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1章
12話 ダンジョン
しおりを挟む「やっと、着いた。」
道中、思わぬ事で遠回りを強いられたが和歌太郎は目的地のダンジョンに辿り着いた。
「うわぁ……いかにもダンジョンだ。ドラ○ンクエストに出てきそうだ」
ダンジョンは洞窟型。
山肌に巨大な穴が空き、漆黒の穴が強大な存在感を放っている。
(……肌がピリつく。これが村を苦しめる要因)
思い出す村の人々の悲しみの声
ダンジョンから送られる魔物が村人達を苦しめている。
中には大切な人を殺された、又は連れされていた人がいる。
特に若い女性は標的にされやすいらしく、村に若い女性はほとんどいないのはその所為だと言う。
そんな人達を救いたい、その想いが和歌太郎にダンジョンへの一歩を踏み出させた。
「これがダンジョンの中」
ダンジョン内をぐるりと見回す。
温度は外と比べ、ひんやりとしている。
外から見たダンジョン内は漆黒で光一つ見えなかったが、中は満月の夜並みに明るい。
そして、外と比べもう一つ大きな違いを和歌太郎は感じていた。
(うーん、不自然な程に音が聞こえない。いや、聞こえるには聞こえるが範囲が制限されている?後、臭いもだ…)
和歌太郎がもう一つの違和感。
それは"犬人族の五感の制限"であった。
ダンジョン内での現在の和歌太郎の五感は通常の人間並みとなっていた。
「まぁ……五感による探知が効かないのは辛いけど、クヨクヨしても仕方がない。行こっか!」
頬を叩き気合を入れ、奥へと進んで行く。
ダンジョン内は洞窟のような作りだが、圧倒的に広く、2tトラックでも十分通れる程の広さがある。
「うーん、案外魔物と出会わないなぁ」
ダンジョンに入って数分が経過した
徐々に下へと降っていくのだが、魔物とは未だ遭遇なし。
和歌太郎に緊張の糸が緩み掛けた時
何かが和歌太郎の手前に飛来した。
「なっ!!!」
顔が一気に蒼ざめる
足元数センチの所に槍が刺さっていた。
(敵!?)
和歌太郎は剣を構え警戒態勢を取る。
油断していた気持ちを引き締める。
「どこにいる!」
槍の方向から敵の位置を逆計算し、視線を向けると……
「ブヒィ!!」
投槍後の残心を取る豚人間『オーク』である。
その肉体は2m近くあり、オークの太ったイメージを覆す筋肉隆々。肉体面では和歌太郎は完全に負けている。
しかも、オークは1体ではなく、3体もいた。
「うーん、左から斧、大剣、ハンマー。がっつり接近タイプばっかりだ。しかも靴履いてるし」
オークは革の鎧を武装をしており、ブーツのような物を履いている。故にゴブリンの大群を倒す際に使用したチクチク玉は使えない。肉体面、武装面ではオークの方が明らかに優秀だ。
今まで戦っていた魔物の中でも明らかに強い相手
しかし、数日ではあるが数々の戦い、命のやり取りを経験してきた和歌太郎。
その全てが和歌太郎の心身を劇的に強く成長させた。
「よぉーし!全力で行こうかな」
ズボンの裾をまくしあげ、剣を逆手に持つ。
脹脛が盛り上がり、血管が浮き出る。
"ズシッ"と足を中心に地面がひび割れ
和歌太郎はオークの元へと疾走した。
その速度はあまりに速い
「「「ブヒィっ!」」」
薄暗いダンジョン内ではその速度は一層速く感じるだろう
それぞれの武器を構え、狼狽るオーク。
だが時既に遅し、和歌太郎は既にオークの背後に至っていた。
「遅い……後、それはさっきのお返しね」
槍を投げたであろうオークの首元には鉄パイプが刺さっていた。
村の鉄材を"切削でパイプ状に加工していたのだ。
パイプ状の筒の中から血が止めどなく流れ、オークが一体地に倒れ伏した。
(毛細管現象……恐ろしいね)
「「ブヒッ!!!ブヒ!」」
仲間を殺された怒りからか2体のオークが迫る。
左右から斧とハンマーの破壊力抜群の一打
和歌太郎はバックステップでその攻撃を躱す
標的を失った斧とハンマーは大地を穿ち
"パキッ"と折れた
「「ブヒィ!?」」
驚きの鳴き声のオーク
「お前たちの武器は柄までもが金属製。しかも重量的な問題から比較的細めの丸棒。力の集中部に数カ所切り込みを入れれば、"剛性不足"……簡単に折れちゃうわけだよ」
壊れた武器を前に呆然と立ち尽くすオークにややドヤ顔で理由を説く和歌太郎。
和歌太郎が行ったのは、武器の先端部と柄の接合部に切削によって切り込みを入れ、武器を折れやすくした後、空振りを誘い、地面との衝突で武器を無効化したのだ。
「「ブフォォォォォォ!!!」」
武器を無くしたオークは肉体のみで立ち向かってくる。
だが
「肉体だけでは文明には勝てないよ」
筋肉隆々の2体のオークだったが和歌太郎の剣の前に息絶えた。
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