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「え?え?タール様?国王陛下?」
「黙ってな。シュルク。」
私は急に止まった馬車に驚き2人に声をかけたのだがタール様に口を塞がれてしまった。
「ん~ん~!!」
「しっ!!」
タール様は私を小さく屈ませた。
「父上…やはり…」
「賊だな。シュルクがおるからな…迂闊に出ていけん。」
「タール様…国王陛下…何が起きてるの?」
「シュルク。ちょっとの間だけ黙っててね。顔を上げちゃいけないよ。」
「タール様…」
タール様は私を撫でると馬車から出ていってしまった。
「タール様!!嫌!!」
私は立ち上がってタール様の元へ駆け寄ろうとしたのだが国王陛下に押さえつけられてしまった。
「今は出ていってはダメだ。大丈夫。タールは強いからな。負けるなんてヘマはしない。」
「でもぉ…タール様ぁ…」
私は静かに涙を流した。
「父上。終わりました。」
「早いな。」
「タール様ぁ!!」
私は戻ってきたタール様に飛びついた。
「ふぇぇ…タール様ぁ…タール様ぁ…」
「…父上。もう1回行ってきます。」
「…殺す気か?」
「えぇ。シュルク僕の天使を泣かせたんですから。」
「タール様ぁ…行かないでぇ…」
私はおでこをスリスリと擦り付けた。
「シュルク。髪が崩れるよ?」
タール様は私を抱き上げ膝に乗せた。
「タール様ぁ…怪我してない?痛いとこない?」
「大丈夫だよ。僕は負けないからね。」
「シュルク…もうタール様から離れない!!」
私はまたおでこをスリスリと擦り付けた。
「…父上。急いでください。」
「はいはい。全くお前…惚れすぎだよ…俺もだけどな。」
国王陛下は更に馬車を急がせた。
私はお城までずっとタール様の膝の上に座っていた。
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