捨てられた男から召喚士の頂点へ:悪女ハーレムと共に王国を創る

Ryusasaki

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第5話. 崩壊を企む司令官

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空が赤く染まり始めた頃、カイトはアデルハイドの鋼鉄の意志に屈服した二人の兵士を伴い、森の小さな空き地に戻った。

木々の間には、新たに募集された十人の兵士が整列していた。年齢も出身も異なるが、全員が共通して持っているものがあった。
――虚ろで従順な眼差し。
アデルハイドが「聖なる毒」として彼らに植え付けたイデオロギーによって浄化された目だった。

カイトは一人一人を観察し、まだ完全には信じられないでいた。

「……本当に全員が味方なのか?」

「疑う理由はありません」アデルハイドが軍人口調で答えた。
「自分の意志では行動しませんが、あなたの指揮下では信仰の対象のようにあなたに従います」

兵士の一人が前に出て、古びた革に包まれた羊皮紙を差し出した。

「地図です、我が主」

カイトはそれを受け取った。手が震えていたが、恐怖ではなく……興奮だった。
地図にはアヴェルノール王国のすべての要所が示されていた。
要塞、村、倉庫、交易ルート、警備された国境地帯……

あらゆる線、あらゆる記号。
すべてが今、彼の前にあった。

「……これが俺の手の中に……」

「信じなさい」アデルハイドが地図の上に身を乗り出して言った。
「この瞬間から、あなたの決断が世界の運命を変えます」

カイトは唾を飲み込んだ。
胸の中には、かつて糞に覆われて眠った少年の記憶がまだ残っていた。

彼は地図を平らな岩の上に広げ、地面に膝をついた。

「ここ……この倉庫は北部の三つの駐屯地に物資を供給している。
これを破壊すれば、王国は資源の再分配を余儀なくされる」

「盗賊の襲撃に見せかけることができます」アデルハイドが提案した。
「混沌の中に秩序を作り出すのです」

「そしてこの国境の村……警備は最小限で貧しい。
誰も気にかけない。でもこれを拠点として使えば……気づいた時にはもう手遅れだ」

アデルハイドは誇らしげな眼差しで頷いた。

「もう征服者のように考えていますね」

カイトは深く息を吸い、立ち上がった。

「よく聞け」

兵士たちの方を向いた。

「この王国は……この腐ったシステムは俺を『ゴミ』と呼んだ。
唾を吐きかけ、見捨て、殺そうとした。
だが今、俺が彼らを見下ろす。
憎しみではなく……戦略をもって」

兵士たちが一斉に敬礼した。

「了解、司令官!」

カイトは再び地図に視線を固定した。

「まずドライスブルクの村を奪取する。
忘れ去られた場所だ。我々の主要拠点となる」

「……もし王国が何か異変に気づいたら?」アデルハイドが尋ねた。

「気づかせればいい」カイトは躊躇なく答えた。
「脅威が近づいていることを理解させろ。
彼ら自身が軽蔑した『辺境』から、彼らの理解を超える何かが生まれたことを」

アデルハイドの唇がわずかに曲がった。
その微笑みは……危険だった。

「もうあの泣いていた飢えた子供ではないのですね?」

「……違う。
俺は『不可避の破壊』の司令官だ」

その日、作戦の準備が始まった。
アデルハイドの軍事知識と服従した兵士たちの経験をもって、部隊の編成、物資の調達、攻撃計画を進めた。

木材、道具、食料。
そして「旗」の仮デザインも命じた。
黒を背景に、まだ不明確な記号――
恐怖と好奇心を呼び起こすことができる紋章。

夜が訪れると、兵士たちは交代で休憩した。
カイトとアデルハイドは焚き火の前に座り、沈黙していた。

「……まさかここまでやれるとは思わなかった」カイトが呟いた。

「まだ『やれた』わけではありません」アデルハイドが柔らかく、しかし正確に答えた。
「でもなりつつあります」

「俺は……彼らのような人間になっているんじゃないか……?」

アデルハイドはわずかに視線をそらした。

「『彼ら』? 村を焼き、イデオロギーを殺し、恐怖で人々を支配した者たちのことですか?」

カイトはわずかに頷いた。

彼女は髪を耳の後ろにかけた。

「怪物と救世主の違いは『正当性』です、司令官。
彼らは自分の欲望で統治しました。
あなたは違う。あなたはただ自分の価値を証明したいだけ。
だから……あなたには従う価値があるのです」

炎がカイトの顔を照らしていた。

「……もしいつか権力を楽しむようになったら?」

アデルハイドは静かに近づき、低い声で話した。

「その時は私が思い出させます。
それでも聞かなければ……
私自身があなたを止めます」

カイトは驚いて彼女を見た。

「……俺を殺すのか?」

「もしリーダーの資格を裏切るなら」

カイトは疲れた様子で微笑んだ。
しかしその笑みには満足があった。

「……本当に危険な女だな」

「そして同時に、あなたの最も忠実な盾です」

カイトは岩に背中を預け、目を閉じた。

「……じゃあ、どこまで行けるか試してみよう……アデルハイド」

彼女は答えなかった。
しかし彼のそばから離れなかった。

カイトが眠っている間も、彼女は目を閉じなかった。

なぜなら――

彼が休んでいても、
世界はすでに動き始めていたから。

そしてその夜、アヴェルノール王国はまだ知らなかった――

その崩壊が
すでに始まっていたことを。
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