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は~い
シュルクちゃんで~す
前の話を読んでわかるように…
タール様に置いていかれました
広いから自分では歩けないのです…
迷うのです…
「…ではシュルク様。診察を始めましょうか。」
「ひっ!!」
忘れてた…
ここ医務室じゃん
「…い…嫌。」
私は後ずさりして逃げたのだがすぐに壁際まで追い詰められた。
「…た…助けて。」
「診察するだけですから怖くありませんよ。」
医者は私の腕を掴んだ。
そして…注射器を指した。
「ーーーーーーー!!」
私は声にならない声で叫んだ。
「いたぁい!!痛い!!やめて!!」
「採血するだけですから。暴れた方が痛いですよ。」
「痛いものは痛いの~!!嫌~離して~!!」
「終わりましたから。」
私は医者が手を離すとすぐにその腕を庇った。
「ふーーー!!」
「威嚇ですか?」
「ふしゃー!!」
「…人語を話してくださいよ。」
私は背伸びをしてなんとかドアノブをひねり外に出た。
「あこら待ちなさい!!」
「嫌~!!痛いことするもん~!!」
やばいやばい
逃げなければ!!
「シュルク~?どうしてここにいるのかな~?」
おぅふ…
悪魔じゃねぇよ
魔王だよ
「タ…タール様。シュルク痛いの…やなの。」
「何のために僕が医者に任せたか分かってる?」
「分かんない。シュルク3歳だもん。」
「こんな時だけ子供ぶらないの。天才なんでしょ?」
「ふにゃぁ…眠たいのぉ…お昼寝の時間なの…」
私は目をこすった。
なんでこんな時に眠くなるかなぁ…
3歳だから?
「…今日は諦めるか…」
タール様はフラフラしている私を抱き上げた。
「部屋戻るよ。お昼寝するんでしょ?」
「…ふにゃ…おやすみなさい…」
私はタール様に抱き抱えられたまま眠った。
どこでも寝られるのか私…
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