そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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4 決戦

207 大評議会

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大評議会。
国家転覆を図る者、王族を害そうとした者、またそれに準ずる罪を審議するための場。
直近の開催は30年前、王族に「魅了」をかけた者を裁いた件だ。
王国の長い歴史の中でも、数回しか開催されていない、それほど重い罪を裁く場に、私は被告として引きずり出されている。
この戦いに勝てなければ、確実に死罪になるだろう。
男爵家の私生児という私の立場は、まるで羽毛のように軽いのだ。

そしてその立場の軽さは私だけのものではない。
男爵であるとうさまも、私が死罪になれば無事では済まないだろう。
間違いなく家督を譲らされ、隠遁生活を強制されるだろうし、今まで関わってきた男爵領の振興には全く関与できなくなる。それどころか、死罪になってしまうかもしれない。
ヴィー様やセオもお咎めなしとはならないだろう。

・・・絶対に負けられない。
私は、グイッと頭を上げ、背筋を伸ばす。
正直に、事実を話す。そうすれば必ずわかってくれる人はいる。味方はいる。
何度も心に言い聞かせた。

王国の中でも有数の美しい建物として知られている評議会議事堂の中、中央にある八角形のホール。その床には大理石が幾何学的に美しく配置され、その部屋の格の高さを物語っている。平等を表すためただの平面のホールに、いつもは評議会の方々のための椅子が用意されているだけのシンプルな空間だが、今日は違う。
大評議会では、国王王妃両陛下、王太子殿下、第二王子殿下をトップに宰相閣下、評議員全員と教団からは大神官と神官長3人と数人の神官が参加している。
国王王妃両陛下の椅子は一番高くに置かれ、その下に王太子殿下と第二王子殿下の椅子が置かれていた。
評議員用の椅子は私たちと同じ高さに置かれているが、金を使って装飾された椅子が私たちとの違いを示していた。

そのほか高位貴族は同席を認められている。
ケイレブはガウデン侯爵の名代として同席していた。
当然ながら、部屋の中には刃物を持ち込むことはできないので、剣をビルに預け、隣室に待機させていた。
ビル以外に剣を触らせるなんて、絶対にありえないんだって。

サイラス様やリーラ、ヴィー様やセオは隣室で待機させられている。

私はとうさまと議事堂の中で落ち合い、中央から向かって左手に座るように指示を受けた。
その反対、右手には、ルシアナ様とそのお父様であるフォーク公爵様が座っている。
フォーク公爵は国内で最も力のあるアドランテ家の長として、国王に次ぐ権力者として知られていた。
ご本人は筆頭評議員ではあるけれど、告発者でもある。
今回の大評議会の開催にこぎつけたのは、この方の力だと聞いている。
つまり、ルシアナ様一人ではなく、アドランテ家の総力を挙げて私を潰しにかかっている、ということ。
もし私がたたき潰されれば死罪にされることが確実なのと同じく、もし私への冤罪を晴らせれば、アドランテ家は今のままではいられないはず。
聖女を陥れた罪は国家転覆罪と等しい。
でも、家門の力で逃げ切れるかもしれない。
なんたって評議員のメンバーの半数はアドランテ家かもしくは縁つづきと言われているから。

全員が着席したところ王家の方々の入室を告げる声が響き渡った。

王冠とマントで正装した国王陛下と王妃陛下の後から、王太子であるハル様が入室した。
第二王子殿下は体調不良のため、ご欠席らしい。

ハル様と会うのは随分久しぶりだ。
もう3ヶ月以上は会っていない。
あの日学園であった時以来、一度も会えていない。
夢では毎日のようにあってるけど。
そういえば一度だけ、妙にリアルな夢を見たこともあった。

王族の方々はまっすぐに前を見つめたまま入室し、そのまま高い位置に用意された椅子に着席した。
ハル様も表情を変えずに前を見据えたままで、私の方を見ることは、一度もなかった。
少しだけ目があうことを期待していたのか、思わず床を見てしまう。

「これより、大評議会を開催します」

宰相閣下のハリのある声が議事堂の中に響き渡った。

「この大評議会は、フォーク公ならびにご令嬢ルシアナ・アドランテ嬢からディライト卿ならびにご令嬢ステラ・ディライト嬢に対する告発を受けて、開催するものです。まず初めに、フォーク公より告発に至った経緯をお示しください」
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