DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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1章

5話 遭遇

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「えーと、この林を抜ける感じかな」

歩き始めて20分、草原をある程度進んだ先には大きな木が立ち並ぶ林が現れた。

「うわぁ……モンスターが結構いそうだ」

聴覚、嗅覚を研ぎ澄まし、辺りを探る。
実際の犬程ではないが半径300メートル圏内であれば、音や臭いを聞き分けることができる。

すると、気になる反応を察知した。

「うん?これは人……?しかも、こっちに来ている」

人と思わしき反応は狙ってか、偶然か和歌太郎の方へと近づいていた。和歌太郎は剣を抜き、辺りを見回し

(よし、とりあえずあの木に隠れようかな)

近くの木に移動し、身を隠す。

"ドサッ"  "ドサッ"  "ドサッ"

(足音が近づいてきた。このまま通り過ぎてくれるといいけど)

和歌太郎は息を潜める。
"ドサッ"

足音が止まった。
和歌太郎は違和感を感じつつも息を潜め続ける。

しかし

「おーい、そこの木の影にいる人出ておいでよ。」

和歌太郎の居場所はバレていてようだ。
聞こえるのは優しそうな男性の声音だ。

(どうする?居場所はバレてるみたいだけど……うーん、うん?)

一瞬怪訝な表情を浮かべた後、和歌太郎は剣を構えながら木の影からでる。
 そこにいたのは、同じく剣を持った茶髪の青年であった。

「そう警戒しなくてもいいぜ。もしかして君はプレイヤーかな?」

茶髪の青年は剣を地面に置き、柔らかい笑みを浮かべる。

「あぁ、そうだよ。数時間前にここに来たんだ」

剣を置いた茶髪の青年を静かに見つめながらも和歌太郎は剣を手から離さない。

「まぁ警戒するのも仕方ないか!良かったらなんだけどさ。俺と組まない?このゲームを生き残るにはチームを組むのが最善だからさ」

距離はあるものの右手を差し出してくる茶髪の青年。

「なるほど…」

茶髪の青年の提案は最もなものであった。
このゲームは命掛けのデスゲーム。ワールドクエストをクリアするためにも、魔物や他プレイヤーから生き延びるためにも勢力を増やす、徒党を組むことは最善の策と言える。

「ははは、悩むよね。まぁ返答は急がないけどさ。とりあえずは一緒に行動しない?」

茶髪の青年は笑みを浮かべながら和歌太郎に近づいてくる。

しかし、茶髪の青年の歩みは止まった。

止まらざるを得なかったのだ。

なぜなら和歌太郎の抜いた剣が向けられていたからだ。

「……断るよ」

向けられた剣先同様に鋭く放たれた言葉
唖然となる茶髪の青年

「は!?何だって??」

「聞こえなかったかな。その提案は受け入れられない」

「き、君は正気かい!?これは命を賭けたデスゲームだ!一体何を考えてるんだい!」

信じられないとばかりに捲し立てる茶髪の青年。

「君からは血の臭いがする。」

「へ?血の臭い?そ、そりゃあ魔物も結構倒したからな!」

「違うよ。俺が言っているのは人の血の臭いだよ。君の事は信用できない!」

鋭く放つ和歌太郎
すると、茶髪の青年は自らの髪をぐちゃぐちゃにかき混ぜ、深く息を吐いた。

「はぁ~。お前なんもわかってねぇわ!このゲームは殺すか殺されるかなんだ。魔物だけじゃなくて人だって襲ってくる!生きるためには殺すしかなかったんだ!」

先程まで優しげな表情は一転、感情を爆発させる。
だが和歌太郎の表情に変化はない。

「なるほどね。でもそれは嘘だよね。君からは下衆の臭いがする」

「下衆の臭いだって?」

眉間に血管を浮かばせ、イラ立ちを露わにする茶髪の青年
しかし、和歌太郎は一切怯まない。

「あぁ……この際だから言ってやる。お前はただの強姦野郎だろ?分かってるんだよ」

和歌太郎の嗅覚は捉えていたのだ。
茶髪の青年が放つ血の臭いと濃厚な体液の臭いに。

「はぁ~邪魔クセェ!せっかく生かして上手く使ってやろうと思ったのによ。お前殺すわ」

図星だったのか茶髪の青年の表情、態度が激変した。
優しげな表情は消失し、粗暴で卑劣な本性が表に現れる。
完全に敵対した相手を前にし和歌太郎は

「はっ!やれるもんならやってみなよ!」

鼻で笑い、逆に挑発をした。
和歌太郎は静かにキレていた。
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