺さる音と共に即死で亡骸となるスモールオーク。
 

「なっ! すっ、すまん、助かった」

「いえ、まだ奥にもう一体弓を持った奴が居ます、攻撃には気をつけて下さい」

 リティーナを守る為と飛んで来た矢を掴み取る、通常飛んでくる矢を切り落とす事は難しい事では無い。
 それは以前、ゼクスとの模擬戦で彼が見せた技の一つだ。
 剣を持つ者の剣術レベルが高く、技量があり、更には撃つタイミングを見極める判断力があればできるのだから。
 しかし、今回自分が先程やった事はまた条件が違う。
 スモールオークの弓の技量はそれ程でもなくとも、この様な薄暗い洞窟で飛んで来る矢を掴み取ると言う事は不可能に近い。
 と言うか普通は誰もやらないだろう、運が悪ければ自身が怪我をするかもしれないのだから。


「ヒュー 魅せるなー。んっ? 俺達もソロソロ出番かな」

「ニャ! 後ろからも来たニャ」

 自分の動きを後ろから見ていたリック達。
 そんな姿を口笛を吹きながら、観賞しながらも後方から向かってきている数体のスモールオークに気づき皆武器を構えていた。

 敵から挟み撃ちを受けた状態だが先に迫ってきていた数体のスモールオークは既に壊滅状態。
 脚が動かせないスモールオークは体を起こしながら武器を構えるが脅威ではない。
 リティーナの攻撃で手に持つ武器をあっさりと払いのけられると、喉元にリティーナの持つ鋭い剣を突き刺された。

 ブヒャー!

 スモールオークは悲鳴を上げながらも、目の前にいる雌であるリティーナを手にしたいという欲望を曝け出し、自身の震える手を伸ばし掴み取ろうとしていた。

「くっ!」

「お嬢!」

 思わず突き刺した剣を離しそうになってしまったリティーナ。
 そこに横からゲイツの加勢が入りズバッと腕を切り落とされたスモールオーク、最後はショック死と言う形で死亡となった。

「ありがとうゲイツ」

「いえ、お嬢武器を離そうとしたのは減点です。その場は逃げれても次の戦いは死にに行く様なものです。まだお嬢の中にはまだ甘えが見えます、それを捨てない限りはここでいくつ命があっても足りませんな」

「ええ……」

 戦いの中厳しい言葉をかけるもそれはリティーナのこれからの成長を止めない為のゲイツなりの気遣いでもあった。
 事実リティーナは襲われると言う女としての恐怖心を克服できてはいない。
 それを理解しているのか、リティーナはゲイツの言葉一つ一つを反省し、更には自身の目標に変えていった。

(やはり膝に矢程度じゃ瀕死の状態異常にはならないか。麻痺を今度は追加してみるかな)

 前から迫ってきていたスモールオークはほぼ壊滅、弓矢を持った敵も縦を構えながらも迫ってくる冒険者にアッサリと斬り伏せられていた。
 後ろから迫ってきていた方に行こうと振り向いたが、やはり自分が行くことも無く戦いが終わっていくのが目に見えた。

「オリャ! リッコ!」

「解ってるわよ!」

 迫ってきたスモールオーク、弓矢を扱う敵は居なかった為か。
 リックは一体一体にショートランスでの突き刺しの攻撃を与え、敵からの注意を自身に向けていた。
 スモールオークは目の前にいる女性冒険者達の姿を見て興奮しながら近づいてくるも、自身の前に立ち塞がったリックからの攻撃で激怒し、先に忌々しい男であるリックを先に倒してから残った女性を喰らうつもりだった。

 しかし、リックに全てのスモールオークが向かった瞬間、一気に後方に素早く距離を開けるリック。
 その瞬間、リッコの〈ニードル〉で足の動きを奪われたモンスター、動かない豚は只の的でしかない。

 動きを止めた瞬間、ルミタの〈アイスジャベリン〉が一体の胴体を貫き。
 ゼリの弓で放った矢がスモールオークに突き刺さる。
 残った敵はリッコの火玉をくらい毛も残さず真っ黒焦げに焼豚とかした。

「リッコ、矢が勿体無いから火で燃やすのは止めとくニャ」

「あっ、しまった。いつもの癖で燃やしちゃった、ごっ、ごめんね」

 戦いも終わり、リッコは振り向きざまにゼリに矢諸共燃やしてしまった事に謝罪を入れると、ゼリは気にしないでとアッケラカンとすましていた。

 元々この階層では放った矢は全て壊して捨てていくつもりだったらしい、そうしないとまた残った矢をスモールオークが再利用してしまうからだそうだ。


「そうニャ? 何だか勿体無い気もするニャ」

「ま~ね。でもね、大体の矢って敵に当たると何処かしら駄目になっちゃうのよね。下手に壊れた矢を使うよりもう諦めたほうが自身の為にもなるし、それに使ってる矢って私が作った奴だからそんなに耐久性無いのよ。私自身でも解ってるからこそ諦めがつくの」

「ゼリの作る矢……直ぐ壊れる……」

「お手軽に作れる所が良いのよ!」

「小娘共、話しとらんでチャッチャッと豚共の素材をはぎ取らんか」

「オッサン、これ何処取るんだ?」

「坊主、そいつらは肉は臭くて食えねえが牙は金になる。顎を切り落として牙だけ持っていくんだよ」

「うぇ……まじか」

「どうしたのリック?」

 そこへ話し込んでいる皆の姿を見て自分が駆け寄って行く。

「あぁ、ミツか。いや、このモンスターの剥ぎ取り素材が下顎の牙部分でよ、オッサンが切り落とせなんて言うから」

「何言っとる、この豚の牙は両方合わせりゃ銀貨5枚になるんじゃぞ、これだけで宿代にもなるんじゃから必ず回収するんじゃ!」

「いや、それは解るけどよ……なぁ」

「あっ、うん解るよリックの言いたい事は」

 リックが抵抗する理由。
 それは肉を切り裂いて顎を切ることや、血で手が汚れることを嫌がってる訳ではない。
 リックも今迄モンスターを手に持つショートランスで切り裂いたり突き刺して来たのだ。
 今更気持ち悪いとかそんな繊細な感情は無い。

 純粋に。
 そう、純粋に臭いのだ。
 悪臭を漂わせるスモールオークの亡骸はハッキリ言って臭い。
 例えるなら歯を一度も磨いた事もなく、ニンニクや臭いのある物ばかり食べ、なおかつタバコを吸った後の様な口臭がスモールオークの亡骸の口からドロリとした唾液と共に漂うのだ。

 そんな事はお構い無しと男冒険者は慣れた手つきで解体作業を行っていた。
 リティーナもゲイツの指示のもと解体を手伝っている、流石にそんな事までするのかと思ったが解体と共にスモールオークの弱点である関節や首筋の事を説明しながら解体しているので今後の戦闘の為だろう。
 リティーナもゲイツの説明を受けながら、手に持つ剣をどの様に切り込むべきなのかを質問をしている。


「すみません、これって顎以外価値は無いんですか?」

「んっ? いや肉は臭くて食えねえが家畜の餌には一応なるぜ。まぁ、家畜用だから下取りも安いがな」

「では一応お金にはなるんですね」

「ああ。って! まさか坊主これもボックスに入れるつもりか? ってかまだ入るのか!?」

「えぇ、何だったらそのままギルドに渡した方が早いと思うので、えぇ。容量にはまだ余裕がありますし」

「そっ、そうか。本音を言うと解体には時間も少なからずかかっちまうし、荷物運びの奴らにもこんな臭え物を運ばせたくないからな。助かるぜ」

「いえ」

(以前プルンから奴隷差別があるって聞いた事あるけど、何だかこの人達って奴隷の人をそんなに無下にしたりしないよな)

 冒険者の了承の元リックと共にスモールオークの亡骸をアイテムボックスへと収納していく、一人でも良かったけど死んだ振りをしているモンスターもごく稀に居るので油断せずにとの事で二人での作業となった。
 と言っても自分には鑑定があるので、モンスターが亡骸で無かった場合は直ぐに解るんだけどね。


「ねぇねぇ、リッケ君。あの子とはパーティー長いの? それとも臨時の子? それとも誰かの弟さん?」

「彼? あぁ、ミツ君の事ですか。彼は確かにこの洞窟に入る時に以前一緒にモンスターの討伐をしたと言う事で、今回も一緒のパーティーを組む事になったんですよ。まぁ確かにゼリさんの言うとおり臨時のメンバーですね」

 ゼリがグイッとリッケの腕を掴かみながらミツの方を指をさす、その際さり気なく自身の胸を押し当てている、勿論わざとだ。
 それを気にしないとリッケは淡々と話を勧めている。


「あっ、それでも僕達は彼を仲間だと思ってますよ。後、彼は誰の弟でもありません、ライアングルの街に来た旅人ですよ」

「ふ~ん、そうなんだ。彼の持ってる弓って見た感じ誰かのお下がりって感じね」

「ゼリさん解るんですか?」

「勿論、これでも弓職なんだから。それより彼身体の大きさにあってないのに良く使いこなすわね」

「そうなんですか? 大き過ぎるってことですかね」

「えぇ、使ってる本人は悪いけど欲張らずにもう一周り小さい弓を使うべきね。あっ、私が言ったなんて言わないでね、彼の弓の扱いは私より遥かに上だから下から言われると彼が嫌な気分になっちゃうかもしれないし」

「いえ、ミツ君の為のアドバイスですから、彼もそんな嫌な意味には受け取らないですよ。僕からさり気なく言ってみます、ありがとうございますゼリさん」

「ふふ~ん、別にいいのよ~、リッケ君が喜んで貰えるなら~。そうだリッケ君、この洞窟出たら一緒にご飯いかない、助けてもらったお礼もしたいし」

「えっ?」


 スモールオークの回収も終わりフッとリッケの方を見るリック。


「おっ、見てみろよミツ。リッケにもとうとう(到頭)女が寄ってきたぜ、兄として嬉しいね~」

 肩をポンポンと叩きリッケの方を顎で指すリック。


「ホントだ。でもリック、兄として嬉しくても男としてあれはどう思う?」

「羨ましいぜ!」

「正直でよろしい」

 落ち込んでる様子は無いが、そんなふうに堂々と言われるとこっちも清々しいよ。


「しかし、あからさまなアピールしてるのにリッケはなんで反応してねーんだ?」

 傍から見ても今のゼリはリッケに自身をアピールしている。露骨な接触、近すぎる話す距離、尚且つリッケと話すゼリの表情が他の男性冒険者には向けられない笑顔を振りまいていた。
 更にはそんな二人が話す時、ゼリの仲間の女性冒険者やプルン達もあえて二人からは距離を開けている、これは女として恋のゆくえを見守っているのだろうか? いや違う、よくよく見たら女性冒険者皆がニヤニヤ顔やチラチラと二人を見ている、これは単に女として楽しんでいるだけだった。

 だがそんな恋する乙女のゼリには1つ問題があった。

「まぁ~そうだね。リッケの趣味っと言うかタイプがあれじゃん」

「あぁ……そう言えばそうだったな。あの姉ちゃんには残念だけどリッケの理想とは全然違うな」

 二人の頭には4階層のセーフエリアで別れたマネの姿を思い出していた。
 それは今、リッケを自身の身体を使いアピールしているゼリとは違い。
 リッケと然程変わらない身長、引き締まった筋肉、割れた腹筋、日に当てられて焼けた褐色系の肌、モンスターとの戦いでできたであろう無数の傷跡、そんな男から見ても逞しいマネとゼリとでは見た目も性格も全然違う者であった。

 例えるなら甘えてくる飼い犬と野生の狼程の違いだろう。


「所でリックからしたら理想の女性ってどんな人?」

「ん~、俺か……解かんねぇな。俺の周り気の強い女ばっかりだし、その逆じゃねーかな」

「そうなの?」

「ちょっとあんた達、喋ってないでそろそろ行くわよ!」

「ほら、近くに気の強い女代表がいるし」

「なるほど」

「なによ?」

 リックと自分が突然納得したかのような表情、それを見てリッコはキョトンとした顔をするしかなかった。


「何でもねえよ。ほらリッケ、お前らも話してないでそろそろ行くぞ」

「はい! ゼリさんその話はまた今度で」

「あぁ。も~うっ、リッケ君たら!」

 ゼリに掴まれる腕を解き、リックの所に移動するリッケ。

「ゼリ……敗れる」

「まだ敗れてないわよ!」
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