そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

文字の大きさ
139 / 247
3 ヒロインへの道

135 これからどうしたら

しおりを挟む
私の部屋でこれからのことを話し合うことになった。

「ルシアナめ」

ハル様が唸るようにルシアナの名を呟く。
相当怒ってるらしい。
地の底から湧き上がってくるようなハル様の怒り。
それはそうだろう。
王太子の地位を追い落とすとまで、みんなの前で言われたんだから。
これ以上ないほどの宣戦布告だ。
ルシアナ様って、ハル様のこと好きなんじゃなかったの?それとも、可愛さ余って、憎さ100倍ってやつ?

「ハル様、大丈夫ですか?」
声をかけると、ハル様が我に返ったような顔をして私を見た。

「私は大丈夫だ。心配しているのは君のことだ」

小さなため息をついて、部屋に集まった仲間たちを見回した。皆、立ったまま、心配そうな瞳の色を浮かべている。
ハル様がいるのに、みんな勝手には座れないからね。

「皆、座れ」

セオドアが、リーラとタチアナ様、エリザベス様にソファーをすすめ、ジョセフ、ロナルドの男性陣にはどこかから調達してきた木の椅子をアナさんが配った。さすがに私の応接室にはそんなにたくさんの椅子はない。

「今回のことだが」ハル様が口火を切った。
「ルシアナのあの口ぶりだと、相当長い期間をかけて準備をしてきたんだろう。おそらく、断罪と称して告発した罪の証拠固めもしてあるに違いない」

「だって、私は無実です」
「もちろんだ。だが、でっち上げだろうがなんだろうが、必ず証拠は固めてあるはずだ。アドランテ一門の力を持ってすれば、容易にできる。そして、私にすら魅了を受けた王子、と言う汚名を着せてきた。今後、私の証言を魅了を受けた者の証言として、信用を落とすためだ」
「そんな‥‥‥」
「これからが問題だ。あの調子では確実に私を追い落とすために、私は『魅了を受けた王子』として軟禁され、魅了の解除を受けることになるだろう。そしてステラを私の庇護の下から引き離し、どうするつもりなのか‥‥‥とにかくステラの安全を確保しなくては」
「学園にはいられないのですか」
「男好きな聖女だと噂を流しているのが気にかかる。おそらく私が軟禁されたと同時に、親族や上下関係にある取引先などの子弟と噂を流すか‥‥‥もしくは、証拠を『作る』か、を考えているだろう」
「えっ」まさかそんなこと、あるの?
公爵家のお嬢様がそんなこと考えるなんて‥‥‥
「ステラがふしだらであるという証拠があれば、私の妃にはなれない。側妃にすらなれない。将来産まれてくる子の出自が問題になる可能性があるからだ。それは、分かるな?」
私は、驚いて目を見開いたまま、コクコクと頷いた。
もしかして‥‥‥そういうこと?前世でよく妹が言っていた、男子生徒をはべらせるふしだらな聖女とか、娼館堕ちとか、そういうこと?あれ、そう言えば、周りの男子生徒とふしだらな関係を持っているって、そういうこと?
えええ?なんで?なんで?
ルシアナの言葉をやっと理解した私は軽いパニック状態だった。
もしかして、これって強制力?強制力なの?
まだそんな力働いてたの??
そんなのあるの?

「ステラ、相手を甘く見るな」ハル様が諭すように言った。
「相手は私の母である王妃まで巻き込んで、一門をあげて全面戦争を仕掛けてきたんだ。ここで失敗したら、私は廃嫡、君は男爵令嬢の身分すら剥奪されて平民に落とし、アドランテ一門のどこかの家に軟禁されるか娼館送りだ。失敗すれば全て失う。そして、ルシアナの告発が全て嘘だと証明できれば、アドランテ一門は当然教団からは破門され、人々からの信頼も失う。お互いに無傷ではいられない。生きるか死ぬか。敵は間違いなくそこまでの覚悟でぶつかってくるだろう」

部屋の中を重苦しい沈黙が支配する。
突然の告発、そしてそれから受けた打撃をどうかわすか、いや、どう打ち返すか。
国内でもっとも影響力のあるアドランテ一門を敵に回し、無傷でいることは難しい。
自分だけではなく家族まで巻き込んでしまう可能性だってある。
皆が言葉をなくす中、セオドアが口を開いた。

「これからどうしたらいいんですか。黙っているわけにはいきません。当家のステラを侮辱された上、特産の絹にまで悪い評判を立てられているんです。しかも義母の人身売買など‥‥‥中傷にしても限度があります。」

「確かに。ただ相手もそれだけ必死だということだ。ディライト夫人の父は、クロフォード伯、確か兄は子爵位を継いでいただろう。夫人が侮辱されたと実家に助けを求めるといい。絹については、王妃以下、アドランテ一門を押さえられてしまうと、社交界での影響力を考えるとドレスに使ってもらうのは難しいかもしれないな。他の利用方法を考えるか‥‥‥」
「よろしければ、私に協力させていただけませんか」
留学から帰ってきたエリザベス様が片手を上げた。
「私、商品開発と販路開拓にご協力します!」


***************************************************

読んでいただきましてありがとうございます。

エリザベスは、商人の娘です。
優秀なので、高等部の過程はほぼ終了しています。
詳しい話は、第2章85~90話のエリザベス・キースに出てきます。
それでも長すぎる!という方は、85、86話と128話にちょろっと出てきますので、そのあたりを見ていただくと大体わかるかなと思います。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです

籠の中のうさぎ
恋愛
 日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。 「はー、何もかも投げだしたぁい……」  直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。  十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。  王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。  聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。  そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。 「では、私の愛人はいかがでしょう」

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】

青緑 ネトロア
恋愛
女神に今代の聖女として選定されたメリシャは二体の神獣を授かる。 親代わりの枢機卿と王都を散策中、初対面の王子によって婚約者に選ばれてしまう。法衣貴族の義娘として学園に通う中、王子と会う事も関わる事もなく、表向き平穏に暮らしていた。 辺境で起きた魔物被害を食い止めたメリシャは人々に聖女として認識されていく。辺境から帰還した後。多くの王侯貴族が参列する夜会で王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。長い間、我儘な王子に我慢してきた聖女は何を告げるのか。 ——————————— 本作品の更新は十日前後で投稿を予定しております。 更新予定の時刻は投稿日の17時に固定とさせていただきます。 誤字・脱字をコメントにて、何話の修正か記載と同時に教えてくださると幸いです。 また読みにくい部分に対してはルピを追記しますので、同様に何話のことかお教えいただけると幸いですm(_ _)m  …(~2025/03/15)… ※第一部が完結後、一段落しましたら第二部を検討する予定です。 ※第二部は構想段階ですが、後日談のような第一部より短めになる予定です。 ※40話にて、近況報告あり。 ※52話より、次回話の更新日をお知らせいたします。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています

放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。 希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。 元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。 ──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。 「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」 かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着? 優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。

悪役令嬢は死んで生き返ってついでに中身も入れ替えました

蒼黒せい
恋愛
侯爵令嬢ミリアはその性格の悪さと家の権威散らし、散財から学園内では大層嫌われていた。しかし、突如不治の病にかかった彼女は5年という長い年月苦しみ続け、そして治療の甲斐もなく亡くなってしまう。しかし、直後に彼女は息を吹き返す。病を克服して。 だが、その中身は全くの別人であった。かつて『日本人』として生きていた女性は、異世界という新たな世界で二度目の生を謳歌する… ※同名アカウントでなろう・カクヨムにも投稿しています

処理中です...