天の川の落としもの

斉藤 延廣

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『 天の川の落としもの 』

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 夜の町、そこにはところどころ竹が置かれ短冊がつけられている。
 空から何かが落ちて来る。



「わぁ~~~・・・・・・・・・!」



 地上に落ちてくると気を失って倒れる。
 その姿は帽子にマントを身につけた妖精。

 日が昇ると何かを探しながら歩く星の少女(星羅)。
「確かこの辺だと思ったけど、姉ちゃんまた墜落しちゃったし大丈夫かな?」
 しばらく歩いていると星羅は倒れている人を見かける。 例の妖精。
「姉ちゃんじゃないけど。 ねえ大丈夫?」
 妖精はハッと気づくと起き上がるが星羅と頭がぶつかる。 そして再び倒れる。
「いてて・・・、 だから二度寝しないで!」
 妖精はちゃんと起きる。
「ねえ、今日って何日?」
「えっと、 ここでは確か7月7日かな。」
「ほんと!? まずい早く戻らないと。」
「どこに?」

 空から声がする。 その姿はまるで鳥がモチーフのバレリーナ(夏の大三角形)。

「 あなたが戻れるようにするには地上で人々の願いごとを叶えなくてはなりません。
 願いごとの数はお腹にある絵馬の通り、がんばってね。 」

 妖精はスカートのベルト部分にある絵馬に気づく。 そこには“ 一〇〇 ”と書いてある。
「え? これ?」
「話がよく見えないんだけど。」
「とにかく、私は空へ戻らなきゃいけないの。」
「願いごとがどうのって言ってたね、それじゃあ私も姉ちゃんが見つかるまで手伝うからさ。 私は星羅。」
「私? えーっと・・・・・・」
 指差しながら言う。
「天の川! ・・・から落ちて来たの。」
「じゃあ、天ノ川ちゃんだね。」
「このままじゃ織姫様と彦星様が・・・」
「え、でも天の川がなければ会えるんじゃ。」
「ダメなんだよ。 私がいないと二人は会うことすらできないんだから。」
 天ノ川ちゃんのマントについていた短冊が光るとそれを見る。 そこには人々の願いごとが書いてある。
「とにかく願いごとを叶えないと、夜になる前に。」

 道を歩く天ノ川ちゃんと星羅。
 短冊を見る。

[世界平和]
[生涯お金や不安のない生活]
[私より幸せなやつらがみな消滅]


「・・・・・・。   すぐに叶えられないものはなしで。」

[犬の散歩をしてほしい]

 老人の家に来る二人。
「お邪魔します。 おじいちゃん困ってるの?」
「急に足腰がおかしくなってな、ついでにエサも頼めるかのう。」

 犬を連れて歩く天ノ川ちゃんにスコップと袋を持った星羅。
「とても元気だね。」
「でも、なによりだよ。」
 散歩の途中で小学生くらいの少女達と会う。
「かわいいね。」
「ちょっとなでさせて。」
 マントについていた短冊が光る。

[かわいいものを見たい]
[もふもふしたい]

「・・・・・・。」

 言う前に女子は連れていた犬をなでたり触ったりする。

 老人宅に戻ると二人は庭でエサをあげる。
「天ノ川ちゃん、絵馬!」
 絵馬の数字は少し減っている。
「なるほど、短冊にかけるものじゃなくても小さなことでも願いなんだ。」

 老人宅をあとにする二人。
 短冊が光ると見る。

[宿題がわからない]

 少年が自分の部屋の机で困っている。
「僕ってどっちかというとスポーツなら得意なんだけど、難しい数式になるとどうしても・・・」
 内容は図形の問題。
「それじゃあ星座って分かる?」
「知らない。」
「う~ん、じゃあ・・・、野球かサッカーのコートに置き換えてみたら・・・ 」
 天ノ川ちゃんが教えてる時にジュースやお菓子の差し入れをする星羅。

 なんとか終わり再び外の道。
「一つしか叶わなかったね。」
「まあしょうがないよそこは。
 えーっと次は・・・」

「ねえお二人さん。」
 そこにガラの悪そうな少年達が来る。
「なんだよその格好?」
「恥ずかしくないの?」
「あ、よくあるコスプレってやつだ。」
「あの、私達急いでるんだけど。」
「なんだよ、ちょっとぐらいいいだろ。」
「遊んでよ。」
 少年達は二人の体を触る。
「わっ!? やめて・・・」
 少年の一人が天ノ川ちゃんのスカートをめくる。
 中からまばゆい光が出てくる。
「ぎゃ~!! 目がチカチカする~!!」
「行くよ星羅ちゃん。」
 少年達が目を押さえて苦しんでいる間に天ノ川ちゃんは星羅の手を引っ張って去る。

[境内の掃除をしなきゃいけないのに]

 神社、住まいで巫女は苦しみながら寝込む。
「悪いけどお願いできるかしら?」
「熱でもあるの?」
「いや、この時期 」
 天ノ川ちゃんと星羅は巫女の頭に羽が生えてるのを見る。
「これよ、生え替わりになると急に体がだるくなるの。」
「もしかして巫女さん、人間じゃないの?」
「私は人よ!」
「まさか鳥アレルギーってことはないよね?」
「食べ過ぎたらこうなるわけ?」

 二人はほうきを持って掃いていると参拝者が来る。
「あら、見かけない子達ね。」
「いまお手伝いしてます、巫女さんは体調がよくないから。」
「奉納したいものがあるけどいいかな?」
「あ、代わりに預かりますよ。」
「ついでに舞もいい?」
「え?」


 天ノ川ちゃんと星羅はよく分からないまま即興で物を持って踊る。


 そして神社をあとにして歩く二人。
「ねえあんた達。」
 そこに例の少年達。
 今度はサングラスをしている。
「だから、いま君達に構ってられないから。」
「さっきはよくもやってくれたな。」
「遊ぼうと思ったけど気が変わった。 いけない姿にしてやる。」
 少年達が襲いかかろうとした時に謎の人物がやって来る。
 回し蹴りのように足を振ると強い風が起きて少年達は吹き飛ばされる。

「大丈夫?」
「あ、姉ちゃん!」
 二人を助けたのは流子(星羅の姉)。
「また墜落したみたいだけど姉ちゃんこそ大丈夫なの?」
「いつもそんなヘマはしないわよ。 落ちる寸前で服に仕込んでた瞬間的に膨らむエアバッグでなんとかできたから。
 それじゃあ星羅、戻るわよ。」
「あ、待って! それなら天ノ川ちゃんも一緒に返してあげたいの。」
「あら、君も空から?」
「はい。 でも、私はみんなの願いを叶えないと戻れないみたいなの。」
「だんだん日が沈んできたし、残りも数少ないから姉ちゃんも一緒に手伝って。」

[家のことをしたいけど体調がよくならない]

 老婆が一人住む家。
 星羅はいろんな部屋の掃除、天ノ川ちゃんはゴミ捨てをしている。

 座椅子に腰かけてる老婆に食事を用意する流子。
「なにもかも悪いわね。」
「いえいえ、こっちこそ押しかけたみたいになってるけど。」
「おいしいわ。」

 星羅は掃除中にあるものを見る。
 近くに小さく花が添えられていて遺影のようなもの。
 ほこりをはらうとあることに気づく。

 戻って来て天ノ川ちゃんは老婆のもとに来る。
「ほかに手伝うことはない?」
「・・・・・・みずほ?」
「?」
「みずほじゃないかい?」
「いや、私は 」
 言ってる途中で星羅に引っ張られると耳打ちされる。

 星羅は掃除中に見た遺影。
 そこには孫が写っていてどことなく天ノ川ちゃんに似ていた。

「お、おばあちゃん。 帰ってきたよ。」
「ああ、みずほ。 こっち来て。」
 天ノ川ちゃんは近づき老婆はなでたりする。
「でもどうして?」
「今日はね、特別なの。 私はまた天に帰らなきゃいけないから。」
 流子と星羅は複雑な表情で聞く。
「でもね、また会いに来るからそれまでおばあちゃんも元気でいてね。」
 天ノ川ちゃんも手を握り返す。


 あたりも夜空になる。
「まずいわ、もうこんな時間よ。」
「願いごとはあといくつなの?」
「えーっと・・・」
 絵馬を見る。
「あと一つ!」
「でも願いごと出ないわね。」
「ねえ、天ノ川ちゃん!」
 星羅は指さすと髪留めについている短冊が光っている。
 天ノ川ちゃんは髪留めを外し短冊を見る。
「なんて書いてあるの?」
「なにもないの。」
「それじゃあ天ノ川 自身の願いは?」
「私?



 私は・・・・・・、






 もとの天の川に戻りたい! 」






 空が光るとそこに無数の光の玉が下りてくる。
「すごい、ホタルみたい。」
「 大丈夫だった? 」
「 心配したよ、主。 」
「みんな・・・」
「 でも早く急がなきゃ、姫様も殿様ももうすぐ近づいて来てる。 」
「でも、私はどうすれば?」
「 笹で船を作ってください。 乗れるくらいのサイズにしますのでそのまま空までお連れします。 」
 天ノ川ちゃんは胸の笹部分を一枚取って船を作る。
 すると笹船は大きくなり光の妖精たちは下に来ると天ノ川ちゃんを乗せて浮いていく。
「あ、それじゃあ私達も。」
 それと一緒に星羅と流子も飛んでいく。

 夜空に来ると天ノ川ちゃんは船から降りて手を振っていくとそこに光り輝く川ができる。
 そしてその端を織姫と彦星が向かい合う。
 川の間には光の橋ができて二人は近寄ると微笑みながら抱き合う。

 それを見ていた流子と星羅も微笑みながらそれを眺める。



[ そうです、この日は織姫と彦星の年に一度会うことができる特別な日と同時に、それを陰ながら支える人々にとっても大切な日でもあります。

  皆さんも、空に流れる天の川を見るときに彼女のことを思い出してみてください。 ]





‐  終わり  ‐
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