そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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2 学園編

61 お茶してみる。

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「な、なんだか暑いね?喉乾いたね。」
「寒いくらいだけど。」
私が大汗をかきながら言うと、首に巻いたマフラーを指差しながらセオが言う。
「そ、そっかな~リーラは喉乾いたよね?」
ここはリーラに振ってみよう。
「私はそれほどでも」
リ、リーラ…、ここは女子として「そーですねー」的な返事を求めていたよ!
「ジョ、ジョセフは?」
ジョセフは私を見下ろし、少し考えると言った。
「‥‥‥そうだね。喉が渇いたかも」
思わず嬉しくなってしまう。
「やっぱジョセフ、分かってる!」
そう言うとジョセフの腕に私の腕を絡めた。
「あれ?背が伸びた?」
ずいぶんと腕の位置が変わったみたい。
去年湖で会った時とは全然高さが違くない?
「一年で15㎝ぐらい伸びたから、だいぶね」
「わー、すごーい」さすが成長期だね!
ニコニコとジョセフの顔を見上げていると、「ちょ、ちょっとステラ、こっちこっち」とセオドアが慌てて私の腕を引っ張る。
「な、なによ」
セオドアが私にだけ聞こえるような小声で話しかけてくる。
「まずいって、まずいって、絶対に」
「何が?」そんなに声をひそめるほどまずいことあった?
「一応、婚約者がいるんじゃないの?スーには」
「あ~?一応ねー」
全然会わないけど。
「一応でもなんでもダメなんだよ。態度、気をつけて。外出禁止になるよ」
「外出禁止‥‥‥うっ‥‥‥それは辛い」
セオドアはステラの態度に呆れ返った。
あの王太子が自分に監視をつけてないと思っているのか、この義姉は?
氷の王太子がステラの前でだけは人間らしくなると噂になっているのに?その意味をわかっていない?
今日だってずっと監視というか護衛というか、遠巻きに10人以上ついて来ているのに気がついていない?
鈍すぎる!!

「あのね、ステラ。ちょっと鈍感すぎるのもどうかと思うよ。」
セオドアは思わず半目になってステラの顔を見る。
全く、こんな鈍感で男爵家にお咎めがあったらどうするつもりなのか。
「?」
「間違いでもいいからさっきのペンを買っとくべきだったよ」
「さっきのペン‥‥‥?」
何言ってるの?おかしなセオドア。と首をかしげると、セオドアが深くため息をついた。
そして、呆れたように首を振るを気をとり直したように、事前に調べておいた安全かつ流行りのカフェに一行を案内した。


そのカフェの一番人気はふわふわのスポンジの上にゆるくホイップした生クリームをかけ、宝石のようにカットした季節のフルーツをふんだんに飾り付けたショートケーキだった。
お持ち帰り禁止でそのお店でないと味わえないとあって、行列ができるほどの大人気だが、出来る義弟のセオドアが4人分の席を予約してあった。
しかも、ちょうど私の喉が乾く時間に。
セオドアにはなんでもお見通しだ。

4人が奥の席に通されると、事前にセオドア予約しておいたティーセットがすぐに運ばれて来た。
ステラとリーラは宝石を飾っているかのようにキラキラと輝くフルーツに目を輝かせ、ショートケーキを幸せそうに頬張っている。
「うーん、あまーい。だけどちょうどいい。いちごの酸味がぴったりあってる」
「私はいちごはもちろんですけど、オレンジとの相性も最高だと思いますわ」
「ああー、幸せー」
女子の前にはスイーツは無敵だ。
一緒に出された紅茶の抽出具合も最高。
ティーカップの中に注がれたお茶はまさに紅いお茶。口に含むとえぐみが全くない。風味と旨味しかない。
「飲むのが勿体無い~」
「でも飲まないのも勿体無い」
「今日は出かけて来てよかったですぅ」
リーラが目を細めて嬉しそうに言った。
本当にね。やっぱり女子がいいわ~
セオも女の子みたいなもんだけど、なんか最近オカンみたいになって来たからさあ。

「誰がオカンだよ」
横から頭を小突かれた。
やばい、聞こえていたらしい。

でもさあ、たまにはこんな日があってもいいじゃない。
学校でも嫌なことがないわけじゃないしさ。とか思っちゃうわけ。
でも今日の楽しい雰囲気を壊したくなくて、あの脅迫状の話はやっぱり言い出せなかったんだ。



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