そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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2 学園編

60 お店に行ってみる

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「次はどこに行ってみたいの」
セオが尋ねる。
本当は市場に行ってみたいけど、今日はお店ぐらいが無難かな?初めてだし。
私の知ってる市場って小さいお店がいっぱいあって色々なものを店先に並べてあるところ。
この世界でも同じ感じかな?
だとすると通路も狭いし、複雑だから護衛が難しそうだもんね。

「お店かな?普段に使うペンとか見てみたい」
そう言うと、セオドアとリーラとジョセフは相談して、近くにある文房具店に連れて行ってくれた。

「ここが今評判の店みたいだよ」
お店に入ると、そこはキラキラと輝く色と光が溢れるペンと紙やノートに満ちた別世界だった。
うわー可愛い、テンション上がる!

ガラスでできたペンや、綺麗な表紙のノート。
本をくくるためのカラフルな紐やガラス製のチャームにもドキドキしちゃう。
やっぱり、毎日の授業を楽しく受けるためには文房具って重要だよね?

「あ、綺麗‥‥‥」私はカラフルな色が混じり合ったガラス細工に目を惹かれた。
これって私の色?
薄い金地に藍色と濃い金が混じり合うようなガラス玉に目が奪われる。
前世にあったとんぼ玉見たいな感じ?
紐を通して、どこかにぶら下げるような飾り物だ。

他にどんな色があるのかな?

若草色のガラス細工はセオドアの瞳みたい。
明るい茶色はジョセフかぁ。
それから‥‥‥

「お嬢様、ずいぶん熱心にご覧になってますね?」
お店の人が優しく話しかけて来た。
「こちらは、お守りになると人気のガラス細工なんですよ?今日の記念にいかがですか?」
にっこり。優しげな女の人が話しかけてくる。
「思う人の色を胸元に入れていると思いが通じるって人気なんですよ。たくさんのお客様がこのガラス細工で思いがかなったって報告に来てくださったんですよ。お嬢様も好きな方のお色をお持ちになると、願いが叶うかもしれませんよ?」
「お、思う人なんて‥‥‥」
顔がポカポカと熱くなってくる。
「あらあら、まだ早かったですかね?お可愛らしい。でもこのおまじないのお話は誰にでもしているわけじゃないんですよ?ふふふ」
お姉さんの茶色い優しげな瞳が微笑みかけてくる。
「何色が欲しいですか?ここになければ探して参りますよ」
「‥‥‥!」
は、恥ずかしい。どうしよう。でもその時浮かんだ色を言えるわけがない。
「だ、大丈夫です!ま、まだ‥‥‥まだわからないので」
そう言うだけでやっとだった。
「あ、でも今日はこれをください」
私は私の色のガラス細工を指差した。
「素敵な色合いですね。」
店員さんがにっこりして綺麗にラッピングしてくれた。
代金はそれほど高くなく、私の持っていたお小遣いでも十分支払えたので、ホッとした。

「スー、何してるの?買い物は済んだの?」
セオが話しかけてくる。
「え?す、済んだ?あー、ペンも買おっかな?」
私は慌ててその辺にあったペンを適当に取った。
「何その水色のペン。まるで、あの人の目の色みたいじゃない」
「えっ‥‥‥!!そんなわけない。ま、間違った、こっち?」
慌てて別のペンを取る。
「それは黒いね。誰かの髪の色みたい」
「ち、違うよ、全然違う。とうさまにお土産にと思って‥‥‥!!」
「ふーん。父上の髪色は僕とおなじ焦げ茶だよ。」
「きよ、今日はやめておこっか。また来よう!」
「‥‥‥」
「さあ、帰ろ帰ろ!次いこ、次!」
あ、お店の方に失礼だったかな?
慌てて親切な店員さんを振り返る。
「あの!ありがとうございました。また来ますね!」
にかっと作り笑いをするとセオドアの背中を押して慌てて店を出た。
「ありがとうございました」
店員さんの軽やかな声が私たちの背中を追いかける。
後ろからカランコロンとドアが鳴る音が聞こえて来た。

「なんだか、妙に焦って不自然じゃない?」
セオが怪訝そうに言う。
いや、別に、全然?いつもどおりだけど?
喉が渇いただけだからね?
何か飲みに行きたいと思っただけだよ?ほんとだよ?

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