そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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3 ヒロインへの道

173 聖女の力

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「はい。そうですけど。なにかまずかったですか・・・?」

いつになく真剣な眼差しに思わず、居住まいを正す。
リカルドはしばらく考え込んだ後、口を開いた。

「歴代の聖女様で、あのような大きな気を扱われたと言う話は記録に残っておりません。もしや、ステラ様は聖女様の中でも極めて強いお力を持つ存在なのではないでしょうか」
「え?」
「歴代様には浄化が苦手な方もおりますし、もちろん得意な方もいらっしゃいます。ステラ様は言うなれば”超得意”な方ではないでしょうか」
ぽかんとしてリカルドの顔を見ている私に言い聞かせるように話を続ける。
「これまで、記録に残っている限り、最大の浄化力を発揮された3代様でも、集められる気の大きさは大体小さくひと抱え程度と言われています。ステラ様ほどの大きな気を扱われた方はいらっしゃらないのです」
「記録に残ってないだけじゃないんですか?」
「その可能性もありますが・・・我々にとって、聖女様の活躍を記録し、後代に伝えることは聖女様と同時代に生きた神官にとって名誉でもあり、重大な責務でもあるのです。正確に、正しく。誤りがないように細心の注意を払ったと考えるのが適切です。私とて、聖女様の活躍を記録させていただくことは最大の名誉だと思い、日々執筆に勤めております。もちろん、聖女様がなんらかの意図を持って隠されていたのであれば、それは記録できませんが・・・」

「ステラの力が歴代様と比較しても強いってこと?」
リーラが口を挟んだ。
「だからそう言ってるでしょ」
リカルドがまるでコバエでも追い払わんばかりの素っ気なさで返事をする。
いや、その態度はないよ?
「俺たちの姫様に・・・」
案の定、兵たちから不満そうな声が聞こえてくる。
ケイレブがまあまあと兵士たちをなだめながらリカルドにさらに話しかけた。
「歴代の聖女様が気を集める力は大体どのくらいが平均なんだ?」
「はあ?」そんなことも知らないのかよ、と呆れた口調で返す。いや、相手は侯爵様のご嫡男だからね?
「大体、手のひらに乗る程度が平均ですかね。それだけだって大変なお力です。同じことができる人はいないんですから」
「なるほど。不勉強ですまない」
ケイレブが明るく詫びた。いや、神聖聖女録ってそう簡単に読めないから、みんな知らないって。
「なあ、みんな。聖女様のお力はすごいな。俺たちの森を浄化してくださるなんて、こりゃ末代まで自慢できるぞ?それにお前たちはその場に立ち会えるんだからなあ。帰ったら家族に自慢できるな?」
ケイレブの声に不満そうにしていた兵たちの空気が和む。

「あの、でも!みなさんが協力してくださったからできる話ですから!みなさんがいなければここにくることすらできませんからね?」
私は兵士たちに話しかけた。
「それに、リカルド先生?みんな先生みたいに知識がないんですよ。なので、優しく教えてくださるとありがたいです。だって、私、先生がみんなに悪く思われたら悲しいし・・・」
ちょっと悲しげに目を伏せてみる。
「あざと」リーラがボソッと呟く。
知ってるけどさあ、仕方ないじゃんこの場は。

「あああああ、聖女様、なんとお優しい。お顔だけではなくて心までお美しい。すきすき大好きです。聖女様、どうか、一生側においてください」
そんな話はしていない。
「うふふ。まずは今日の浄化をしっかり進めましょうね」
とりあえず逃げた。

「そうでした。しかしその前に聖女様に力の使い方について知っていただく必要がありそうです」
「確かに、そうですね。ぜひお願いします」
私はリカルド先生としっかりと向き合った。

「それと、スーはこれまで何度か力を使った後に倒れてるんだ。その辺についてもこれからどうしたらいいのか教えて欲しい」
ジョセフが後ろから口を出した。
「なんと、お力を使った後に倒れられている?」
リカルドがギョッとしたように目を剥いた。
「聖女様、お願いします、どうか私のために長生きしてくださいまし。寿命を短くするような力の使い方はしないでくださいませ~~~」叫ぶように言うと、泣きながら私の膝にすがりついてきた。

「えっ?」
「えっ?」
「ええっ?」

そこにいたもの者たちはあっけにとられたように目を見開いた。
なんかすごいこと聞いちゃったんだけど、力を使って倒れると、寿命が短くなるの?
えええ?それって本当?早く言ってよ~~~!!!
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