自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥

文字の大きさ
28 / 49
第4章 一泊二日の大阪旅行は行く先々でハプニングだらけ

第27話 夫婦になるんだから左手薬指に指輪をはめるくらい普通だと思うけど?

しおりを挟む
 特に何事も無く一夜を過ごした俺達はラブホテルを後にして大阪観光を開始していた。現在は浪速区にある繁華街に来ている。通空閣という展望塔があったり商店街が広がっているため中々賑やかだ。

「やっぱり大阪と言えば串カツだよな」

「ソースが美味しいから禁止って分かっててもついつい二度漬けしたくなっちゃう」

 俺とアリスは串カツを食べながら商店街の中をあちこち歩き回っていた。通路が非常に狭い事からかつては軍艦横丁と呼ばれた時期もあったらしいが、かえってそれが活気を醸し出している。

「このレトロ雰囲気がなんか良いな、ちょっとどこか懐かしい感じがするしさ」

「二十一世紀生まれの私達が懐かしいって感じるのは変な気もするけどね」

「それは確かに」

 俺達が生まれる前の時代である二十世紀っぽい雰囲気が出ているこの商店街を懐かしいと感じるのはよくよく考えたらおかしいに違いない。

「あっ、見て見て拓馬。弓道場があるよ」

「本当だ、結構人が入ってるから人気っぽいな」

 外国人観光客や家族連れ、カップルなど多くの人で賑わっている様子だ。入り口の近くに設置されていた看板には千円で弓道体験が出来ると書いてあった。

「せっかくだから私達もやっていかない?」

「そうだな。弓道体験なんか中々出来ないし、やってみようか」

 俺とアリスはお金を払って順番を待ちながら弓矢を射る様子を眺め始める。上手く的に当てられている人は少数であり、かなり苦戦している様子だ。

「結構難しそう、的に当てられるかな……?」

「俺達みたいな素人がいきなり的に当てるのは無理な気がする」

 二人でそんな会話をしているうちに俺達の番がやってきた。スタッフから弓の引き方を教えて貰った後、試しに一本矢を射る。

「予想通りめちゃくちゃ難しい」

「全然思ったように矢が飛んでくれないね」

 それから試行錯誤しながら矢を射続け、僅かながら的にも当たるようになってきた。的に当たった時はめちゃくちゃ爽快だ。

「もし次に射る最後の矢を的に当てられたらお願いを一つ聞いてくれない?」

「もし当てられたらな」

「よし、絶対当てるから。その言葉忘れないでね」

 多分無理だと思って軽く答えた俺だったが、もし本当に当てたらどうしよう。アリスの事だから絶対無茶な事を言ってくるに違いない。
 ドキドキしながら隣で見守る俺だったが、なんとアリスの放った矢は的のど真ん中に見事命中してしまった。

「やったー、当たったよ」

「おい、マジか!?」

「私って昔から本番に強いんだよね」

 アリスはそう口にしながらニコニコしているわけだが、いくらなんでも本番に強すぎでは無いだろうか。今までわざと手を抜いていたのではないかと思うほどだ。
 それから道場を後にした俺達は二人で引き続き商店街を回り、しばらくしてから休憩でレトロな雰囲気のカフェに入った。

「じゃあ約束通りお願いを聞いて貰おうかな」

「分かったよ、男に二言は無い。それで俺は何をやればいいんだ?」

「とりあえずこれを受け取って中を開けて見て」

 そう言い終わったアリスは鞄の中から正方形の小さなケースを取り出して俺に差し出してきた。嫌な予感がしつつも言われた通りに受け取ってケースを開ける。
 ケースの中にはデザインが同じ色違いの指輪が二つ入っていた。よくよく見ると内側にはTakuma&Aliceという刻印まで入っている。

「拓馬にはこれからこのペアリングをはめて生活して貰うから」

「はめて生活しろって、ひょっとしてこれから毎日か?」

「うん、私の許可なく外しちゃダメだよ」

 どうやらアリスは俺に四六時中ペアリングをはめさせる気のようだ。一応うちの高校は制服さえ着ていれば髪染めやアクセサリーの着用が許可されている。
 だからその辺りに関しては全く心配無いが、学校でペアリングなんかはめていたら絶対目立ってしまうに違いない。

「……せめて学校の時だけは許してくれないか?」

「えっ、嫌だけど」

「そこを何とか……」

「男に二言は無いんじゃなかったっけ?」

 悪そうな笑みを浮かべながらそう口にするアリスに俺は何も言えなくなってしまった。アリスのお願いを一つ聞くという約束を一度してしまった以上、反故にする事は俺の信念に反する。

「……ったく、分かったよ」

「じゃあせっかくだし、私がはめてあげる」

 アリスは俺の左手をそっと掴むと薬指に銀色の指輪をはめてきた。そしてそのままケースの中に残っていた金色の指輪をアリスは同じように左手薬指にはめる。

「いやいや、左手の薬指に指輪ってどう考えても結婚指輪と勘違いされそうじゃん」

「夫婦になるんだから左手薬指に指輪をはめるくらい普通だと思うけど?」

 毎度お馴染みのトンデモ理論を平然と口にするアリスにもはや俺は諦めるしかなかった。どうせ抵抗しても無駄だし。
 夏休み期間中の今はそんなに問題無いが、学校が始まったらクラスメイト達からの好奇の視線に晒されるに違いない。今後の事を考えると今から色々憂鬱で仕方なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2025.12.18)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする

エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》  16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。  告白されて付き合うのは2か月後。  それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。  3人のサブヒロインもまた曲者揃い。  猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。  この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?  もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!  5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生! ※カクヨム、小説家になろうでも連載中!

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

処理中です...