DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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1章

11話 黒衣の男

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「はぁ…村長達良い人だったけど疲れたなぁ」

 村を出た和歌太郎は村を困らせる原因であるダンジョンへと向かうことに。
 賑やかで騒騒しい村ではあったが、和歌太郎は村の人々に強い感謝の念を感じていた。

(伝説の剣は……まぁ、あれだったけど、何とか恩返ししたいしね。よーし!ダンジョン攻略しかないね)

 村長宅で美味しいご飯と睡眠を取れた事により、心身ともに絶好調の和歌太郎。

 村長曰く、ダンジョンは数キロ歩き、森を超えた先にあると言う。和歌太郎はペースを上げるべき、移動速度を上げる。

「あっ!身体能力が上がってる!」

 森の中で軽くジャンプしたり、走ったりして身体能力を確かめる。以前の和歌太郎より僅かに動きが速くなっている。
 前回の村を助けた際のクエスト報酬で得たステータス強化は身体能力の向上であったのだ。

「うん?」

 気分良く走っていると濃密な血の臭いを嗅覚が察知した。

(これはゴブリンの血?誰かが戦ってるのか?)

 和歌太郎は興味本位で血の方へと気配を出来る限り消し近づいていく。しかし、ある程度近づき状況が見えて来た時

「あぁ……来るんじゃなかったかも」

思いっきり後悔していた。

 そこには100体以上はいるゴブリンの群れ
中には通常個体とは異なる屈強そうなゴブリンもいる。

しかし、和歌太郎が恐怖したのはゴブリンの数ではなく
その群れと対峙する黒衣を全身に纏った人間の男であった。

フード付きのローブを身に纏い、唯一見えるのは血のような真紅の瞳くらいである。

(なんだよ、、こいつは……)

その光景はかなり異常であった。

 数の上では圧倒的に有利なはずのゴブリンが、1人の人間によって次々と文字通り爆散させられていく。
 地面にはゴブリンの血溜まりができ、決死の覚悟でゴブリンが    
次々と向かっていくが、男に触れられるや否や肉体がバラバラに砕け散る。

地面に血の池が次々と出来上がっていく

(……狂ってる)

 込み上げる吐き気を耐え、自身を悟られないように茂みに隠れたまま、気配を消す和歌太郎。
 目の前で戦闘する男はこれだけの事をしているのに一切変化がない。まるで機械のように黙々と命を刈っていく。

(……あの男を見ていると震えが止まらない)

和歌太郎の額には異常な程の汗が滲んでいた。
男の異質さ、異常さが恐怖となり本能に警鐘を鳴らす。

(……逃げないと)

"ーー殺される"

今まで最も強い死の予感。
本能がうるさいくらいに警報を鳴らす

大量にいたゴブリンもほぼ全滅
物言わぬ肉片となり果てている。

(そぉっーと、音を立てないように)

細心の注意を払い、ゆっくりとその場を後にしようとした。



「ーーー!!!」

ーー目があった。

真紅の瞳に映るは虚無。濃厚で汚れなき殺意が和歌太郎を射抜く。

(ヤバいっ!!!)

和歌太郎の行動は早かった。
身体が死を感じるな否や全力で逃げた。

何も考えず、全ての力を足に集中し森を駆けた。

もはや今の場所がどこか分からない程に走り続けた。
ある程度余裕が出た辺りで聴覚、嗅覚で周囲の探知を行う。

「はぁ…はぁ…はぁ…逃げ切れたみたい」

周囲にあの黒衣の男の反応はなく、和歌太郎は無事逃げ切る事ができたようだ。

「それにしても何!?あの死神みたいな奴!普通じゃなかったよ。はぁ……でも助かってよかったぁ!」

心の底から安堵する。
しかし、未だに心臓はバクバクと鳴り止まない。

「はぁ……今でも震えが止まらない」

和歌太郎の脳裏には黒衣の男の濃密な殺意の瞳が焼き付いていた。

「もう会いませんように…」

心の底からもう会いたくないと祈る和歌太郎。

結果的にダンジョンに近づくどころか数キロメートル更に離れることになった。
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