DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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2章

30話 超集中

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戦闘開始から10分が経過し、和歌太郎とヨーキは各々の闘いでお互いの姿が見えないほど距離が離れ、それぞれ激闘を繰り広げていた。

side ヨーキ

「はぁ…はぁ…はぁ…(和歌太郎頑張ってくれ…正直助けに行けそうにない。正直ここまでとは思ってなかったぜ)」

息を切らしながら純白の短刀を構えるヨーキ
その眼前に立ち塞がる黒いマネキン
ヨーキが腕を切り落とした事により、デストロイモードとなり凶悪化したアロンである。

 速度は異常な程速く、無尽蔵のスタミナ。そして、恐怖の概念が無い故の捨身の攻撃。

 対するヨーキは、"魔装"による身体能力強化、短刀術と豊富な経験則で立ち向かうが、既に魔力は底を突きかけていた。

だが、殺戮兵器"アロン"は止まらない

鋭く思い攻撃がヨーキを襲う

そして、ついに"魔装"を維持出来ず、水色のオーラが消失する。

ーー格段に下がる身体能力

まるで嵐のようなアロンの攻撃により防戦一方になり、その場から動くことも出来ず、傷が増えていく。

「くっ!…(このままではヤバイぜ。何か手を」

必死で防御しながらも、起死回生の一手を捻り出そうと頭をフル回転させる。

だがヨーキより先に短刀の寿命が来た。

"パキンッ"

白い刀身が根本から折れる

(やばいっ!!)

止まらず振り下ろされるアロンの刃
短刀は折れ、防御は不能

(--あっ……死んだ)



*******


side 和歌太郎

「大体分かってきたぞ。」

何か掴んだようなセリフだが和歌太郎がいるのは家屋の中。
和歌太郎はひたすら近くの家屋を使って逃げ回っていた。

 そこで分かったは、madderの怪力と爆発的な速度は、怪力系のスキルを全身の各部位に応用したものだという事。故に直線的な加速しかできない。
 また体術はスキルではなく、電脳処理プログラミングの応用によるものだと言うこと。

(だけど……勝てるプランが浮かばない。あれだけ見栄を切ったのに)

和歌太郎は完全に勝機を見失っていた。

(あっ!またバレた!)

和歌太郎の嗅覚がmadderの接近を感知する。

"ドゴッーン"

爆音が轟き、家屋が吹き飛ぶ。

「そろそろ終わりよ。私の道を邪魔するものは殺す」

破壊された家屋からmadderが現れる。

(動きは読まれるし、力では負ける。速度においても瞬間的な速度では向こうが圧倒的に上。うーん、どうやったら勝てるんだ。)

「よし、俺は諦めることを諦める。」

悩みに悩んだ末に和歌太郎の答えは極めて簡潔であった。

「死ぬ気で攻撃する!」

地面を蹴り、何も考えずにmadderに突っ込む。
そこに的確にmadderの拳が迎え撃ってくる。

(避ける。目の前の攻撃を全力で避ける!)

避ける事に意識を集中させ、madderの拳を紙一重で避け続ける。

至近距離での攻防が繰り広げられる。

何も考えずに相手の動きに合わせて避ける事により、madderの読みが予知の域であっても、その読みに合わせて動く事で対処を可能にしていた。

「しぶとい……」

madderの鋭い突きが和歌太郎の頬を掠る。
当たれば確実に死ぬ、即死級の一撃

にも関わらず和歌太郎は恐れずに逆に剣による反撃を試みる。

だが全てmadderのガントレットに防がれる。
それも完璧に予測され対処される。

それでも和歌太郎は諦めない。
既に全身は傷だらけ満身創痍であるにも関わらず、動きを一切止めない。

ーーひたすら戦いにしていた。

(集中……集中……)

madderの攻撃を薄皮一枚ギリギリで避け続ける。
客観的に見ても優勢なのは完全にmadderである。

だがmadderの表情には微かに焦りの色が浮かび上がっていた。

「演算が合わない……情報が変化しているの」

困惑するmadder
何故なら和歌太郎に攻撃が掠らない回数が増えてきているからだ。

ーー超集中ゾーン

極限の集中状態
余計な思考、感情、情報が意識から消え、感覚が研ぎ澄まされ、通常時の数倍の力を発揮できる境地

死と隣り合わせの極限のストレスが和歌太郎の生存本能を刺激、更に死をも恐れぬ覚悟が和歌太郎を超集中ゾーンへと至らせた。

スーパーコンピュータ並みの高速演算と圧倒的な怪力が合わさったmadderの連撃を流れるような動きで避けていく。

動きが速くなったわけではない。むしろゆっくりになっとさえ思える。

徐々に戦いの流れが和歌太郎に向いてきた。

madderの眉間に僅かにシワが寄り、眼鏡の奥の瞳にはつい先刻までの余裕は無くなっていた。

そして、その焦りという感情が決定的なバグを産んだ。

(--見えた)

和歌太郎の動きが一気に激流と化す
一瞬で懐に飛び込み、腹部へ剣の柄による強烈な打突

「ーーカハッ……」

強烈な一打でmadderの身体がくの字に折れる。

(これで終わりだよ……ごめんね)

和歌太郎が後頭部へと剣の柄で狙う
剣の刃を向けないのは和歌太郎の生来の優しさであった。

だがその優しさは闘いにおいては致命的であった。
和歌太郎の一撃はmadderには届かなかった。

剣の柄が当たる瞬間、madderが地面を思い蹴り上げ、後ろへと吹き飛んだ。

着地も考えずに後ろへと跳んだmadderは、地面を転がりながら着地する。

「ふざけんな……」

着ている服が破け、砂まみれになったmadderが立ち上がる。
眼鏡のレンズはひび割れ、唇からは血が出ている。

「私は負けられないんだ!!絶対…!」

眼鏡を投げ捨て、前髪をかきあげる。
madderがついに本気になった。

その時

"ドスンッ!!"

突如轟音が鳴り響く。
和歌太郎とmadder、2人の間に何かが飛来したのだ。
土埃が舞い上がる。

「な、何!?」

和歌太郎は驚きながらも警戒を高める。

一方、madderは目を見開いて固まっている。

「……アロン…」

土埃が舞い止み、露わになったのは
無残に破壊された"アロン"であった。
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