29 / 54
第1章
第28話 意外な訪問者
しおりを挟む
佐野の家を訪れるのは2度目だが、やはり高級ホテルにいるような感覚で、慣れることはなさそうだ。
「お、お邪魔します……」
「なんでそんなに緊張してるの?」
庶民的な住居に住んでいる俺の気持ちなんて、佐野に分かるはずがない。
「今日は、家政婦さんはいるのか?」
「あ、よしえさん?いるけど、俺の部屋には勝手に入ってこないから大丈夫」
佐野の部屋に入ると、広大な窓が目に入った。20畳はあるだろうか、窓からは手入れの行き届いた庭園が見える。ダブルサイズ以上はありそうなベッドが視界の右側に映った。
「……広すぎる。どこに座っていいのか分からん」
「じゃあベッドでエッチしよう」
佐野が後ろから抱きついてきたが、その手を振り払う。
「なぜそうなる。今日は勉強しにきたんだ」
「えー、じゃあ勉強終わったらいい?」
子犬のような潤んだ眸子に見つめられては、断りづらい。
「…………考えておく」
「やったー」
佐野の家に来たら勉強などはかどらないと思っていたが、佐野はしっかり勉強に取り組んでいて、こちらも思った以上にテスト勉強が進んだ。
勉強は他人に教えることで、より習熟する。佐野に聞かれたところは、確かに言われてみれば疑問が生じるところで、佐野に教えることでこちらの勉強にもなった。
佐野は部活動ばかりしているかと思っていたが、質問の内容からして、しっかり勉強している印象を受ける。
「佐野、つかぬことを聞くが…」
「何?」
「前回のテストの順位は把握しているか?」
「え、俺の?……んー分かんない」
そうだと思った。自身の成績に無頓着なのは予想通りだ。
「本棚、見ても良いか?」
「うん」
整頓された佐野のデスクを眺めると、学校のプリントがまとまっている場所がすぐに分かった。
ファイルにまとめられたプリントの中に、前回のテストの順位表があった。
「……17位?!」
「あ、そうだった!俺結構すごくない?」
「ああ、だいぶすごいぞ」
1学年200人いることを考えると、かなりの上位だ。部活動に打ち込んでいるのに、この成績とは。
「惚れ直した?」
「う……ん」
頬に佐野の両手が触れたかと思うと、唇に熱く柔らかな唇が重なった。
「んっ…はぁっ…ぁ…」
互いの唾液を交換するように、舌先が絡み合う。口付けだけで全身がとろけそうだ。
「次のテストは、りょうに教えてもらったからもっと順位上がるかも」
佐野は俺を膝上に乗せ、見上げてきた。見下ろす佐野の顔は、やはり端正で見惚れてしまう。
「……そうだな」
「ねえ、もし順位上がったら何かご褒美くれる?」
「ご褒美?」
「うん。例えば……この体勢でエッチするとか」
「騎乗位ってことか?本当に佐野はセックスが好きだな」
「それは誤解!俺は、りょうが好きなの」
佐野はワイシャツを捲り上げ、腹部に口付けをして俺を抱きしめる。
「大好きだよ、りょう」
「んっ…、俺も…」
佐野の頭ごと抱きしめたその時、バンッと扉が開く音がした。
「おい、名津!俺のジャケット持ってっただろ………ん?誰?」
「ちょっ…佐野!…おい、バカやめろっ」
部屋に人が入ってきたのに、佐野はまだ俺を抱いて首筋に口付けをしている。
「……兄さん、部屋に入るときはノックして」
「俺のジャケット返せよ。今使いたいから」
佐野はため息をついて、俺を膝から椅子に下ろし、クローゼットから衣類を1枚取り出して渡しに行った。
「はい」
「……なあ、あの子、オメガ?」
ドキリとした。佐野家はオメガがすぐ分かる家系なのか?発情期はまだ先だが、俺からフェロモンか何かが出てしまっているのだろうか。
「は?何急に。違うけど」
「ふーん……こんにちは!」
部屋の入り口から声をかけられ、全身に力が入った。
「…お邪魔しています」
立ち上がり、首を垂れて挨拶をした。見上げた顔は、どことなく佐野と似ていて兄弟だとすぐに分かる。佐野を少し大人っぽくした雰囲気で、切長の目が特徴的だ。佐野から愛嬌を引いたような、鋭さを感じる。
「もう良いだろ。行けよ」
「挨拶しただけじゃん。じゃあまたね!」
佐野は、俺を隠すように兄の前に立ちはだかっている。その隙間から手を振ってくる佐野の兄の微笑は、やはり佐野に似ている。
「りょう、ごめんね邪魔が入って。さ、ベッドで続きしよ!」
佐野は俺を抱き上げ、ベッドに連れて行く。
「佐野はお兄さんがいたのか?」
「うん、大学生の兄さんが1人いる。いつも帰り遅いのに、今日はなんか知らないけど居たね」
ベッドに寝かせられると、ピンと張ったシーツからいい香りが漂ってきた。
「さっき、俺のことをオメガだと言っていたが…」
「大丈夫。しつこく言ってきたら、殴る」
佐野の目を見ると、真剣さがあった。
「暴力はやめてくれ」
佐野の左手は俺のワイシャツのボタンを1つ1つ外している。
「兄さんのことはいいから、俺を見て」
覆い被さる佐野が、いつも以上に俺を求めているように見え、抱かれたい気持ちが沸き上がってくるのを感じる。
上から順々に脱がされていく上半身に、佐野の柔らかな口唇が触れる。
「あっ……」
その唇が自身の赤いつぼみに触れると、静電気が起こったような刺激が身体を走る。
「そういえば、りょうは何位だったの?前のテストの結果」
佐野は思い出したかのように、熟れた乳頭を含みながら尋ねてきた。
「んっ……もちろん1位だがっ…あっ…」
「え!?……俺追いつけるかな…?」
すでに主張している屹立を、佐野はスラックスの上から優しく撫で始めた。
「んっ……佐野なら大丈夫だっ…あっ…」
ベルトが緩められ、力の入った屹立が解放された。佐野の舌が這う。
「俺頑張るね」
「しゃぶりながら、話すのやめっ……」
佐野の口腔に、愛液があふれた自身の屹立が消えていった。
「お、お邪魔します……」
「なんでそんなに緊張してるの?」
庶民的な住居に住んでいる俺の気持ちなんて、佐野に分かるはずがない。
「今日は、家政婦さんはいるのか?」
「あ、よしえさん?いるけど、俺の部屋には勝手に入ってこないから大丈夫」
佐野の部屋に入ると、広大な窓が目に入った。20畳はあるだろうか、窓からは手入れの行き届いた庭園が見える。ダブルサイズ以上はありそうなベッドが視界の右側に映った。
「……広すぎる。どこに座っていいのか分からん」
「じゃあベッドでエッチしよう」
佐野が後ろから抱きついてきたが、その手を振り払う。
「なぜそうなる。今日は勉強しにきたんだ」
「えー、じゃあ勉強終わったらいい?」
子犬のような潤んだ眸子に見つめられては、断りづらい。
「…………考えておく」
「やったー」
佐野の家に来たら勉強などはかどらないと思っていたが、佐野はしっかり勉強に取り組んでいて、こちらも思った以上にテスト勉強が進んだ。
勉強は他人に教えることで、より習熟する。佐野に聞かれたところは、確かに言われてみれば疑問が生じるところで、佐野に教えることでこちらの勉強にもなった。
佐野は部活動ばかりしているかと思っていたが、質問の内容からして、しっかり勉強している印象を受ける。
「佐野、つかぬことを聞くが…」
「何?」
「前回のテストの順位は把握しているか?」
「え、俺の?……んー分かんない」
そうだと思った。自身の成績に無頓着なのは予想通りだ。
「本棚、見ても良いか?」
「うん」
整頓された佐野のデスクを眺めると、学校のプリントがまとまっている場所がすぐに分かった。
ファイルにまとめられたプリントの中に、前回のテストの順位表があった。
「……17位?!」
「あ、そうだった!俺結構すごくない?」
「ああ、だいぶすごいぞ」
1学年200人いることを考えると、かなりの上位だ。部活動に打ち込んでいるのに、この成績とは。
「惚れ直した?」
「う……ん」
頬に佐野の両手が触れたかと思うと、唇に熱く柔らかな唇が重なった。
「んっ…はぁっ…ぁ…」
互いの唾液を交換するように、舌先が絡み合う。口付けだけで全身がとろけそうだ。
「次のテストは、りょうに教えてもらったからもっと順位上がるかも」
佐野は俺を膝上に乗せ、見上げてきた。見下ろす佐野の顔は、やはり端正で見惚れてしまう。
「……そうだな」
「ねえ、もし順位上がったら何かご褒美くれる?」
「ご褒美?」
「うん。例えば……この体勢でエッチするとか」
「騎乗位ってことか?本当に佐野はセックスが好きだな」
「それは誤解!俺は、りょうが好きなの」
佐野はワイシャツを捲り上げ、腹部に口付けをして俺を抱きしめる。
「大好きだよ、りょう」
「んっ…、俺も…」
佐野の頭ごと抱きしめたその時、バンッと扉が開く音がした。
「おい、名津!俺のジャケット持ってっただろ………ん?誰?」
「ちょっ…佐野!…おい、バカやめろっ」
部屋に人が入ってきたのに、佐野はまだ俺を抱いて首筋に口付けをしている。
「……兄さん、部屋に入るときはノックして」
「俺のジャケット返せよ。今使いたいから」
佐野はため息をついて、俺を膝から椅子に下ろし、クローゼットから衣類を1枚取り出して渡しに行った。
「はい」
「……なあ、あの子、オメガ?」
ドキリとした。佐野家はオメガがすぐ分かる家系なのか?発情期はまだ先だが、俺からフェロモンか何かが出てしまっているのだろうか。
「は?何急に。違うけど」
「ふーん……こんにちは!」
部屋の入り口から声をかけられ、全身に力が入った。
「…お邪魔しています」
立ち上がり、首を垂れて挨拶をした。見上げた顔は、どことなく佐野と似ていて兄弟だとすぐに分かる。佐野を少し大人っぽくした雰囲気で、切長の目が特徴的だ。佐野から愛嬌を引いたような、鋭さを感じる。
「もう良いだろ。行けよ」
「挨拶しただけじゃん。じゃあまたね!」
佐野は、俺を隠すように兄の前に立ちはだかっている。その隙間から手を振ってくる佐野の兄の微笑は、やはり佐野に似ている。
「りょう、ごめんね邪魔が入って。さ、ベッドで続きしよ!」
佐野は俺を抱き上げ、ベッドに連れて行く。
「佐野はお兄さんがいたのか?」
「うん、大学生の兄さんが1人いる。いつも帰り遅いのに、今日はなんか知らないけど居たね」
ベッドに寝かせられると、ピンと張ったシーツからいい香りが漂ってきた。
「さっき、俺のことをオメガだと言っていたが…」
「大丈夫。しつこく言ってきたら、殴る」
佐野の目を見ると、真剣さがあった。
「暴力はやめてくれ」
佐野の左手は俺のワイシャツのボタンを1つ1つ外している。
「兄さんのことはいいから、俺を見て」
覆い被さる佐野が、いつも以上に俺を求めているように見え、抱かれたい気持ちが沸き上がってくるのを感じる。
上から順々に脱がされていく上半身に、佐野の柔らかな口唇が触れる。
「あっ……」
その唇が自身の赤いつぼみに触れると、静電気が起こったような刺激が身体を走る。
「そういえば、りょうは何位だったの?前のテストの結果」
佐野は思い出したかのように、熟れた乳頭を含みながら尋ねてきた。
「んっ……もちろん1位だがっ…あっ…」
「え!?……俺追いつけるかな…?」
すでに主張している屹立を、佐野はスラックスの上から優しく撫で始めた。
「んっ……佐野なら大丈夫だっ…あっ…」
ベルトが緩められ、力の入った屹立が解放された。佐野の舌が這う。
「俺頑張るね」
「しゃぶりながら、話すのやめっ……」
佐野の口腔に、愛液があふれた自身の屹立が消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる