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㊲リュセル
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教室の放課後。
昼休みにアリセアと話しをした時。
彼女が巻き込むことは出来ないと言うから、俺のやり方で勝手にすると宣言したら。
それからというもの彼女からの視線が、たびたび憂いを帯びた目で見られているのを感じていた。
(あー……逆に心配かけてるか……)
とはいえ、フォートにも、どうすることも出来ない。
「フォート、もう帰るの?」
アリセアの、じっと、下から見あげられるその眼差しに、フォートの胸がぎゅっと縮んだ。
「あぁ、また明日な」
「うん……今日は話せてよかったよ。また明日ね」
名残惜しそうにこちらを見上げながらも、アリセアはふと視線を伏せた。
まだ何か言いたそうな気配を残して。
俺も、これ以上ここにいたら、またアリセアに余計なことを言ってしまいそうで背を向けた。
ー俺を選べよー
なんて、な。
******
「はぁ……」
フォートのため息が、静まりかえった部屋に滲むように溶けた。
部屋の中は静まりかえり、夕暮れの光がカーテンの隙間から淡く差し込んでいる。
その温かな色の中、ふと視界の端に、懐かしい背表紙が映った。
――アリセアから借りた本。
随分前のことだ。
やべ……返してなかったっけ。
そう思ったが、今の彼女に返しても、きっと忘れてしまっているだろう。
眉を寄せて考える、戸惑う姿がありありと、思い浮かぶようだ。
「アリセア……」
その名を呼んだ時、不意に脳裏に蘇るのは、
首筋に浮かんだ、かすかな鬱血痕。
そして、彼女の周りの、淡い光の粒子。
その光は金糸のように揺らめきながら、耳元で小さく囁くような音を立てている。
おそらく……言葉にできない精霊の“祝福”そのもの。
今日、学校に復帰して早々。
それを見た時、"聞いた時”初めて、フォートは彼女の中に、
微量の“誰かの魔力”が流れていることを悟った。
誰か、なんて。
それを見たら、触れなくともわかる。
ユーグスト・アルゼイン
アストリア帝国の第2王子。
その実力は俺でも知っている。
過去、王立古代魔法研究員としても席を置き、それまで信じられていた基礎魔法理論を見事にひっくり返しーー
また、農村の復興や、財政改革、さらには福祉政策に力を入れている。
その功績を……鼻にかける訳でも無く、
ただ静かに、たんたんと。
彼が、歩く道に、爪あとを残していく。
外交に長けている兄の皇太子の方が注目が集まりやすいが、内助の功のように、ユーグスト殿下の信頼も、民から厚い。
それは、表では語られない"内の強さ"があるからだ。
「……そりゃ、勝てるわけねぇよな」
まるで、信頼度も違うだろう。
彼女の祝福は……精霊に愛されているーーそう称されているユーグストからの寵愛を受けたせいなのだろうか。
正直、彼女の事は、思っていた以上に、かなりのショックを与えた。
でも同時に、彼ならば仕方がないと思う自分もいて。
それが彼女の意思ならば、見守りたいとも思った。
ただ、それが自分があの時、ユーグスト殿下にあれこれ言ったせいだとしたら——。
(……責任、あるかもな)
彼女が誰かにすがるような心でいるのだとしたら。
あの、アリセアの表情が、それを示しているようだった。
彼女もまた、不安定な心の揺れをしているようだった。
(……なるべくして、なった関係かもしれない)
ただ、ユーグスト殿下の独りよがりで彼女を……で、なければいいのが。
けれど。
「どんな貴方でも、フォートはフォートだよね」なんて。
アリセアが笑ってくれたから。
その瞬間、"全ての自分”まで肯定してくれたようで。
過去の、大切だった“あの人”の面影が、アリセアに重なった。
そうしたら、例えどんな彼女でも。
笑ってくれていたらいいと、初めて気がついた。
「……他の案件もあるし、そろそろ俺も同時に動かないとな」
そう言って、わざと軽口で、言葉に出してみた。
『そろそろヤツを見つけよ』
ーー彼の言葉が、脳裏に甦る。
本格的に行動開始しなければ。
「さてと、……
リュセル」
フォートが、その名を呼んだだけで、空間から光の輪が出現した。
空間を切り開くようにして、影が出て……。
その影が、光り輝き……姿を現した。
それは、羽のある小さな白い鳥ーー手のひらサイズに収まる小ささである。
「お前っ、……またその姿か!」
フォートが、苦笑を漏らす。
神妙だった空気が、ふっと崩れた。
忘れていた。
こいつ、こういうやつだった。
『主さま~! ね、この姿、案外かわいいって言われるんですよ?』
リュセルは楽しげに羽ばたきながら、部屋の中をくるくる飛び回る。
「はいはい……」
フォートは肩をすくめて、軽く息をついた。
「……まあ、目立たねぇなら、丁度いいけどな」
小鳥の姿なら、視認しづらく、見られたとしても害はない。
あれを探すには、ちょうどいい。
『何か御用ですか』
リュセルが小鳥の姿で首を傾げる。
「あいつを探して欲しい……」
『あいつって……』
「アリセアのそばにいた………精霊のことだ」
そう言って、フォートは、リュセルの頭を、人指し指で触れる。
今までの記憶の断片をリュセルにみせるためだ。
『はいはいはい、あ~図書館にいた精霊ですね……。はい、はい、……え、あらら。主も報われないですね』
「いったん、黙れ」
気の抜ける返答に、額を押さえそうになる。
アリセアのそばに居ながらも、こいつで探す方が余程安全で効率が良い。
まず彼女が何に巻き込まれているか確認してからでも、彼の件は遅くはないはず。
例えリュセルが見つかろうと、その姿なら問題がなさそうだ。
『精霊の探索は、主さまの方が見つけるのが早いのでは?』
「俺は俺でやることがある」
『承知しました~では、今からでも行ってまいります』
「頼む」
リュセルの姿がポンッと光の粒子となって消えた。
静けさだけが残る部屋に、やっと、フォートは安堵のため息をついた。
ふと、窓の外を見ると、すっかり漆黒の空となっていた……。
アリセアのまわりで、何かが動いているならーー見逃すわけにはいかない。
「……何が見えても、すぐに動けるようにしとかないとな」
学園そのものを網で覆うような境界術。
誰にも気づかれず、内側の異変だけを拾う“目”が必要だ。
フォートは静かに床に立ち、瞼を閉じる。
次の瞬間――その瞳が開かれたとき、
彼の足元に青い魔法陣が、音もなく展開された。
一言の詠唱もない。
ただ静かに、淡々と。
青く輝くその術式は、ゆるやかに、しかし確かに回転を続ける。
通常ならば、魔法は詠唱がなければ発動しない。
だが、彼は当然のように、その光景を受け入れていた。
そしてためらいなく。
自分の親指を
………口で噛みきった。
淡く光るその魔法陣に、血を1滴……垂らす。
その瞬間、今度は陣が青紫色に輝きだし、フォートは足元から照らされーー。
「っ……!!」
頭が揺れ、……視界が滲んだ。
「想像以上に……きついな……」
膨大な魔力が、一瞬で吸われていく。
気を緩めれば倒れてしまいそうになる。
それでも——
せっかく発動したんだ。
無駄にしねぇ。
フォートは、視線を下に向け、目を細めて見据えた。
「学園ごと……張ってやる」
魔法陣が一気に広がり、青紫の光が床を這い、壁を走る。
まるで学園そのものを網で覆うように編み込まれていく。
透明な……誰も気が付けない“彼の境界”になるように。
「はっ……これで覆ったはずだ」
それでも、魔力が完全に回復するのに暫くかかるかもしれない。
フォートは、息をついた。
冷や汗が、頬を伝い、肩で息をする。
例えアリセアがあいつを選んでも……。
「俺は……俺のやり方で」
彼女を……。
フォートの呟きは、夜の闇に……溶けていった。
昼休みにアリセアと話しをした時。
彼女が巻き込むことは出来ないと言うから、俺のやり方で勝手にすると宣言したら。
それからというもの彼女からの視線が、たびたび憂いを帯びた目で見られているのを感じていた。
(あー……逆に心配かけてるか……)
とはいえ、フォートにも、どうすることも出来ない。
「フォート、もう帰るの?」
アリセアの、じっと、下から見あげられるその眼差しに、フォートの胸がぎゅっと縮んだ。
「あぁ、また明日な」
「うん……今日は話せてよかったよ。また明日ね」
名残惜しそうにこちらを見上げながらも、アリセアはふと視線を伏せた。
まだ何か言いたそうな気配を残して。
俺も、これ以上ここにいたら、またアリセアに余計なことを言ってしまいそうで背を向けた。
ー俺を選べよー
なんて、な。
******
「はぁ……」
フォートのため息が、静まりかえった部屋に滲むように溶けた。
部屋の中は静まりかえり、夕暮れの光がカーテンの隙間から淡く差し込んでいる。
その温かな色の中、ふと視界の端に、懐かしい背表紙が映った。
――アリセアから借りた本。
随分前のことだ。
やべ……返してなかったっけ。
そう思ったが、今の彼女に返しても、きっと忘れてしまっているだろう。
眉を寄せて考える、戸惑う姿がありありと、思い浮かぶようだ。
「アリセア……」
その名を呼んだ時、不意に脳裏に蘇るのは、
首筋に浮かんだ、かすかな鬱血痕。
そして、彼女の周りの、淡い光の粒子。
その光は金糸のように揺らめきながら、耳元で小さく囁くような音を立てている。
おそらく……言葉にできない精霊の“祝福”そのもの。
今日、学校に復帰して早々。
それを見た時、"聞いた時”初めて、フォートは彼女の中に、
微量の“誰かの魔力”が流れていることを悟った。
誰か、なんて。
それを見たら、触れなくともわかる。
ユーグスト・アルゼイン
アストリア帝国の第2王子。
その実力は俺でも知っている。
過去、王立古代魔法研究員としても席を置き、それまで信じられていた基礎魔法理論を見事にひっくり返しーー
また、農村の復興や、財政改革、さらには福祉政策に力を入れている。
その功績を……鼻にかける訳でも無く、
ただ静かに、たんたんと。
彼が、歩く道に、爪あとを残していく。
外交に長けている兄の皇太子の方が注目が集まりやすいが、内助の功のように、ユーグスト殿下の信頼も、民から厚い。
それは、表では語られない"内の強さ"があるからだ。
「……そりゃ、勝てるわけねぇよな」
まるで、信頼度も違うだろう。
彼女の祝福は……精霊に愛されているーーそう称されているユーグストからの寵愛を受けたせいなのだろうか。
正直、彼女の事は、思っていた以上に、かなりのショックを与えた。
でも同時に、彼ならば仕方がないと思う自分もいて。
それが彼女の意思ならば、見守りたいとも思った。
ただ、それが自分があの時、ユーグスト殿下にあれこれ言ったせいだとしたら——。
(……責任、あるかもな)
彼女が誰かにすがるような心でいるのだとしたら。
あの、アリセアの表情が、それを示しているようだった。
彼女もまた、不安定な心の揺れをしているようだった。
(……なるべくして、なった関係かもしれない)
ただ、ユーグスト殿下の独りよがりで彼女を……で、なければいいのが。
けれど。
「どんな貴方でも、フォートはフォートだよね」なんて。
アリセアが笑ってくれたから。
その瞬間、"全ての自分”まで肯定してくれたようで。
過去の、大切だった“あの人”の面影が、アリセアに重なった。
そうしたら、例えどんな彼女でも。
笑ってくれていたらいいと、初めて気がついた。
「……他の案件もあるし、そろそろ俺も同時に動かないとな」
そう言って、わざと軽口で、言葉に出してみた。
『そろそろヤツを見つけよ』
ーー彼の言葉が、脳裏に甦る。
本格的に行動開始しなければ。
「さてと、……
リュセル」
フォートが、その名を呼んだだけで、空間から光の輪が出現した。
空間を切り開くようにして、影が出て……。
その影が、光り輝き……姿を現した。
それは、羽のある小さな白い鳥ーー手のひらサイズに収まる小ささである。
「お前っ、……またその姿か!」
フォートが、苦笑を漏らす。
神妙だった空気が、ふっと崩れた。
忘れていた。
こいつ、こういうやつだった。
『主さま~! ね、この姿、案外かわいいって言われるんですよ?』
リュセルは楽しげに羽ばたきながら、部屋の中をくるくる飛び回る。
「はいはい……」
フォートは肩をすくめて、軽く息をついた。
「……まあ、目立たねぇなら、丁度いいけどな」
小鳥の姿なら、視認しづらく、見られたとしても害はない。
あれを探すには、ちょうどいい。
『何か御用ですか』
リュセルが小鳥の姿で首を傾げる。
「あいつを探して欲しい……」
『あいつって……』
「アリセアのそばにいた………精霊のことだ」
そう言って、フォートは、リュセルの頭を、人指し指で触れる。
今までの記憶の断片をリュセルにみせるためだ。
『はいはいはい、あ~図書館にいた精霊ですね……。はい、はい、……え、あらら。主も報われないですね』
「いったん、黙れ」
気の抜ける返答に、額を押さえそうになる。
アリセアのそばに居ながらも、こいつで探す方が余程安全で効率が良い。
まず彼女が何に巻き込まれているか確認してからでも、彼の件は遅くはないはず。
例えリュセルが見つかろうと、その姿なら問題がなさそうだ。
『精霊の探索は、主さまの方が見つけるのが早いのでは?』
「俺は俺でやることがある」
『承知しました~では、今からでも行ってまいります』
「頼む」
リュセルの姿がポンッと光の粒子となって消えた。
静けさだけが残る部屋に、やっと、フォートは安堵のため息をついた。
ふと、窓の外を見ると、すっかり漆黒の空となっていた……。
アリセアのまわりで、何かが動いているならーー見逃すわけにはいかない。
「……何が見えても、すぐに動けるようにしとかないとな」
学園そのものを網で覆うような境界術。
誰にも気づかれず、内側の異変だけを拾う“目”が必要だ。
フォートは静かに床に立ち、瞼を閉じる。
次の瞬間――その瞳が開かれたとき、
彼の足元に青い魔法陣が、音もなく展開された。
一言の詠唱もない。
ただ静かに、淡々と。
青く輝くその術式は、ゆるやかに、しかし確かに回転を続ける。
通常ならば、魔法は詠唱がなければ発動しない。
だが、彼は当然のように、その光景を受け入れていた。
そしてためらいなく。
自分の親指を
………口で噛みきった。
淡く光るその魔法陣に、血を1滴……垂らす。
その瞬間、今度は陣が青紫色に輝きだし、フォートは足元から照らされーー。
「っ……!!」
頭が揺れ、……視界が滲んだ。
「想像以上に……きついな……」
膨大な魔力が、一瞬で吸われていく。
気を緩めれば倒れてしまいそうになる。
それでも——
せっかく発動したんだ。
無駄にしねぇ。
フォートは、視線を下に向け、目を細めて見据えた。
「学園ごと……張ってやる」
魔法陣が一気に広がり、青紫の光が床を這い、壁を走る。
まるで学園そのものを網で覆うように編み込まれていく。
透明な……誰も気が付けない“彼の境界”になるように。
「はっ……これで覆ったはずだ」
それでも、魔力が完全に回復するのに暫くかかるかもしれない。
フォートは、息をついた。
冷や汗が、頬を伝い、肩で息をする。
例えアリセアがあいつを選んでも……。
「俺は……俺のやり方で」
彼女を……。
フォートの呟きは、夜の闇に……溶けていった。
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