37 / 81
2章
36話 団結
しおりを挟む3人で倒そうと意気込んだ和歌太郎だったが、ふとなにかを思い出した。
「そーいや、さっきちょっと怒ってたけど……?」
さっきとは、和歌太郎とヨーキが黒衣を剥がし、madderの元まで逃げ戻ってきた時の事である。
和歌太郎は今更ながらmadderに何か言われていたなと思い出したのである。
「そうだった、やってくれた的なことを言ってた気がするぜ」
ヨーキも和歌太郎の一言で思い出したようだ。
するとmadderは、はぁ~とため息をつき
「そーよ。私も途中で分かったんだけど、あの黒衣は確かにダメージ無効の効果はあるけど、あの神族の力自身を減退させる枷でもあったわけ。厳密には身体能力を低下、力の封印、外部からのダメージを遮断よ。だから私は顔面や投げ技など中にダメージを与えてたわけ」
madderは闘いながらも馬根の情報を"電脳計算"を用いて解析していたのだ。
強い憎しみがあれどmadderの頭は冷静だったのだ。
その情報を聴いた和歌太郎達はただただ自責の念に駆られていた。
「やっちまったぜ」
特に自ら黒衣を剥ぐ作戦を立案したヨーキは額に手を当て己の失態を悔いている。
「で、でも外部からのダメージは通るようになったんだし……」
落ち込み気味のヨーキを案じ、フォロー入れる和歌太郎。
しかし、madderの返答は残酷なものであった。
「確かにダメージは通るでしょうけど、触れたら破壊する力は増しているし、後ダメージを与えても奴は死なないわ。」
「どう言う事だぜ?ダメージは通るけど死なないって矛盾していないか?」
立ち直ったヨーキがmadderの説明に対して指摘する。
「一切矛盾していないわよ。私の電脳計算の本当の力は敵の分析、解析よ。で、結果分かった事があるわ。致死級のダメージを与えてもあのクズ野郎は死なない。」
「チッ……化け物かよ」
ヨーキはあまりの理不尽な事実に舌打ちをする。
「じゃあ、勝ち目は……」
絶望的な表情になる和歌太郎を見て、madderはニヤリと笑う
「あるわ。倒す方法はある。あのクズ野郎の身体のどこかにある核を破壊するのよ」
「「核?」」
ヨーキと和歌太郎の声が揃う。
「そうよ。クズ野郎の身体のどこかに核はあるらしいわ。その核を潰すしか倒す方法はないわ」
「でも勝てる見込みがあるって事だよね!」
「あぁ、そうだな和歌太郎。俺たちで倒してやろうぜ」
「はぁ……ほんと能天気ね。でもあいつは絶対に殺さないとダメなのよ。だから強制的にでも私の作戦に従ってもらうわ。奴ももうすぐ動き出すだろうし一方的に説明するから聞いてーー」
そういうとmadderは和歌太郎とヨーキに説明を始める。
話は簡潔であったが馬根とmadderの確執、そして、これからの作戦について伝えられた。
madderの話を聞き終わった後、ヨーキと和歌太郎は静かに頷き
「ふぅ……madderお前を倒して宝玉を頂くのは、和歌太郎の一つ前にしてるやるぜ。今回は馬根を倒すことに全てを注ぐぜ」
「うん、俺もヨーキと同じかな。君の気持ちも痛いほど分かるし、殺しでは何も変わらないなんて綺麗事を言うつもりもない。だから3人で馬根に勝とう!」
すると3人の視界に同時にクエストのポップアップ表示が現れた。
------------------
【共同クエスト】
○暴走し神族を鎮魂せよ
クリア条件:馬根 月の死
クエスト参加者(3名)
------------------
「和歌太郎。どうやらお前の言葉がクエストになったようだぜ!前のクエストはさっぱり消えてやがる」
「ほんとだ!無くなってる!この共同クエストは必ずクリアしないとね」
「当たり前よ!そろそろ馬根が起きるわよ……気合い入れなさい」
ついに和歌太郎、ヨーキ、madder vs 馬根 月の真の戦いが始まる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる