自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥

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第5章 ぼっちの俺がリア充みたいな夏休みを過ごしてるのは気のせいか?

第31話 あっ、ひょっとして私がチョコバナナ食べてる姿を見てエッチな想像でもしちゃった?

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 浴衣を買いに行ったりカラオケをして遊んでからあっという間に一夜が明け、ついに花火大会の当日となった。

「やっぱりお祭りとか花火大会って言ったら屋台だよな」

「うん、半分はそれ目的みたいなところはあるよね」

 開始時間よりも前に会場に到着した俺達はあちこち屋台で食べ歩きをしながら花火が始まるのを待っている。

「次は何が食べたい?」

「うーん、さっきたこ焼きを食べたから私的に次は甘いものがいいかな」

「甘いものか、色々あるから正直悩む」

 そんな事を話しながらしばらく歩いているとチョコバナナの屋台が目に入ってきた。近づくにつれて甘い匂いが漂ってくるため思いっきり食欲をそそられてしまう。

「美味しそうだね、チョコバナナが食べたくなってきたな」

「ちょうど俺も同じ事を思ってた」

「じゃあ次はチョコバナナにしよう」

 早速屋台でチョコバナナを購入した俺達は芝生に座って食べ始める。普通に食べる俺に対してアリスはバナナを舐めわますように口に入れていた。その姿が妙に色っぽくて変な気分になりそうだ。

「なんかちょっと顔が赤い気がするけど一体どうしたの?」

「……何でもないから気にするな」

「あっ、ひょっとして私がチョコバナナ食べてる姿を見てエッチな想像でもしちゃった?」

「ち、違うから」

 俺はそう言って慌てて誤魔化そうとする。だがアリスにはバレバレだったらしい。

「やっぱり拓馬も男の子だもんね、エッチな想像くらい普通だよ。こういうシチュエーションのエロ漫画も持ってたくらいだし」

「頼むからもう許してくれ」

 アリスが容赦なく傷口に塩を塗ってくるせいで、俺は恥ずかし過ぎて消えてなくなりたい気持ちにさせられていた。

「あんまり虐めすぎるのも可哀想だからこのくらいにしといてあげるよ。それよりそろそろお腹も結構膨れてきたし次は何かして遊ばない?」

「……そうだな、花火までもう少し時間もあるしそうするか」

 金魚すくいやヨーヨー釣り、射的の屋台も見かけたため、時間をつぶすにはちょうどいいはずだ。それから少ししてヨーヨー釣りの屋台を見つけた俺達は二人でやり始める。
 俺は昔からお祭りなどでヨーヨー釣りをよくやっていたので問題無く釣れていたが、意外な事にアリスはかなり苦戦してる様子だった。海外暮らしが長いと言っていたためもしかしたら初めてなのかもしれない。

「ねえ拓馬、どうやったら上手く釣れるの……?」

「こよりを短めに持って水に濡らさないようにしながら風船とゴムの接続部を狙えば上手く行くと思うぞ」

「そうなんだ、それでやってみるね」

 俺からコツを聞いたアリスは再びヨーヨーを釣り始めるが、今度は上手く釣れていた。

「やった、拓馬取れたよ」

「良かったな」

 アリスは満面の笑みを浮かべてまるで子供のように喜んでいる。同い年とは思えないくらいハイスペックなアリスだが、やっぱり普通の女の子らしい一面もあるようだ。
 そろそろ花火が始まる時間になるため移動をしようとしていると突然後ろから誰かに声をかけられる。

「もしかしてアリス?」

 後ろを振り返るとそこにはクラスの陽キャグループのメンバーがいた。偶然彼らも板橋区の花火大会に来ていたらしい。

「あっ、やっぱりアリスだ」

「久しぶり、元気だった?」

「こんなところで会うなんてめちゃくちゃ奇遇じゃん」

「なんかテンション上がってくるわ」

 教室にいる時と変わらないハイテンションでそう話しかけてきた。

「こんばんは、私と拓馬は見ての通りデート中だからまた今度話そう」

「えー、せっかくだし俺達と一緒に行こうぜ」

「うんうん、大勢の方が絶対楽しいよ」

「黒月君も一緒でいいからさ」

 以前カラオケに誘ってきた時と同様相変わらず強引な彼らだったが、その中の一人がとある事に気づいて口を開く。

「アリスちゃんその左手に着けてる指輪どうしたの?」

 どうやらアリスが左手薬指に着けていた金色のペアリングが気になったらしい。するとアリスはニヤッとした表情を浮かべてとんでもない事を口にする。

「ああこれは拓馬から私への婚約指輪だよ、先日プロポーズされたから」

「えっ!?」

 陽キャグループのメンバー達は次々に驚きの声をあげ始めているが、一番驚いているのは多分俺に違いない。一体俺がいつアリスにプロポーズしたというのだろうか。

「大阪にあるハルカス60の展望台でプロポーズされたんだよね。夜景よりアリスの方がずっと綺麗だ、他の誰のものにもしたくないって言われてさ」

 いやいや、実質アリスに言わされて口にしただけでプロポーズする気なんて全く無かったぞ。てか、そもそもその指輪はペアリングで婚約指輪ではないだろ。

「そっか、じゃあ二人を邪魔するのも悪いし私達はいくね」

「式には呼んでくれよ」

「アリスちゃん、また学校で会おうね」

 そう言い残すと陽キャグループのメンバー達は俺達の前から立ち去って行った。

「これで一件落着だね」

「どこがだよ、絶対変な誤解されただろ」

「別に今更でしょ、クラス内でも既に拓馬の妻ってキャラクターが定着してるし」

「それはそうかもしれないけどさ……」

 あいつらは口が軽そうだから絶対言いふらしまくるに違いない。俺がアリスにプロポーズしたという事実無根の噂が学校中に広まるのは時間の問題だ。

「それよりそろそろ花火始まるみたいだよ」

「……ああ」

 ただでさえ休み明け学校へ行くのが憂鬱だったと言うのに、ますます行きたくなくなってしまった。
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