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2章
31話 乱入者
しおりを挟む和歌太郎とmadderの間に突如落ちてきた飛来物。
その正体は、無残に破壊された"アロン"であった。
アロンはmadderが全てを注ぎ作り上げた最強の戦闘兵器。
更に奥の手であった"デストロイモード"を使用した状態で破壊されていることにmadderは衝撃を隠せずにいた。
(アロンのデストロイモードは戦闘のみでいえば私より強い。あの短刀使い相手では負ける可能性はないはず……)
「うん?この匂いは……ヤバイ!?逃げろ!」
和歌太郎がmadderに対し叫ぶ。
「なっ!!」
和歌太郎の声と背後から感じる強烈な殺意に気づき
反射的にその場から離れるmadder
間一髪であった。
madderがいた場所が奴がいた。
「--死神」
ポツリと和歌太郎が呟く。
そこには黒衣に包まれた男が立っていた。
「死ね…死ね死ね死ね死ね死ね………」
ブツブツと呟く男。
この男は和歌太郎が以前遭遇した男であった。
(この吐きそうな強烈な死の臭い。忘れるはずがない。でも、どうしてここに?ヨーキは無事なの?)
和歌太郎は嗅覚でヨーキの反応を確認しようとするが黒衣の男の強烈な臭いが邪魔して探ることができない。
「そこの剣士。一時休戦だ。この明らかに危険な男を知っているのか?」
いつの間にか近くに移動していたmadderが和歌太郎に話しかける。どうやらmadderは、和歌太郎より黒衣の男の方を脅威と判断したようだ。
「少しだけね。あいつは触れるもの全てを破壊する死神のような男だよ。以前会った時は全力で逃げたから詳しくは知らないけど」
「役立たずね。奴に鑑定を使ってみな。あいつは"神族"よ」
「神族だって!!」
緊迫した状況にも関わらず声を大にしてしまう和歌太郎
驚くのもそのはず
キャラメイクの際《神族》の必要ptは8pt。
他の種族に比べ、破格に必要ptが多く、特徴もかなり尖っており、強い能力を得ることが出来るが、肉体値と魔力値が減少するというものだ。
それ故、選択する者がいるだろうかと和歌太郎は思っていた。
しかし、その"神族"を選択する者がいた。
目の前の黒衣に包まれた男である。
深く被ったローブにより顔は分からず、紅い瞳のみが不気味に光っている。
和歌太郎はmadderに従い、黒衣の男に鑑定を使う。
男の頭上には赤字で《パイン・神族》と記されていた。
「はぁ……ほんと出会いたく無かったよ」
ため息を吐き、早すぎる再開に己の不運を呪う和歌太郎。
「剣士!」
横からmadderの声が飛ぶ
和歌太郎は一瞬で自分の失態に気づく
ーー眼前に黒衣の男"パイン"の手が迫っていた。
「うっ!!!」
和歌太郎は何とか逃げようとし、その場で足を滑らした。
更に滑った衝撃で剣が手から離れる。
(あっ!終わったかも……)
和歌太郎は死を覚悟した。
しかし、幸か不幸か足を滑らせた事に上体が倒れ、パインの手を避ける事ができた。
(ふぅ……生きてた!)
急死に一生を得て、喜ぶ和歌太郎だが状況は一切変わっていない。
地面に倒れる和歌太郎と至近距離のパイン
(あっ……次こそ死ぬ!!)
深く被ったローブから見える赤い瞳が恐怖を倍増させる。
和歌太郎は何とか策を考えるが、全てに置いてパインの手が触れる方が速い。
触られて身体が破裂したゴブリンの姿が脳裏に蘇る。
「くそぉぉぉ!!!」
目を瞑り、無念の叫び声をあげる和歌太郎
……
……
……
(あれ?……)
パインの手が触れてこない事に気づき、目を開ける。
そこには
動きを強制的に止められた"パイン"の姿が
「助けに来たぜ……我がライバル」
その声は紛れもなく"ヨーキ"のものだった。
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