33 / 49
第5章 ぼっちの俺がリア充みたいな夏休みを過ごしてるのは気のせいか?
第32話 婚姻届に拓馬のサインと判子をくれるなら考えてあげても良いけど?
しおりを挟む
「あっ、拓馬見て見て。始まったよ」
二人で芝生に座って夜空を見上げて待っていると花火大会の開始時間になった瞬間、一発の花火が打ち上げられた。
それを皮切りに花火が夜空に次々と打ち上げられ、色とりどりの光とともに破裂するような短い音が鳴り響く。
「やっぱり花火はいつ見ても綺麗だな」
「うん、これぞ日本の夏って感じだよね」
俺とアリスは二人で寄り添って夜空で咲き誇る花火を見つめている。色鮮やかな閃光を夜空へ撒き散らして消えていく花火は本当に美しかった。
「……そう言えば今日の花火って何発打ち上がるんだろう?」
「確か一万三千発だった気がするよ」
「へー、そんなに打ち上げるのか。ならしばらく楽しめるな」
「うん、せっかく来たんだから最後まで楽しまないと勿体ないよね」
俺とアリスは二人してかなりはしゃいでいる。やっぱり花火は何歳になってもワクワクするものだ。しばらく夜空を眺めていると隣に座っていたアリスがニヤニヤしながら口を開く。
「ねえ、拓馬。私に何か言う事があるんじゃないの?」
「……もう何があっても絶対に言わないぞ」
アリスが性懲りも無くまた例の台詞を言わさせようとしているのを聞いて俺は即座に拒否をした。流石に何度も同じ手には引っかからない。
「えー、別に良いじゃん」
「また勝手にプロポーズの台詞って事にされても困るからな」
もう既に色々と手遅れになっているような気もするがせめてもの抵抗だ。
「まあ良いよ、この間のやつは永久保存版としてしっかり録音してあるし」
「えっ!?」
全然気づかなかったがどうやらアリスはこっそりと録音していたらしい。
「ちなみに消してくれたりとかは……?」
「婚姻届に拓馬のサインと判子をくれるなら考えてあげても良いけど?」
うん、無理だ。もはや諦めるという選択肢しか取れそうにない。口は災いの元だと今更になって認識させられる俺だったが気付くのがあまりにも遅すぎたようだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
二人で一緒に花火を見続けているうちに気付けば一時間半が経過した。会場内には花火大会終了のアナウンスが流れ始めている。
「あっという間だったね」
「ああ、もう終わりかって感じだったもんな」
俺とアリスはそんな話をしながら道を駅に向かって歩いていた。後は家に帰るだけというタイミングで問題が発生する。
「きゃっ!?」
なんとアリスがバランスを崩して転けそうになってしまったのだ。普段は履き慣れていない下駄が原因かもしれない。
幸いな事に俺が横から抱き止めたため転びはしなかったが、足首を挫いてしまったらしく痛そうな表情を浮かべている。
「歩けそうか?」
「……ごめん、ちょっとすぐには動けそうにない」
「そうか、なら俺の背中に乗ってけ」
俺はしゃがんでおんぶする体制になった。するとアリスは意外そうな表情を浮かべる。
「まさか拓馬が自主的にそんな事をしてくれるなんて思ってなかったよ」
「流石にアリスをここに置き去りになんて出来ないからな」
「じゃあ遠慮なく」
アリスが俺の背中に乗ったのを確認してゆっくりと立ち上がる。周りからジロジロと見られているがそんなの関係ない。
「なあ、この近くにコンビニってあるか?」
「えっと……北の方向に向かって少し進んだところに一つあるね」
「オッケー、コンビニで応急処置に使えそうなものを買うからナビよろしく」
「任せて」
スマホの地図アプリでコンビニを探して貰った俺は、アリスの案内で目的地を目指して歩き始める。
「……ねえ拓馬、私重くない?」
「心配しなくても全然重くないぞ」
「良かった、重いって言われたら流石の私でもショックだったからさ」
「むしろ俺と身長ほとんど変わらないにしては軽すぎる気がするくらいだ」
アリスは十七歳女性の平均身長を大幅に超えているのに体重に関しては多分平均くらいしかないのではないだろうか。そんな事を思いながら歩いているうちにコンビニに到着した。
「じゃあアリスはここで待っててくれ、すぐ戻るから」
「いってらっしゃい」
俺はアリスを入り口の横に降ろすとコンビニに入る。そして医療品などが陳列された棚から湿布とテーピングテープを購入してアリスの元へと戻った。
「湿布を貼ってテーピングすれば痛みは今よりマシになると思うから。少しの間じっとしててくれ」
俺は患部に湿布を貼り丁寧にテーピングしていく。テーピングは保健体育の時間にやり方を習っていたため問題無くできた。
「ありがとう、拓馬のおかげでだいぶ良くなったよ」
「一人で歩けるか?」
「もし歩けないって言ったらお姫様抱っこしてくれる?」
「うん、訳の分からない軽口を叩けるくらいだからもう大丈夫そうだな」
アリスの顔からさっきまでの痛そうな表情が消え失せている事がなによりの証拠だ。
「あー、今度はお腹が痛くなってきた気がする。拓馬がお姫様抱っこしてくれたら治るかも」
「棒読みで明らかにバレバレの嘘をつくのは辞めろ、それ以上言うなら置いて帰るぞ」
「もう、拓馬のケチ」
その後は特に何事も無く家に帰るのだった。ちなみにアリスがその後もしつこくお姫様抱っこを求めてきたため、仕方なく一回だけしたのはまた別の話だ。
二人で芝生に座って夜空を見上げて待っていると花火大会の開始時間になった瞬間、一発の花火が打ち上げられた。
それを皮切りに花火が夜空に次々と打ち上げられ、色とりどりの光とともに破裂するような短い音が鳴り響く。
「やっぱり花火はいつ見ても綺麗だな」
「うん、これぞ日本の夏って感じだよね」
俺とアリスは二人で寄り添って夜空で咲き誇る花火を見つめている。色鮮やかな閃光を夜空へ撒き散らして消えていく花火は本当に美しかった。
「……そう言えば今日の花火って何発打ち上がるんだろう?」
「確か一万三千発だった気がするよ」
「へー、そんなに打ち上げるのか。ならしばらく楽しめるな」
「うん、せっかく来たんだから最後まで楽しまないと勿体ないよね」
俺とアリスは二人してかなりはしゃいでいる。やっぱり花火は何歳になってもワクワクするものだ。しばらく夜空を眺めていると隣に座っていたアリスがニヤニヤしながら口を開く。
「ねえ、拓馬。私に何か言う事があるんじゃないの?」
「……もう何があっても絶対に言わないぞ」
アリスが性懲りも無くまた例の台詞を言わさせようとしているのを聞いて俺は即座に拒否をした。流石に何度も同じ手には引っかからない。
「えー、別に良いじゃん」
「また勝手にプロポーズの台詞って事にされても困るからな」
もう既に色々と手遅れになっているような気もするがせめてもの抵抗だ。
「まあ良いよ、この間のやつは永久保存版としてしっかり録音してあるし」
「えっ!?」
全然気づかなかったがどうやらアリスはこっそりと録音していたらしい。
「ちなみに消してくれたりとかは……?」
「婚姻届に拓馬のサインと判子をくれるなら考えてあげても良いけど?」
うん、無理だ。もはや諦めるという選択肢しか取れそうにない。口は災いの元だと今更になって認識させられる俺だったが気付くのがあまりにも遅すぎたようだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
二人で一緒に花火を見続けているうちに気付けば一時間半が経過した。会場内には花火大会終了のアナウンスが流れ始めている。
「あっという間だったね」
「ああ、もう終わりかって感じだったもんな」
俺とアリスはそんな話をしながら道を駅に向かって歩いていた。後は家に帰るだけというタイミングで問題が発生する。
「きゃっ!?」
なんとアリスがバランスを崩して転けそうになってしまったのだ。普段は履き慣れていない下駄が原因かもしれない。
幸いな事に俺が横から抱き止めたため転びはしなかったが、足首を挫いてしまったらしく痛そうな表情を浮かべている。
「歩けそうか?」
「……ごめん、ちょっとすぐには動けそうにない」
「そうか、なら俺の背中に乗ってけ」
俺はしゃがんでおんぶする体制になった。するとアリスは意外そうな表情を浮かべる。
「まさか拓馬が自主的にそんな事をしてくれるなんて思ってなかったよ」
「流石にアリスをここに置き去りになんて出来ないからな」
「じゃあ遠慮なく」
アリスが俺の背中に乗ったのを確認してゆっくりと立ち上がる。周りからジロジロと見られているがそんなの関係ない。
「なあ、この近くにコンビニってあるか?」
「えっと……北の方向に向かって少し進んだところに一つあるね」
「オッケー、コンビニで応急処置に使えそうなものを買うからナビよろしく」
「任せて」
スマホの地図アプリでコンビニを探して貰った俺は、アリスの案内で目的地を目指して歩き始める。
「……ねえ拓馬、私重くない?」
「心配しなくても全然重くないぞ」
「良かった、重いって言われたら流石の私でもショックだったからさ」
「むしろ俺と身長ほとんど変わらないにしては軽すぎる気がするくらいだ」
アリスは十七歳女性の平均身長を大幅に超えているのに体重に関しては多分平均くらいしかないのではないだろうか。そんな事を思いながら歩いているうちにコンビニに到着した。
「じゃあアリスはここで待っててくれ、すぐ戻るから」
「いってらっしゃい」
俺はアリスを入り口の横に降ろすとコンビニに入る。そして医療品などが陳列された棚から湿布とテーピングテープを購入してアリスの元へと戻った。
「湿布を貼ってテーピングすれば痛みは今よりマシになると思うから。少しの間じっとしててくれ」
俺は患部に湿布を貼り丁寧にテーピングしていく。テーピングは保健体育の時間にやり方を習っていたため問題無くできた。
「ありがとう、拓馬のおかげでだいぶ良くなったよ」
「一人で歩けるか?」
「もし歩けないって言ったらお姫様抱っこしてくれる?」
「うん、訳の分からない軽口を叩けるくらいだからもう大丈夫そうだな」
アリスの顔からさっきまでの痛そうな表情が消え失せている事がなによりの証拠だ。
「あー、今度はお腹が痛くなってきた気がする。拓馬がお姫様抱っこしてくれたら治るかも」
「棒読みで明らかにバレバレの嘘をつくのは辞めろ、それ以上言うなら置いて帰るぞ」
「もう、拓馬のケチ」
その後は特に何事も無く家に帰るのだった。ちなみにアリスがその後もしつこくお姫様抱っこを求めてきたため、仕方なく一回だけしたのはまた別の話だ。
0
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~
桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。
高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。
見知らずの後輩である自分になぜと思った。
でも、ふりならいいかと快諾する。
すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる