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4章
78話 ワールド・クエストクリア
しおりを挟む「ここはどこだ?」
ーー和歌太郎の声が響く。
和歌太郎は今、宇宙空間のような所に1人浮いていた。
下には地球らしき星が見える。
(やっぱり、これって…邪竜を倒したからだよね)
和歌太郎は多古山、佐高、里石の協力の末、邪竜D・Cを倒した。
そして、倒した瞬間、和歌太郎の脳内に大きなファンファーレ音が鳴り
"congratulations!ワールドクエストクリア"
という文字が視界に現れ、次の瞬間には今の宇宙空間にきていた。
和歌太郎がその場でキョロキョロと辺りを見回していると、背後に突然に人が現れた。
「やぁ、和歌太郎」
真っ白な白髪の爽やかな青年
服は白の布を巻き付けた古代ローマのトガと呼ばれる服に似ている。
だが、その男が見た目通りの人では無いことは和歌太郎は分かっていた。
「貴方がこの戦いを仕組んだ神様?ってことかな」
「如何にも。私がこのゲーム、正確にはこの世界を創った者さ。ちなみに地球では山の神、大地の神とかいろんな名前も持ってるけど神でいいよ。では、まずは君のクエストクリアを称えよう。おめでとう」
神が拍手し、満面の笑みを浮かべる。
しかし、その表情はどこか作り物っぽさが感じられ、人間味は無い。
だが和歌太郎には神の様子など今はどうでもよく
「そうか……ついにクリアしたんだ…。」
拳をグッと握りしめて、戦いの終わりを実感していた。
これまでの日々が走馬灯となり、頭に流れる。
怒り、悲しみ、喜び、恨み、絶望、希望。
あらゆる感情が和歌太郎を強くした。
「そうさ。だから君には与えられる。"何でも願いを叶える権利"が」
「良かった。でも、その前に聞きたい事があるんだけどいいかな?」
「全然構わない。私も人と話す事など滅多に無いからね。何でも聴いてくれ」
「そう。じゃあ、何故こんな酷いゲームを仕組んだの?」
和歌太郎の質問はDEATH GAMEの理由
シンプルかつ最も深い質問
僅かばかり身体から殺気が漏れている。
すると、神は顎に手を当て、口を開いた。
「まず、先ほど行った通り私は地球の神の1柱。そして、私の役割は人類の管理。君達人間を生かすも殺すも僕の裁量次第なんだ」
「……それがどう関係あるんだよ!」
和歌太郎の語彙が強くなる。
「まぁ聞きなよ。で、人間は正直地球にとってはイレギュラーな存在だ。本能には従わないし、まぁ従わないというか自らで本能を抑制してるというのが正しいのかな?それ故かは分からないが人間の在り方は酷く歪で酷く醜い。そして世界にとって益ある存在かと問われれば害でしかないと私は思うのさ」
「………」
「だから私は人類を存続か滅亡かを量の天秤に掛けたのさ。100人の想い、欲の強い人間、そして、君のような欲が薄い人間をランダムに選択してね。正直このゲームをクリアするだけなら皆が協力して宝玉を集め、皆で邪竜を倒せばよかったのさ。でも、そうはならない。もし、そうなるのであれば戦争など起きないしね」
「でも、このゲームは人を争わせるように仕向ける仕掛けがいっぱいあった!」
和歌太郎は異議を唱える。
和歌太郎の言う通り、プレイヤーを10人以上倒せば"称号"を獲得
加えて、プレイヤーを倒してもステータスが赤く表示されない。
倒せば、持ち物をすべて奪う事ができる。
全てが争いに仕向ける仕掛けに和歌太郎は思えた。
「うーん、そうだね。でも称号に関しては、別に他の方法でも可能にしていた。例えばダンジョンを3つ制覇するとか?他にもね。後、ステータスに関しては、捉え方だよね?赤くならないから殺していい?という捉え方を君はした。これは地球でも言えて、罪にならないなら何をしてもいい?というのと同じではないかい?ーー物事の善し悪しを決めるのは法や世界じゃない。己の"心"なのでは無いかい?」
「……うん…その通りだよ」
「で、このゲームの結果から人類の存亡を決めようと思ったんだ。
私の予想では、心を操る"ナディル"、天賦の才を復讐に費やした"madder"、そして誰よりも強き信念を持った男"ヨーキ"この3人のうちの誰かだと考えていた。……でも結果は大きく外れた。その3人を全て倒し、邪竜までも倒してたのは、"君"だった。」
神が和歌太郎の瞳を見る。
その神の瞳は身体を通り越し、心の内側まで見透かされる。
不思議な感覚を和歌太郎は感じていた。
「君は、ごく普通の家庭に生まれて、ごく普通の倫理観を持って生まれた普通 of 普通。その君が勝ち残るなど誰が予想できたろうか?いや、神ですら良そう出来なかったんだ普通は無理だ」
神は黙々と喋り続ける。
「で、人類の存亡はどうなんだよ!後、願いは叶えてくれるのか?」
「あぁ、すまない。久しぶりの話に舞い上がり過ぎたね。では、私が降す人類の存亡はーー
神が下した決断は
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