DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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1章

10話 伝説の剣

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「案外よく寝れた」

(それにしても昨晩のあれっておそらくクエストのフリだよね)

昨晩のあれとは、晩飯の際に和歌太郎が村長に尋ねた言葉が原因であった。

遡る事、昨夜

「なぜ俺の事を勇者様って呼ぶんですか?」

それは何気ない和歌太郎の疑問から発せられた言葉であった。
だが村長は、その言葉でまるで何か変なスイッチが入ったかのように真剣な顔になり、その訳を語り始めた。

その話を簡単に纏めると
村が窮地に陥ると現れ、村を救う勇者の伝説の言い伝えが村にはあり、現在エニ村は、近くに現れたダンジョンによる被害に悩まさせれているとの事。
そして、そこに現れたのが"和歌太郎"だった。そうである。

「うーん、ダンジョン攻略しにいかないとダメだよね。まぁこの村のためにもなるし、ダンジョンといえばお宝とかもありそうだし」

村長の話を聞き、村の陥っている状況を理解した和歌太郎は、ダンジョンを次の目的地に決定した。
その事を村に告げるため支度を整え、1階に降りていく。

「おー勇者様!昨夜はよく眠れましたか!」

1階に降りると豪華な朝ごはんと共に村長が席に座り待っていた。

「よく眠れましたよ。それにしてもこんな豪華なご飯大丈夫なんですか?」

ダンジョンの脅威に晒され、村に余裕はないはず。和歌太郎は不安を覚える。

「ご心配なさらずお召し上がりください」

しかし、村長は笑顔でご飯に手を向ける。

「では遠慮なく頂きます!」

若干の負い目を感じつつも、あまり言いすぎるのも失礼だし、料理となってしまったものは仕方ないと心で強く思い、朝飯にありついた。

そして、たわいの無い話から話題は和歌太郎の今後についての話に。和歌太郎は正直にダンジョンに向かう事を話す。

「というと勇者様は私達を救う為にダンジョンに行ってくださると」

目を輝かせる村長。今にも泣き出しそうである。

「ま、まぁ……そうですね。でも村の人のためっていうのもありますけど、俺自身にも利がありますからね。後、勇者様って呼ぶのやめてもらっていいですか?あれ?」

和歌太郎が気づくと村長は既におらず、やや駆け足で玄関の扉の方に向かっていた。

「おーい!勇者様に"あれ"を持ってくるんじゃ!!」

扉を開けると大きな声で叫んだ。

すると、外から"おーー!"という揃った声が聞こえる。
あまりの展開に言葉を失う和歌太郎

(うん、あれって何?村長どうしたんだ!?)

和歌太郎が場の状況を呑み込めずに佇む間に村人達はせっせと何かをしている。

「勇者様!」

準備が整ったのか村長が木箱を持って前にやってきた。
そんなに大きな木箱では無いが、かなり重そうである。
額には青筋が浮かび上がっている。

「えーと、これは?」

「我が村に伝わる伝説の武器です。昔から勇者様が来たら渡せと言われてまして、さぁ、ぜひ!さぁ!!」

物凄い圧である。
加えていつの間にか多くの村人が村長宅に集まってきていた。

「……はい(伝説の武器?こんな序盤の村で?ってかこれってデスゲームなんだよね?もう何が何だか…)」

かなり困惑しながら木箱の蓋に手をかける。
周囲の村人の視線が和歌太郎に集中する。

(うーん、なんか怖いな……でも、とりあえず開けよう)

木箱の中から感じる気配に恐怖を感じつつ蓋を開ける。

「え!?(これって……)」

困惑する和歌太郎
中に入っていたのは妖しげな空気を放つ"真紅の剣"であった。

「さぁ!勇者様。この伝説の剣でダンジョンに巣食う魔物を打ち倒してください」

「え…(…この剣触ったら呪われんじゃ)」

あまりの不気味な剣に触れるのに戸惑う和歌太郎。
しかし、周囲の空気はそれを許さないらしい。

「勇者バンザーイ」「勇者様バンザーイ」
「「「勇者様バンザーイ」」」

村長や周りの村人達はお祭り騒ぎ、テンションmaxである。
和歌太郎の戸惑いなどお構いなしである。

(うわぁ~この感じ。剣を上に掲げるの待ちだよね?)

そう勇者といえばのポーズである。

「「「勇者様♪」「「「勇者様♪」」」

止まらない勇者様コール

(うーん、!もうどうにでもなれ!)

思い切って剣を手に取り、頭上に掲げる。
やけっぱちのせいか目を思いっきりつぶっている。
しかし、村人達は大盛り上がり、拍手喝采が湧き起こる。

「「「「「うぉぉぉおおおあ!」」」」

(あ……ヤバイ力が抜ける。このままじゃ……あっ!そうだ!異次元BOXへ入れ!)

見る見る内に青ざめていく和歌太郎
急いで真紅の剣を異次元BOXに収納する。

「はぁはぁ、やばかった。(あと少しで気絶するところだった)」

「だ、大丈夫ですかぁ!」

村長か汗だくになっている勇者を見て駆け寄る。

「いえいえ、さすがは伝説の剣という事ですよ」

剣が呪われているとは言えず、意味の分からない返答を返す。

「なるほど、そういう事でしたか!」

「はい、そういう事です。それでは俺は少し身支度を整えた後でダンジョンに向かおうと思います。」

「ありがとうございます!何か要望があれば何でも言ってください」

「は、はぁ(……早く休みたい)」

村長は集まった村人達を解散させていく。
倒れ込みたい身体に鞭を打ち、村人たちを見送り、一旦村長宅の2階に戻ることにした。

後に分かった事だが、"伝説の剣"(名称???)は和歌太郎の鉄加工メタルワークでは、一切加工ができなかった。
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