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6.幸福な未来
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波乱の卒業式から数日後、国に通達がなされた。
第一王子の廃嫡および北の塔への幽閉、王と王妃の離宮での療養、
騎士団長子息、宰相子息、財務大臣子息は失脚、
男爵令嬢リリアナ・ヴァンスは平民に落とされ男爵家は取り潰し…と。
通達が成された翌日、今日はリアムの戴冠式と婚約式が行われる事が発表され、
衝撃の発表は平和な報告で塗り替えられた。
それは異例の速さとしか言えない。
それらを取りまとめ発表したのは勿論リアム。
「食えぬ王子だな」
「父上ったら(クスクス)」
ここまで準備万端整えて居たのだから「食えぬ」と言われても仕方ないと言えよう。
皇帝陛下が未だ戻らぬ理由は王が不在となったから、では有るのだが、
娘の婚約式に立ち会うのも目的になって居た。
「騎士団長子息が言いました言葉は、そのまま今の状況に当てはまるのです」
「敵を欺くには味方から…か。
確かにな、あの阿呆が尻尾を出すのに時間は掛からないだろうが、
宰相子息と財務大臣子息の尻尾は出さなかっただろうからな」
「上手い事、隠してましたからね。
どうしても悪を一掃したかったですし…。
皇女殿下には申し訳ない事をしたと思って居ます」
シュン…と犬の耳と尻尾が見えそうなくらいに落ち込むリアム。
クス…と笑った皇女は
「大丈夫ですわ。あの阿呆と縁が切れる事は望んでましたし、
あのまま放置してしまえば何人の妾や愛妾、愛人が出来たか、
判りませんもの」
と溜息まじりに答えた。
「そこまで阿呆なのか、あの王子は」
「ええ、下だけは盛んでしたもの。
わたくし…何度も危機にさらされかけましたが、
ロイド様が助けて下さいましたからね」
「ロイド殿には褒章を与えねばならぬな」
そう何かと王子が自分の部屋へと皇女を引き込もうとしたのだが、
ロイドがアレコレと実際には無い用事で皇女を王子から引き離し、
事なきを得て居たのだ。
「しかし…アゼウスは良くなりそうで良かったわい。
あのまま、あの王子が王となっておれば愚策に民が巻き込まれておっただろう」
「そうですわね、わたくしも王妃と言う名の飾りと化し、
あの男爵令嬢が望むまま政治を動かし、民を顧みず、
戦争をベデュ王国やロマンフチィ王国に仕掛けて居たやも知れませぬ」
「農産国からは農産物を詐取する目的で…海洋王国からは海産物詐取の目的で…
我が国は軍事力…と言った所か?」
「そう…でしょうね。あれは考えが及びませんから…猪突猛進…
突っ込んで負ければスゴスゴ退散。
尻ぬぐいは失敗した自分では無く負けてしまった騎士たち。
押し付ける光景が見えますね」
リアムは首をユルユルと振り有り得ない未来を嘆き、
今に至って居る事を幸福にとらえる事にした。
「皇帝陛下、リアム様、ロゼッタ様、お支度が整いまして御座います」
帝国の従者が3人を迎えに来た事で式典の始まりを告げられる。
「必ず幸せにしますので、私を支えて下さいますか?」
リアムはロゼッタに半身で左手を出し不安げな表情で答えを待つ。
「勿論、お支えさせて頂きますわ」
嬉しそうに幸せそうに微笑み、彼の手に自分の手を重ねるロゼッタ。
少し前まで第一王子の尻ぬぐいに奔走して居たのが嘘のような光景…
未だ信じられないのだが、
皇帝に続いて式場に向かう最中で漸く実感し始めたロゼッタは、
リアムと共に、新しいアゼウスを造って行こうと決意を固めるのだった
完
第一王子の廃嫡および北の塔への幽閉、王と王妃の離宮での療養、
騎士団長子息、宰相子息、財務大臣子息は失脚、
男爵令嬢リリアナ・ヴァンスは平民に落とされ男爵家は取り潰し…と。
通達が成された翌日、今日はリアムの戴冠式と婚約式が行われる事が発表され、
衝撃の発表は平和な報告で塗り替えられた。
それは異例の速さとしか言えない。
それらを取りまとめ発表したのは勿論リアム。
「食えぬ王子だな」
「父上ったら(クスクス)」
ここまで準備万端整えて居たのだから「食えぬ」と言われても仕方ないと言えよう。
皇帝陛下が未だ戻らぬ理由は王が不在となったから、では有るのだが、
娘の婚約式に立ち会うのも目的になって居た。
「騎士団長子息が言いました言葉は、そのまま今の状況に当てはまるのです」
「敵を欺くには味方から…か。
確かにな、あの阿呆が尻尾を出すのに時間は掛からないだろうが、
宰相子息と財務大臣子息の尻尾は出さなかっただろうからな」
「上手い事、隠してましたからね。
どうしても悪を一掃したかったですし…。
皇女殿下には申し訳ない事をしたと思って居ます」
シュン…と犬の耳と尻尾が見えそうなくらいに落ち込むリアム。
クス…と笑った皇女は
「大丈夫ですわ。あの阿呆と縁が切れる事は望んでましたし、
あのまま放置してしまえば何人の妾や愛妾、愛人が出来たか、
判りませんもの」
と溜息まじりに答えた。
「そこまで阿呆なのか、あの王子は」
「ええ、下だけは盛んでしたもの。
わたくし…何度も危機にさらされかけましたが、
ロイド様が助けて下さいましたからね」
「ロイド殿には褒章を与えねばならぬな」
そう何かと王子が自分の部屋へと皇女を引き込もうとしたのだが、
ロイドがアレコレと実際には無い用事で皇女を王子から引き離し、
事なきを得て居たのだ。
「しかし…アゼウスは良くなりそうで良かったわい。
あのまま、あの王子が王となっておれば愚策に民が巻き込まれておっただろう」
「そうですわね、わたくしも王妃と言う名の飾りと化し、
あの男爵令嬢が望むまま政治を動かし、民を顧みず、
戦争をベデュ王国やロマンフチィ王国に仕掛けて居たやも知れませぬ」
「農産国からは農産物を詐取する目的で…海洋王国からは海産物詐取の目的で…
我が国は軍事力…と言った所か?」
「そう…でしょうね。あれは考えが及びませんから…猪突猛進…
突っ込んで負ければスゴスゴ退散。
尻ぬぐいは失敗した自分では無く負けてしまった騎士たち。
押し付ける光景が見えますね」
リアムは首をユルユルと振り有り得ない未来を嘆き、
今に至って居る事を幸福にとらえる事にした。
「皇帝陛下、リアム様、ロゼッタ様、お支度が整いまして御座います」
帝国の従者が3人を迎えに来た事で式典の始まりを告げられる。
「必ず幸せにしますので、私を支えて下さいますか?」
リアムはロゼッタに半身で左手を出し不安げな表情で答えを待つ。
「勿論、お支えさせて頂きますわ」
嬉しそうに幸せそうに微笑み、彼の手に自分の手を重ねるロゼッタ。
少し前まで第一王子の尻ぬぐいに奔走して居たのが嘘のような光景…
未だ信じられないのだが、
皇帝に続いて式場に向かう最中で漸く実感し始めたロゼッタは、
リアムと共に、新しいアゼウスを造って行こうと決意を固めるのだった
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