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閑話~サバンナのその後
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* * * * * * * *
フェリシア奥地の小さな孤児院。
そこで元男爵令嬢、サバンナは猫なで声を止め普通に喋り子供らと笑顔で関わって居た。
「おねえちゃん!これは?」
「残念だわ、それは毒の草。食べては駄目よ?」
「ねーちゃん、これは?」
「まあ!ヨモギだわ。それは切り傷に仕える草なの。取って薬草に使いましょう」
金銭的に余裕のない孤児院では少しでも金子を浮かせる為に、周囲の森に自生する草や茸を食料として採取して居たのだ。
サバンナは元日本人の知識で知って居る限りの毒草や毒キノコをも見分け収穫し、農家に足を向けては形の悪い野菜が有ったら孤児院で使いたいが金子を払えなくても良い品だけを運んで欲しいと頭を下げ肉屋にも足を運んで居た。
「サバンナさん、今日は良い肉が入りましたわ。貴女のおかげね」
「いいえ。肉屋の大将が気を利かせて下さっただけだと思いますわ」
「それでも有難いのよ?貴女が来てくれるまでは毒草や毒キノコなんて見た目では判らないから手を出す事すら出来なかったのに今では山の幸を有難くいただけるまでになってるわ」
「書物から入手して居た知識が役に立って良かったですわ」
異世界の知識と言わず、書物としたのは追及されたとしても説明できないからで有った。
ふんわりと笑顔を浮かべる姿に見惚れる男性が1人…孤児院の様子を遠くから見て居た。
「この孤児院に若い娘…?少し聞いてみるか」
彼女を見て居たのはトンプソン侯爵家の子息、クリスチャン・トンプソン。
彼に縁談が舞い込んでは居るのだが、どうも下心しか持たない女性が多く困り果てて居る状態だったのだ。
孤児院に寄付をしに来た風を装ってシスターに近づいて行く。
「シスター寄付をさせて頂きたいと思い立ち寄らせて頂きましたが、見た事の無い女性がいらっしゃるようですね?」
「まぁ。クリスチャン様、彼女は男性から逃げて来たらしいのですわ。この孤児院を知って居るヴァリュー王国の男爵家に執事として仕えて居た方の紹介で、この孤児院に来て頂いた方ですの。とても良く働いてくれて子供たちにも人気ですのよ?」
「(へぇ…それは珍しい。男爵家の令嬢で有れば、このような孤児院は嫌うで有ろうに好んで逃げて来るなど、余程、怖い相手か変態だったのだろうな)そうでしたか、お近づきになるのは難しいでしょうか」
「声を掛けてみられませんか?」
「い、いや…流石に男性から逃げて来たので有れば怖がりませんか?」
「サバンナー」
クリス(クリスチャンの愛称)が止める間も無く、シスターがサバンナを呼んでしまった。
「シスター?」
子供たちの手を引き、腕には籠(かご)いっぱいの薬草が多く入って居るようだった。
「あなた殿方から逃げて来たと言って居ましたが、全ての男性が駄目なのかしら?」
「いいえ。元夫が駄目でして、金子を際限なく使い経済を圧迫して居たから逃げて来ましたの」
「では男性が嫌いと言う訳では無いのですか?」
「え、ええ。あの…貴方様は?」
「申し遅れました。私はトンプソン侯爵家の長男クリスチャン・トンプソンと申します。君に婚姻を申し込んだとしても受けて貰えるだろうか?」
「「ええっ?!」」
シスターとサバンナは驚きの声を上げてしまう。
「侯爵家の方が男爵家から名乗る事を禁じられた子女を妻に望んで下さると言うのですか?!」
「ええ、私と結婚して頂けますか?」
そう告げると左ひざを落とし右手でサバンナの手を取り唇を寄せた。
驚いて返事も出来ないサバンナだが、子供たちが
「「「おねえちゃん、おめでとー!」」」
と、すっかり申し込みを受けたかの如く祝いの言葉を発したため、苦笑しながらも
「・・・わたくし、元はヴァリュー王国第二王子様に粉を掛け、婚約者の地位を得ましたのよ?それだけでは無く、無礼な振る舞いを侯爵令嬢の方にして居ましたの。全てを知った上で、申し込んで下さるのかしら?」
「勿論です」
揺るがない言葉にサバンナも「この方ならば…」と心が決まり
「クリスチャン様の申し出をお受け致しますわ」
と戸惑いながらも彼からの申し込みに応じ、幸福な未来を手に入れたのだった
フェリシア奥地の小さな孤児院。
そこで元男爵令嬢、サバンナは猫なで声を止め普通に喋り子供らと笑顔で関わって居た。
「おねえちゃん!これは?」
「残念だわ、それは毒の草。食べては駄目よ?」
「ねーちゃん、これは?」
「まあ!ヨモギだわ。それは切り傷に仕える草なの。取って薬草に使いましょう」
金銭的に余裕のない孤児院では少しでも金子を浮かせる為に、周囲の森に自生する草や茸を食料として採取して居たのだ。
サバンナは元日本人の知識で知って居る限りの毒草や毒キノコをも見分け収穫し、農家に足を向けては形の悪い野菜が有ったら孤児院で使いたいが金子を払えなくても良い品だけを運んで欲しいと頭を下げ肉屋にも足を運んで居た。
「サバンナさん、今日は良い肉が入りましたわ。貴女のおかげね」
「いいえ。肉屋の大将が気を利かせて下さっただけだと思いますわ」
「それでも有難いのよ?貴女が来てくれるまでは毒草や毒キノコなんて見た目では判らないから手を出す事すら出来なかったのに今では山の幸を有難くいただけるまでになってるわ」
「書物から入手して居た知識が役に立って良かったですわ」
異世界の知識と言わず、書物としたのは追及されたとしても説明できないからで有った。
ふんわりと笑顔を浮かべる姿に見惚れる男性が1人…孤児院の様子を遠くから見て居た。
「この孤児院に若い娘…?少し聞いてみるか」
彼女を見て居たのはトンプソン侯爵家の子息、クリスチャン・トンプソン。
彼に縁談が舞い込んでは居るのだが、どうも下心しか持たない女性が多く困り果てて居る状態だったのだ。
孤児院に寄付をしに来た風を装ってシスターに近づいて行く。
「シスター寄付をさせて頂きたいと思い立ち寄らせて頂きましたが、見た事の無い女性がいらっしゃるようですね?」
「まぁ。クリスチャン様、彼女は男性から逃げて来たらしいのですわ。この孤児院を知って居るヴァリュー王国の男爵家に執事として仕えて居た方の紹介で、この孤児院に来て頂いた方ですの。とても良く働いてくれて子供たちにも人気ですのよ?」
「(へぇ…それは珍しい。男爵家の令嬢で有れば、このような孤児院は嫌うで有ろうに好んで逃げて来るなど、余程、怖い相手か変態だったのだろうな)そうでしたか、お近づきになるのは難しいでしょうか」
「声を掛けてみられませんか?」
「い、いや…流石に男性から逃げて来たので有れば怖がりませんか?」
「サバンナー」
クリス(クリスチャンの愛称)が止める間も無く、シスターがサバンナを呼んでしまった。
「シスター?」
子供たちの手を引き、腕には籠(かご)いっぱいの薬草が多く入って居るようだった。
「あなた殿方から逃げて来たと言って居ましたが、全ての男性が駄目なのかしら?」
「いいえ。元夫が駄目でして、金子を際限なく使い経済を圧迫して居たから逃げて来ましたの」
「では男性が嫌いと言う訳では無いのですか?」
「え、ええ。あの…貴方様は?」
「申し遅れました。私はトンプソン侯爵家の長男クリスチャン・トンプソンと申します。君に婚姻を申し込んだとしても受けて貰えるだろうか?」
「「ええっ?!」」
シスターとサバンナは驚きの声を上げてしまう。
「侯爵家の方が男爵家から名乗る事を禁じられた子女を妻に望んで下さると言うのですか?!」
「ええ、私と結婚して頂けますか?」
そう告げると左ひざを落とし右手でサバンナの手を取り唇を寄せた。
驚いて返事も出来ないサバンナだが、子供たちが
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と、すっかり申し込みを受けたかの如く祝いの言葉を発したため、苦笑しながらも
「・・・わたくし、元はヴァリュー王国第二王子様に粉を掛け、婚約者の地位を得ましたのよ?それだけでは無く、無礼な振る舞いを侯爵令嬢の方にして居ましたの。全てを知った上で、申し込んで下さるのかしら?」
「勿論です」
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と戸惑いながらも彼からの申し込みに応じ、幸福な未来を手に入れたのだった
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