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はい、アイル5歳です。
突然ですが文字、読めるようになりました。
それで…大変なことが判明致しました。

名前:アイル
年齢:5歳
性別:女
体力:17/17
魔力:∞
能力:『鑑定』
   …見たもの全てを詳しく調べる。ただし自分より魔力の高い人、見たことのある物にしか効果なし。初めて見るものを鑑定したい場合、30秒見つめる必要あり。
   『魅了』
   …人の心さえも自分へと向けさせてしまう。ただし自分より魔力の高い人にしか効果なし。幼児期は庇護愛、ある程度大きくなると妹へ対する愛(溺愛)、15を過ぎれば様々な人から愛される(溺愛&執着)。常時発動パッシブ
   『魔法』
   …想像するだけで発動可能。ただし詠唱すると発動不可。
   『使役』
   …あらゆる物を使役する。ただし発動には相手に自分の魔力を含ませる必要あり。制限時間、使用者が終わりを望むまで。


「…みごとなまでのだめだめのーりょく」
全部に『ただし』ってあるよ。
条件付きだから誰も欲しがらなかったわけね…。
…魅了…怖すぎるだろう。
「…ままたちがでかけててよかった…これみられたらおわる」
こんな幼い娘がダメな能力持ちとか…。
しかも体力17って!!
MAX17って!!
なのになぜ魔力は完スト!?
(完スト…上限に達している)
∞って初めて見たよ!?
顔文字に使う記号だと思ってたよ!?
「…とりあえず…すてーたすはほーっておいてほかのことをがんばろう」
家事とか…他は?
他何があるっけ。
「あとでかんがえればいいや」
とにかくママ達からこれを隠す方法を探そうか。

「アイル。ただいま。遅くなってごめんね?」
「ぱぱ!!」
私は読んでいた絵本を放り出してパパに抱きついた。
「…もう1人で読めるの?」
「よめないよ?えがきらきらだな~って」
「…そうだよね。さ、ママが帰ってくる前にお片付けしようね」
「はぁい」
といっても今放り出した絵本ぐらいしか片付けるものないけど。
私は絵本を掴み、本棚に入れた。
「おかたづけできたー!!」
「偉いね。じゃあ次はご飯の用意だよ」
「にゅー!!」
といっても私が用意するのはカトラリーだけ。
…それ以外は触っちゃダメって言われるんだもん。
お皿落としたりしないのに。

「ただいま」
「ままー!!」
パパと同じように私はママにも抱きついた。
「ぱぱとごはんのよーいちたの。たべよー?」
「ありがとう。遅くなってごめんね?」
「うにゅーぱぱもいってたー」
「あなたもありがとう」
「いや、早く帰れた方が用意するって約束だろ?」
「まぁ…」
…イチャイチャするよりご飯にしません?
5歳児のお腹はそんなに待ってくれないんですよ?
ママとパパがイチャイチャし始めて娘の私を無視してキスしようとした瞬間

ぐぅぅぅ

私のお腹が空腹を告げた。
「まま、ぱぱ。ごはんは?」
「た、食べましょうね!!」
「ああ!!」
焦った2人は私のジト目に気づかなかった。
…はぁ。
別にキスはいいんだよ?
ちょーっと私の心の傷が抉られて塩コショウを塗りたくられるぐらいで。
…娘を放棄してイチャイチャしないでくれません?
現にご飯前でおあずけくらってる状況なんだからさ。
「ままとぱぱはなかよしね」
「「アイル!!」」
だって本当のことだもーん。
私は顔を真っ赤にして恥ずかしがる2人を無視して1人でご飯を食べ始めた。
うむ、パパのご飯美味しい。
ママには負けるけど。
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