そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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4 決戦

204 王都の飲み屋にて 3 から ジョセフとリカルド

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「俺たちが、聖女様をお救いすることはできないのかい?」
ビルは心から心配していると言わんばかりの表情だ。

「難しいかもなあ。相手は権力者だからな。でも、逆転のチャンスがあるとしたら・・・俺たち全員が聖女様をお守りしたいと心を一つにすることかな。でも、まあ、難しいだろうな、そんなこと。とにかく、人数が足りなすぎるよ・・・聖女様に万一のことがあっては・・・はあ。心配だ」ケイレブは頭を抱えた。
「王都でいらないってんなら、俺たちのいる辺境で一生お過ごしいただきたいのに。大切にお守りするのになあ。ままならないもんだよな」
その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。

「そんなこと、あっていいのかよ!」
話を聞いていた男が叫んだ。
「俺たちの聖女様が、俺たちを捨てていなくなっちまうってのかよ!」
「聖女様を陥れようとしている奴がいるんだ!俺たちがお守りしないと!」
「そうだ、そうだ!」
「俺たちが聖女様をお守りするんだ!」
「おい、こうしちゃいられないぞ!」
「おれ、家に戻ってみんなに知らせてくる!」
「俺も!」
「聖女様が辺境に行ってしまうぞ!」
「俺は聖女様の奇跡をみんなに知らせてくるぞ!」
「俺もだ!聖女様をお守りしろ!」
「高位貴族がなんだ!」

男たちはエール代をテーブルに置くと、慌てて立ち上がり、次々に店から出ていった。

「おう、店主、心づけはここに置いておくぞ。美味かった」

ケイレブは十分なほどの心付けをテーブルに置くと、ビルとサイラスとともに店を出た。


ビルとケイレブは肩を組み、楽しそうに歌っている。
どう見てもただの酔っ払いにしか見えない。

「見事でしたね」サイラスがケイレブの後ろから声を掛けた。

「んー?なんのことだー?まあ、ちょっとだけ内緒の話をしちまったけど。口が滑っちゃったんだよなぁ。酔っ払いだからな~~?」
「そうそう、うちの若殿は口が時々軽くて」ビルが軽口を叩く。
「おい。ま、いーや。ところでサイラス」ケイレブが振り返った。「もう一軒行っとくか?できれば、吟遊詩人のいる店がいいな」

「はいはい、とことんまでお伴しますよ」
サイラスは笑顔で答えた。
この辺境の跡取り息子は腕が立つだけじゃないんだな、と思いながら。


***************************************************


「私の力でお助けできるのか・・・お約束できません」

リカルドが蒼白な顔でジョセフに言った。
ジョセフが目覚めた時からこの時が来るのは予想がついていた。
そして今日、ステラに絶対に見つからないように部屋まで来て欲しいと呼び出された時にはとうとう来たかと恐れおののいた。
人の手に余る願いに応えるすべもない。
しかし今となっては、神官であるリカルドがジョセフに逆らうことはできない。

「先生・・・先生が頼りなんですよ。本当はもうわかっていらっしゃるんでしょう?」

リカルドはブルブル震えながらジョセフの前に膝をついた。

「私には、わかりません」
「嘘はダメですよ。先生」
ジョセフの声が耳に響く。

「申し訳ありません。力不足でございます。なんとか、お調べいたしますので、何卒、ご容赦ください・・・」

ジョセフは目の前で震えているリカルドを見るとため息をついた。

「本当にわからないんですね・・・わかりました。でもなんとかお願いします。このままでは・・・」
ジョセフが唇を噛む。
「それほどは待てません。どうか、よろしくお願いします」

「はい、必ず・・・必ず!!」

リカルドがジョセフの前で床に額を擦り付けた。

「本当に、頼れるのは先生だけなんです・・・」

小さな声だったが、その言葉にリカルドはますます強く額を床に擦り付けた。
ジョセフの金色に染まった左目が困ったように揺れているのを見ないように。
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