DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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1章

6話 対人戦

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「陰キャが息巻きやがって!絶対ぶっ殺す!」

額に青筋を浮かべ、声を荒げる茶髪の青年。
歌太郎に対し掌を向け

「焦げろ!ファイヤーボール!」

掌からサッカーボール大の炎の球が飛び出した。

「なっ!!」

 和歌太郎は驚き横に飛び込むように避ける。
 放たれた炎は和歌太郎の横を通り抜け、後ろの木にぶつかり消える。木の表面が黒く炭化している。

(今のは魔法!!あの威力はやばすぎる!正面から向かうには分が悪い)

そう考えた和歌太郎は、近くの木の影に移動した。

「おいおい、びびって隠れんのかよ!!ガチのチキンじゃねぇか」

(挑発に乗ってはダメだ。あいつの魔法には木を貫通する力はまだないはず)

和歌太郎は挑発には乗らず、冷静に木の影から敵を分析する。
すると、どうする?と考えている和歌太郎の視界に"ポンッ"と表示があらわれた。

------------------

【クエスト】
○プレイヤーとの初バトル
クリア条件:敵プレイヤー"ジャン"の死

------------------

(なんだ!?)

 視界に現れた表示、それはクエストであった。
しかもクリア条件の"ジャン"という人物は和歌太郎が対立する茶髪の青年である。

(敵の死か……おそらくジャンとやらは俺を殺しに来る。一人の女性を殺した奴。俺を殺すことに躊躇はないはず。それに対抗するには……)

 人を闘うこと、殺す事に大きな抵抗を感じる和歌太郎。しかし、それは至極当然な事。戦争のない現代日本を生きる人間にとって"殺人"とは犯罪でしかない禁忌の行為。そして、その禁忌の意識は和歌太郎の根底に根付いている。

「おーい。ガチの腰抜けかよ!まだ"あの女"の方が立ち向かってくるだけマシだったぜ。まぁ弱かったから、じっくり楽しんだ後、殺しちまったけどよっ!はっ!しかもよぉ、あの女結構可愛くてよぉ--」

 まるで自慢するかのように話すジャン。
その話は止まらず、より詳細に生々しい語りは、その時の情景を脳に鮮明に浮かび上がらせる。

(くっ……この…)

怒りで握りしめた拳から血が滲む。

「--で最初は嫌がってたんだけどよぉ。途中から求めやがって--」

「黙れよ!」

語りを遮ったのは和歌太郎
ついに怒りが限界を超え、木陰から自ら姿を出す。

「へぇ~やっと出てきたな」

ニタァと笑うジャン
まるで作戦通りだという余裕の表情だ。

「ありがとうね。お前のお陰で覚悟ができたよ。"人殺しの覚悟が"」

和歌太郎も笑い返す。しかし、その瞳には氷のような凍てつく殺意が篭っていた。

「へっ!調子に乗りやがって!死ねよ!ファイヤーボール!」

再び放たれる高速の炎の塊。
しかし、和歌太郎は避ける素振りを見せない

「効かないよ!」

"バシュッ!"

和歌太郎は剣でファイヤーボールを真っ二つに斬ったのだ。

「なっ!ファイー」

「まだ終わらないよっ!」

次の魔法を放つ間もなく、踏み込み一気に接近!

「ひっ!!」

瞬く間に目前に迫り、剣を振りかぶる和歌太郎の姿に悲鳴を上げるジャン

「地獄で悔いろ……クズ野郎」

"シュッ"

躊躇なく振り下ろされた刃、遅れて赤い血飛沫が宙を舞う。
命を絶たれだジャンはその場に崩れ落ちる。

「殺してしまった……」

物言わぬ肉塊とかしたジャンを一瞥しポツリと言葉を溢す。

「でも覚悟を決めた結果だし、もう後戻りはできないしね。」

その言葉には強い決意が篭っていた。
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