そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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3 ヒロインへの道

172 カニ退治2

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「もっとこーやって、こーやってえええ」

リカルドが腰を落とし、熊手を持って穴から書き出すような仕草で説明している。

「リカルド先生、実際にやって見せたほうがわかりやすいのでは?」

思わず口から言葉が滑り出してしまった。

「はい?」リカルドがぽかんとして私を見た。
「やりませんよ?だって魔物化したカニなんて気持ち悪いじゃないですか」

えーーー
その場にいた全員が同じ思いだったに違いない。

ビルと兵士たちは呆れたようにリカルドを見ると、そのまま無言で作業を続けた。
兵士たちの懸命の作業の結果、意外と短時間でカニを瘴気穴から掻き出して、新しく掘った穴に押し込めることができた。

「はい、それでは蓋を」
リカルドの指示でカニを入れた穴の上に板を渡し、魔物化したカニ達を封じた。

「それでです。聖女様のお力を節約するために、少し道具を使います」
リカルドは法衣の袖から水晶の結晶を取り出し、なにか呪文を唱えると、先ほど封じたばかりの板の上にそれを置いた。

「では、聖女様。よろしくお願いいたします。気を集めていただいてよろしいでしょうか」
「はい、わかりました」

私は目を閉じると、森や森に生きる生き物たちに協力してくれるように願った。

(どうか、この森の浄化に力を貸してください)

そう願うと、私の手のひらにあちこちから力が集まってきた。
手のひらが熱くなり、金色に輝き始める。

「うおおおお、すごい、すごいです、せいじょさまあああ」

リカルドの声が聞こえる。

「ですが、ちょっと、まって。気が大きすぎます。大きすぎます。聖女様~~~」
「え?」

私が目を開けると、リカルドが慌てたように両手を大きく振っている。

(あ、気が散った)

金色の光がパラパラと散り始めた。
集中力が途切れると、集めた気が散っていってしまう。
気が散るってこういう意味もあるんだね。

私はなんとか手の中に集まった気を散らしてしまわないように集中を保ちつつ、リカルドを見た。

「聖女様、気の力が大きすぎます。カニなんかに勿体無い。ほんの少しで十分ですよ。浄化を増幅するクリスタルをなんのために置いたのか・・・」
「え・・・?でも、どのくらいの量が必要なのかわからない・・・」
「そ、そうか。そうですよね?このくらいで十分です。足りなければ追加すればいいんですから」
とリカルドが指で5センチくらいの大きさを示した。
だって今までひと抱え分も気を集めてたんだけど。

「勿体無いのでこちらにお願いします」

リカルドが今度は拳ほどの大きさの水晶を出してきた。

「今持っている水晶の中で一番大きい水晶です。こちらにお力を流し込んでいただけますか?」

そんなことできるんだ。
よくわからないけど、とりあえず、力を水晶に流し込むイメージをすればいいのかな?

私は水晶に力を少しずつ流し込み始めた。
水晶と私の力は相性がいいのか、どんどん力が吸収されていくのがわかる。
するすると力を流し込んでいると、水晶が淡く金色に光り始めた。

「うわわわわ!ここまで!ここまでです!!」

リカルドの叫び声に力を流すのをやめる。

「これ以上力を流し込むと、水晶が耐えられません!こちらにお願いします!!」と、別の水晶をどんどんと積み上げられた。

「?」やったことないからよくわからないけど、そういうものなのか。
私は言われるがまま、水晶に力を注ぎ込んだ。

「手の中のお力がこのくらいになるまで、力を流してくださいね」
リカルドが5センチぐらいの大きさを示す。
力の大半を水晶に流し込むと、水晶の山が金色に染まった。
やっと、手の中の光が5センチぐらいの小さな塊になると、リカルドの指示でカニを封じ込めた穴に近づく。

リカルドが兵士たちに合図を送ると、さっき穴に板を渡した兵士たちが集まってきた。
「それでは私の合図で板を開いて、上に乗っている水晶を穴の中に落としてください。
聖女様は同時に水晶めがけて気を放ってくださいね。それではみなさん準備はよろしいですね。
はい!お願いします!!せーの!!」

リカルドの掛け声で皆が一斉に動く。
兵士が板を引き、私が気を放つ!

ぶわっ!

それは一瞬の動きだった。
穴に放たれた気が水晶の輝きで増幅され、あたりを金色に照らす。

「板を戻して!」

リカルドの叫びで蓋が戻される。

「まあ、料理でいうと蒸しているような?感じです」
「はあ」
「蓋をすることで気が分散するのを防ぎ、効率的に浄化をすることで聖女様の消耗を減らすことができます」
「なるほど、そういうことなんですね」
「あとは、放っておけば、カニたちは浄化されますから」

そう言うと、リカルドは私に向き直った。

「ところで、聖女様、いつもあんなにたくさんの気を集めていらっしゃったのですか?」
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