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3 ヒロインへの道
111 約束
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「くくく」
「もう、いつまで笑ってるんですか!」
あの後、ハル様は私の手を取り、指を絡めると、湖に向かってゆっくりと歩き出した。
繋いだ手から温もりが伝わってくる。
私の気持ち、全部バレてるかな。
考えてること全部伝わっちゃってないかな?
ハル様のことばっかり考えてるんだから伝わらないわけないよね?
こんなにドキドキして心臓の音聞こえちゃってない?
でも、この時間が少しでも長引けばいいのに。
1分でも1秒でも長く一緒にいたい。
私のこと笑ってもいい。笑顔が見られるなら、それだけでいい。
ぎゅんぎゅんと締め付けられる心。
こんな痛みは知らなかった。
でも、それは甘い。
その甘い痛みを知ってしまったら、もう、戻れない。
以前の私には、戻れない。
ハル様を見上げると、優しい目をしたハル様と目があった。
いつの間にか随分背が伸びた。
抱きしめられるとすっぽりと覆われてしまうほど、背が高く男っぽくなったハル様にまたぎゅっと胸が痛くなる。
まだ笑ってるけど、心の底から愛しいものを見るような、大切なものを見るような瞳。
じっと見ていると吸い込まれそうになる。
ハル様の瞳に吸い込まれて、ハル様の一部になったらどんな気持ちになるのかな。
でも、そうしたらハル様を他の人にとられちゃうのかな。
それは嫌だな。
ずっとハル様の隣にいたい。
一緒にいたい。
私はハル様と絡めた手をぎゅっと握りしめた。
ハル様は軽く目を見開いて私を見ると、繋いだ手に軽くキスをした。
ほどなく、湖のほとりについた。
ハル様といると時間が飛ぶように過ぎ去っていく。
水の匂い、草の香り。
全てが活き活きと輝いている。
他に何もいらないほど、満たされた空間。
空、水、土、風、そしてハル様。
しばらく、2人で何も言わず湖面を眺めていた。
まるで鏡のように笑いさざめきながら陽の光と戯れる水たちは、ハル様を歓迎する水の精たちなのかもしれない。
言葉は、いらない。
ただ、一緒にいたい、それだけ。
さざめく水の音と、木立を渡る風の音。鳥の歌声。そして私の鼓動。
対岸からは子供達の楽しげな笑い声とヴィー様の優しい声がかすかに聞こえてくる。
ふう、と息を吐いた瞬間、ハル様が口を開いた。
「ステラ、話がある」
「はい」
「私は今年で成人する。成人すれば、婚約者を正式に決めなければならない」
「はい」
「私はお前を妃にしたい。生涯をともに過ごしてくれるか」
ハル様の低い声が私を絡め取る。
「ステラ」
そう言うと、この国の王太子は私の前に跪いた。
黒髪と仕立てのいい乗馬服につつまれた均整のとれた体つき。きりりと端正な顔立ち。でもその中で一番目を惹くのはそのスカイブルーの瞳。
真昼の空のように美しいその瞳の中に私がいる。
「私の妃は、生涯お前ひとりだ。伴侶となり、私の子を産み、共に歳を重ねてほしい。」
ぽつん‥‥‥ぽろぽろぽろ‥‥‥
わたしの両目から涙が溢れ出した。
「わ‥‥‥私‥‥‥」
心が震える。うれしい。
大声で「はい」って叫びたい。
でも、こわい。ハル様はただの人じゃない。この人と共に生きることは国を背負うこと。
そしてそれはそんな簡単な決断じゃない。
でも、私は‥‥‥離れられない。
「ハル様‥‥‥」
のどから出たのは信じられないほどか細い声だった。
耳の中がガンガンする。まるで自分じゃないような声。
頭がクラクラして、身体中震えだした。
ハル様と一緒にいたい。でも、でも‥‥‥!!
「お前以外は娶らない。なにがあろうと、私が必ずお前を守る。」
ハル様が私の手を握り、口付けた。
「‥‥‥私で、いいんでしょうか。私は男爵家の私生児ですし‥‥‥聖女の力といっても特になにも‥‥‥」
「どうでもいい。お前さえいれば」
「でも」
「聖女でも、聖女じゃなくてもいい。お前じゃないと、私は人になれない。お前が私に人としての人生を与えてくれた。どうしても、王太子妃になりたくないなら、王太子をやめてもいい。弟もいるしな。」
「そんな‥‥‥ダメです!そんなこと言っちゃダメです。怖いんです。ただ、それだけなんです」
「嫌じゃない?」
「嫌じゃないです。私だって一緒にいたい。共に生きたいです。」
「じゃ、決まりだ」
ハル様が目をきらきらと輝かせ、満面に笑みを浮かべると、指から印章付きのリングを抜き取った。
「これからは、完全に私のものだ」
傲慢にも聞こえる口調でハル様が宣言すると、わたしの左の薬指にリングをはめた。
「君と共に。ステラ」
ハル様は立ち上がり、ぎゅっと私を抱きしめた。
私も負けずにぎゅーっとハル様を抱きしめる。
「いつか、必ずふたりでひとつの存在になろう。命ある限り」
「はい、ハル様」
ハル様の唇が私の唇と重なった。
このまま、本当に一つに混じり合ってしまいそう。
ハル様の暖かさに包まれた心地よさに、膝の力が抜けてしまう。
口の中で笑う声が聞こえたかと思うと、ぐいっと私の腰を引き寄せた。
そのまま、随分と長いこと抱き合ってたようだ。
クロードさんの咳払いが聞こえるまで、私たちはまるでお互いから離れられなくなる魔法にかかったようにずっと抱き合っていた。だって、互いの体温が心地よすぎて、離れるなんてできなかったんだもん。
この日、私たちが幸せな約束をしたことをよくは思わない人もいるってことに気がついていたら、少しはその後の展開が変わっていったのかな。
でも、本当にこの時は心が溶け合って、私たちは幸せになれるって信じられたんだ。
「もう、いつまで笑ってるんですか!」
あの後、ハル様は私の手を取り、指を絡めると、湖に向かってゆっくりと歩き出した。
繋いだ手から温もりが伝わってくる。
私の気持ち、全部バレてるかな。
考えてること全部伝わっちゃってないかな?
ハル様のことばっかり考えてるんだから伝わらないわけないよね?
こんなにドキドキして心臓の音聞こえちゃってない?
でも、この時間が少しでも長引けばいいのに。
1分でも1秒でも長く一緒にいたい。
私のこと笑ってもいい。笑顔が見られるなら、それだけでいい。
ぎゅんぎゅんと締め付けられる心。
こんな痛みは知らなかった。
でも、それは甘い。
その甘い痛みを知ってしまったら、もう、戻れない。
以前の私には、戻れない。
ハル様を見上げると、優しい目をしたハル様と目があった。
いつの間にか随分背が伸びた。
抱きしめられるとすっぽりと覆われてしまうほど、背が高く男っぽくなったハル様にまたぎゅっと胸が痛くなる。
まだ笑ってるけど、心の底から愛しいものを見るような、大切なものを見るような瞳。
じっと見ていると吸い込まれそうになる。
ハル様の瞳に吸い込まれて、ハル様の一部になったらどんな気持ちになるのかな。
でも、そうしたらハル様を他の人にとられちゃうのかな。
それは嫌だな。
ずっとハル様の隣にいたい。
一緒にいたい。
私はハル様と絡めた手をぎゅっと握りしめた。
ハル様は軽く目を見開いて私を見ると、繋いだ手に軽くキスをした。
ほどなく、湖のほとりについた。
ハル様といると時間が飛ぶように過ぎ去っていく。
水の匂い、草の香り。
全てが活き活きと輝いている。
他に何もいらないほど、満たされた空間。
空、水、土、風、そしてハル様。
しばらく、2人で何も言わず湖面を眺めていた。
まるで鏡のように笑いさざめきながら陽の光と戯れる水たちは、ハル様を歓迎する水の精たちなのかもしれない。
言葉は、いらない。
ただ、一緒にいたい、それだけ。
さざめく水の音と、木立を渡る風の音。鳥の歌声。そして私の鼓動。
対岸からは子供達の楽しげな笑い声とヴィー様の優しい声がかすかに聞こえてくる。
ふう、と息を吐いた瞬間、ハル様が口を開いた。
「ステラ、話がある」
「はい」
「私は今年で成人する。成人すれば、婚約者を正式に決めなければならない」
「はい」
「私はお前を妃にしたい。生涯をともに過ごしてくれるか」
ハル様の低い声が私を絡め取る。
「ステラ」
そう言うと、この国の王太子は私の前に跪いた。
黒髪と仕立てのいい乗馬服につつまれた均整のとれた体つき。きりりと端正な顔立ち。でもその中で一番目を惹くのはそのスカイブルーの瞳。
真昼の空のように美しいその瞳の中に私がいる。
「私の妃は、生涯お前ひとりだ。伴侶となり、私の子を産み、共に歳を重ねてほしい。」
ぽつん‥‥‥ぽろぽろぽろ‥‥‥
わたしの両目から涙が溢れ出した。
「わ‥‥‥私‥‥‥」
心が震える。うれしい。
大声で「はい」って叫びたい。
でも、こわい。ハル様はただの人じゃない。この人と共に生きることは国を背負うこと。
そしてそれはそんな簡単な決断じゃない。
でも、私は‥‥‥離れられない。
「ハル様‥‥‥」
のどから出たのは信じられないほどか細い声だった。
耳の中がガンガンする。まるで自分じゃないような声。
頭がクラクラして、身体中震えだした。
ハル様と一緒にいたい。でも、でも‥‥‥!!
「お前以外は娶らない。なにがあろうと、私が必ずお前を守る。」
ハル様が私の手を握り、口付けた。
「‥‥‥私で、いいんでしょうか。私は男爵家の私生児ですし‥‥‥聖女の力といっても特になにも‥‥‥」
「どうでもいい。お前さえいれば」
「でも」
「聖女でも、聖女じゃなくてもいい。お前じゃないと、私は人になれない。お前が私に人としての人生を与えてくれた。どうしても、王太子妃になりたくないなら、王太子をやめてもいい。弟もいるしな。」
「そんな‥‥‥ダメです!そんなこと言っちゃダメです。怖いんです。ただ、それだけなんです」
「嫌じゃない?」
「嫌じゃないです。私だって一緒にいたい。共に生きたいです。」
「じゃ、決まりだ」
ハル様が目をきらきらと輝かせ、満面に笑みを浮かべると、指から印章付きのリングを抜き取った。
「これからは、完全に私のものだ」
傲慢にも聞こえる口調でハル様が宣言すると、わたしの左の薬指にリングをはめた。
「君と共に。ステラ」
ハル様は立ち上がり、ぎゅっと私を抱きしめた。
私も負けずにぎゅーっとハル様を抱きしめる。
「いつか、必ずふたりでひとつの存在になろう。命ある限り」
「はい、ハル様」
ハル様の唇が私の唇と重なった。
このまま、本当に一つに混じり合ってしまいそう。
ハル様の暖かさに包まれた心地よさに、膝の力が抜けてしまう。
口の中で笑う声が聞こえたかと思うと、ぐいっと私の腰を引き寄せた。
そのまま、随分と長いこと抱き合ってたようだ。
クロードさんの咳払いが聞こえるまで、私たちはまるでお互いから離れられなくなる魔法にかかったようにずっと抱き合っていた。だって、互いの体温が心地よすぎて、離れるなんてできなかったんだもん。
この日、私たちが幸せな約束をしたことをよくは思わない人もいるってことに気がついていたら、少しはその後の展開が変わっていったのかな。
でも、本当にこの時は心が溶け合って、私たちは幸せになれるって信じられたんだ。
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