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出立編
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* * * *
ポルタ村で馬を借りられた事で、馬車との距離を心配する必要は無くなったのだが、令嬢はトラブルメーカーのような気がして来たぞ。
「・・・バルト、気付いて居るか?」
「ああ。何故か嬢ちゃんが移動し始めたと同時に動いた連中の気配が有るな」
「お嬢様を狙う阿呆と野盗…どっちだと思う?」
気配だけでどちらか把握できはしないのだが、予測ってモンは立つと踏んで居た。
「野盗っぽいなぁ。歩き方とか統制の取れた移動の仕方とか…」
「同意見で良かった。付け狙う阿呆なら脅して追い払えるが野盗だと…」
ちらり・・・と令嬢付きの護衛を見たが、役に立ちそうに無いとバルトとアレクは溜息を吐き出した。
「「はぁ。駄目だろうな」」
「俺は右後方に行く。アレクは左を頼む」
「了解…」
実践は初めてだけど、アレクさんは、剣術に長けてるだろうから頼らせて貰うわよ?
馬の腹を蹴りバルトは右後方に向かい、アレクは左後方に動いた。
その動きに驚いたのは令嬢付きの護衛たち。
「「何ぃ?!一瞬で後方に移動しただと!?」」
護衛の1人がバルトの動きに視線を向けると、その先に獲物を狙って向かう野盗の姿を捉えたのだ。
「ま、まさか!?あの2人は後方から襲撃しようとして居た奴らの気配に気付き移動したのか?!」
「俺たちは馬車を守らなくてはならんぞ!!」
たった4人しか居ないと言うのを見越した襲撃。
侯爵クラスなら大勢の護衛が居そうなものなのだが、この令嬢はケチったのか、はたまた拒否ったのやら。
本来なら馬車は襲撃を受け金品を強奪され、お嬢様は強姦されてしまって居た筈。
それをたった2人…それも最初の村に向かう途中で雇った2人の男性が切り捨てて居る姿は圧巻・・・の一言に集約されるだろう。
「何事です?」
「それが…侯爵家の馬車を狙う野盗が現れたのですが…」
「先ほど、お雇いになられた2名の男性が…20名程を・・・あっさり倒してしまったのです」
「え・・・」
サーっと、血の気が引いて行く令嬢。
自分が雇って居なければ襲われて居たかも知れない、それだけでなく馬車が立ち往生して居なければ、この時間帯に通る事も無かった。
全てが襲撃を計画的に行われて居たとすれば、完全に令嬢の命もしくは純潔を奪われて居た事が推測できたのだ。
返り血を浴びる事なく殲滅したバルトとアレクが馬車へと戻って行くと
「お、お前たちは化け物か!?」「たった2人で…20名を殲滅してしまうとか有り得ない!」
と言う驚愕の言葉が投げかけられるのだが、バルトとアレクは至って普通に
「「一応これでも騎士を目指してるんで」」
と答えた。
護衛騎士と討伐騎士、宮廷騎士。
まあ私が知って居るだけの騎士では有るが、俺とバルトが目指すのは討伐騎士。
勿論、王族を守る宮廷騎士も魅力では有るが、どの騎士に適性が有るか試験を受けなければ判らないのだ。
その為、バルトとアレクは王都へ向かって居るのだが、この令嬢がトラブルを抱えて居るのか恨みを買ってしまったのかまでは定かで無いものの、村から村への移動の度に狙われちゃーたまったもんじゃない。
「わ、わたくし命を狙われたのでしょうか?」
「そこまでは判り兼ねます。お…私とバルトで殲滅したのは野盗で、金品目的の者たちかと思われるとしか、お伝え出来兼ねます」
はあ…未だ2日目の昼前だぞ。王都まで3日も掛かるのか。
本当(ほんと)前途多難と言うか先行き不透明と言うか…貧乏くじ引いちまった
ポルタ村で馬を借りられた事で、馬車との距離を心配する必要は無くなったのだが、令嬢はトラブルメーカーのような気がして来たぞ。
「・・・バルト、気付いて居るか?」
「ああ。何故か嬢ちゃんが移動し始めたと同時に動いた連中の気配が有るな」
「お嬢様を狙う阿呆と野盗…どっちだと思う?」
気配だけでどちらか把握できはしないのだが、予測ってモンは立つと踏んで居た。
「野盗っぽいなぁ。歩き方とか統制の取れた移動の仕方とか…」
「同意見で良かった。付け狙う阿呆なら脅して追い払えるが野盗だと…」
ちらり・・・と令嬢付きの護衛を見たが、役に立ちそうに無いとバルトとアレクは溜息を吐き出した。
「「はぁ。駄目だろうな」」
「俺は右後方に行く。アレクは左を頼む」
「了解…」
実践は初めてだけど、アレクさんは、剣術に長けてるだろうから頼らせて貰うわよ?
馬の腹を蹴りバルトは右後方に向かい、アレクは左後方に動いた。
その動きに驚いたのは令嬢付きの護衛たち。
「「何ぃ?!一瞬で後方に移動しただと!?」」
護衛の1人がバルトの動きに視線を向けると、その先に獲物を狙って向かう野盗の姿を捉えたのだ。
「ま、まさか!?あの2人は後方から襲撃しようとして居た奴らの気配に気付き移動したのか?!」
「俺たちは馬車を守らなくてはならんぞ!!」
たった4人しか居ないと言うのを見越した襲撃。
侯爵クラスなら大勢の護衛が居そうなものなのだが、この令嬢はケチったのか、はたまた拒否ったのやら。
本来なら馬車は襲撃を受け金品を強奪され、お嬢様は強姦されてしまって居た筈。
それをたった2人…それも最初の村に向かう途中で雇った2人の男性が切り捨てて居る姿は圧巻・・・の一言に集約されるだろう。
「何事です?」
「それが…侯爵家の馬車を狙う野盗が現れたのですが…」
「先ほど、お雇いになられた2名の男性が…20名程を・・・あっさり倒してしまったのです」
「え・・・」
サーっと、血の気が引いて行く令嬢。
自分が雇って居なければ襲われて居たかも知れない、それだけでなく馬車が立ち往生して居なければ、この時間帯に通る事も無かった。
全てが襲撃を計画的に行われて居たとすれば、完全に令嬢の命もしくは純潔を奪われて居た事が推測できたのだ。
返り血を浴びる事なく殲滅したバルトとアレクが馬車へと戻って行くと
「お、お前たちは化け物か!?」「たった2人で…20名を殲滅してしまうとか有り得ない!」
と言う驚愕の言葉が投げかけられるのだが、バルトとアレクは至って普通に
「「一応これでも騎士を目指してるんで」」
と答えた。
護衛騎士と討伐騎士、宮廷騎士。
まあ私が知って居るだけの騎士では有るが、俺とバルトが目指すのは討伐騎士。
勿論、王族を守る宮廷騎士も魅力では有るが、どの騎士に適性が有るか試験を受けなければ判らないのだ。
その為、バルトとアレクは王都へ向かって居るのだが、この令嬢がトラブルを抱えて居るのか恨みを買ってしまったのかまでは定かで無いものの、村から村への移動の度に狙われちゃーたまったもんじゃない。
「わ、わたくし命を狙われたのでしょうか?」
「そこまでは判り兼ねます。お…私とバルトで殲滅したのは野盗で、金品目的の者たちかと思われるとしか、お伝え出来兼ねます」
はあ…未だ2日目の昼前だぞ。王都まで3日も掛かるのか。
本当(ほんと)前途多難と言うか先行き不透明と言うか…貧乏くじ引いちまった
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