そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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4 決戦

214 か、監視されてました・・・

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「フォーク。今のお前には余の背中を預けることはできんな」

国王陛下がジロリとフォーク公を見て言った。

「かつて共に戦場を駆け回った戦友と同じ人物とは思えん。アドランテ家宗家の主人として、身分にあぐらをかきすぎたか」
「いえ、まさか、そのようなことはございません。私は天下一の忠義者でございます。お分かりでしょう。陛下と私の仲ではありませんか。全ては王家のおんため・・・」
「黙れ」

国王陛下が一喝すると、部屋にいた全員がびくりとした。
さすが、若い頃は勇猛で鳴らした方だ。

国王陛下は片手を振ると、「さっさと片付けろ」と宰相閣下に言った。
「このような茶番これ以上時間を割くのは無駄だ」とも。

「しかしながら、陛下。ことは王家と国教の聖女にまつわること。この審議をいい加減にしては、後々に禍根を残します」

宰相閣下が奏上すると、陛下は頷いた。

「後はなんだ。ステラ嬢の行いがふしだらであったとの話と魅了と偽聖女の疑いの話か。まあ、それは王太子妃となるのであれば、結婚するまでは清らかな体を守るのは当然のこと。婚約者の選定に直結する話ではあるな。魅了と聖女であるかないかについては教団の意見を聞こう」

国王陛下の指示のもと、また審議が続けられることになった。

「王太子殿下とステラ嬢の関係が許される範囲を超えていたものだったのかについては、証人に話を聞けばいいでしょう。王太子殿下の従者であるクロードと、ステラ嬢の専属メイドのアナをここに」

クロードとアナが部屋の真ん中に立たされた。

「クロード、アナ、お前たちは主人のベッドのシーツを毎日交換していただろう。痕跡があったことはあったのか」
宰相閣下が尋ねた。
「ありません」
「一度たりともありません」

「嘘かもしれないじゃありませんか!」
ルシアナが叫んだ。もう父親のフォーク公はあてにならないと思ったのかもしれない。フォーク公はほとんど腑抜けのようになっているから。

「ありえません」クロードが反論した。
「私は敬虔な神聖ヘレナ教の信者です。聖女様を心よりお慕いする者。この私がついていながら、正式な婚約すら交わしていない聖女様に触れさせるなど、あり得るものですか。刺し違えてでも阻止します」

い、いま何気に物騒なこと言いました?

アナさんがクスリと笑って言葉を継いだ。
「お二人が思い合っているのは明らかでしたが、そのようなことはならんと厳しくヴィダル師にも言いつけられておりましたので、私どももしっかり監視させていただきました。間違いが起こらないようにすることも重要な任務だったのです。いま、このような場に立たされることになり、ヴィダル師のご慧眼に恐れ入っております。私とて、可愛らしい主人のステラ様をお守りしたいと思いながらお仕えしておりました」

「で、でも、他の男性にもふしだらな振る舞いを繰り返していたんです。ハルヴァート様とは監視されていたからなかったかもしれないけど、他の人だっているんです。証人だっていますから!隣の部屋にいる証人を呼んでください!」

ルシアナ様が大きな声で訴えた。

「大勢の男子生徒がステラに誘惑されたと訴えているんですよ!当事者を呼んでますから!」
「落ち着きなさい、ルシアナ嬢。本日きっちりカタをつけるために、その証人とやらの証言を聞きましよう」
「宰相」
今まで静かに話を聞いていたハル様が突然声をかけた。
「こちらにも証人がいる。隣の部屋にいるタチアナ・グランにも証言させるように」

ハル様は相変わらず私を見ない。でも、味方になってくれるんだ。落ち込んでいた気持ちが浮かび上がってくる。
タチアナ様とジェシカとトビアスが呼び込まれ、私と男子生徒たちの「ふしだらな関係」について審議が始まった。

「タチアナ・グラン嬢。ステラ嬢と男子生徒たちとのふしだらな関係について、証言を」

タチアナ様はすっと立ち上がった。

「恐れながら、申し上げます。私はステラ嬢の指導を王太子殿下より直々に申し受けました。
その理由は、学園入学当時、ステラ嬢が男子生徒から誤解を受けかねない態度をとっていらっしゃったからです。
おそらく市井にいらっしゃった頃や男爵領ではそのようなお振る舞いをしていらっしゃったからかと。
そうはいっても、気さくに男子生徒と話をする程度なのですが。一度は幼馴染のジョセフ・ブラウンと剣の手合わせをしたこともありました。私からきちんとご指導し、そのような誤解を招きかねない態度は改められました。ご本人も相当気をつけていらしたはずです。
なお、私は弟のセオドア君と協力し、ステラ嬢が男子生徒と二人になることがないように気をつけてまいりましたので、何かあれば私の耳には必ずはいっています。
その私が保証いたします。男子生徒との不適切な交友関係は一切ござませんでした」

堂々と意見を言うタチアナ様に、大人たちはタジタジだ。
でも、心強い。
タチアナ様の言うことを聞いておいて、本当に良かった。
だって、本当に身に覚えがないんだもん。
タチアナ様に叱られてからは、挨拶しかしてないし。

次は、私のせいで婚約を破棄したと言われたジェシカとトビアスだった。

「ジェシカ、あなたステラのせいで婚約を破棄されたと言っていたわよね?私に色々話してくれたことを皆様の前で証言してちょうだい」
「はい、ルシアナ様」
ジェシカ嬢は一歩前に進み出た。


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なんと40万字を突破しました。
たくさん読んでいただきましてありがとうございます。恐縮しております。
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