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238 エピローグ 【本編最終話】
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祭壇の前で、ハル様が私を待っていた。
白い礼装を身にまとったハル様は、凛としていつもよりかっこいい。
この素敵な人が私の旦那様になるなんて、夢みたい。
とうさまからハル様に引き渡され、見上げると瞳の中には愛と称賛が輝いていた。
この人がいれば、もう何もいらない。
思わず私が微笑みかけると、ハル様の手が私の頬にそっと触れた。
「ごほんごほん!」
ベリ大神官が大げさに咳払いをすると、ハル様がバツ悪そうに手を下ろした。
あとちょっと。そのあとちょっとが長い。
同意を求めてハル様を見ると、赤く染まった目元が柔らかくゆるめられた。
今日まで、長かった。やっと一緒になれる。
これからは誰にも文句を言われずにともに居られるんだ。
大神官にバレないようにそっと伸びてきたハル様の指先に、こっそりと指を絡めた。
儀式は滞りなく終了し、バルコニーから民衆に挨拶をすることになっている。
先触れが私たちがバルコニーに顔を出すことを伝えると、大きな歓声が湧き上がり、地鳴りのように足元を揺らした。
ハル様が私の手をしっかりと握りしめ、前に進む。
そうだ、これからは一人じゃない。私はハル様の手を握り返すと、ゆっくりとバルコニーに向かった。
目の前には、民が腕に巻きつけた藍と金のリボンが揺らめき、さざめいている。
この間よりも、もっと多くの人々が私たちを一目見ようと集まっているのだ。
視界いっぱいに広がる藍色は、まるでわたしたちの心に生まれた希望そのもののよう。
民は大声で聖女を讃える歌と、結婚を祝う歌を歌っている。
今日のために、ブラッド神官が作詞作曲して広めてくださった曲だ。
皆の祝福が大きな輪になり、そこにいる全員を包み込み、見渡す限り幸せな気分で満たされる。
ああ、こんな光景が見られるならば、聖女になるのも悪くない。
責任の重さに怯え続けていたけども、でも、それ以上に素晴らしい。
「おめでとうございます」
「お幸せに!」
「おめでとうございます!」
口々に祝福を伝えてくれる声が私たちに降り注ぐ。
お礼を言うハル様の声に一層大きく歓声が上がった。
ハル様が私にも挨拶するか?と目で問いかける。足が震える。でも、自分の言葉で伝えたい。一歩前に進むと、大きな歓声がピタリと止まった。
私に向けられた無数の目。手も足も震え、声が出ない。
その瞬間、ハル様が私の腰にぐいっと手を回した。伝わる力で我に返る。
そうだ。敵じゃない。ここに悪意を持つ人はいない。いたとしても、分かり合える努力をしていこう。
ピンと背筋が伸びた。
「みなさん、今日は祝ってくださってありがとうございます。皆さんと共にここにあれで、幸せです。皆さんにも祝福を!」
一瞬の沈黙。
そして、どっと歓声が沸き起こった。
耳をろうするほどの大きな歓声が皆の喜びを伝えてくれる。
「聖女様!」
「おめでとうございます」
「末永くお幸せに!」
「王太子殿下、聖女様とお幸せに!」
「聖女様」
「お幸せですか?」
どこかから声が飛び込んでくる。
「はい、幸せです!」
大きな声で答えると、一層歓声が大きくなった。
「王太子殿下、聖女様を愛してますか?」
「もちろん」
ハル様が堂々と答えた。
私達の目が合い、互いに微笑みあう。
「キスしてください、王太子殿下!」
誰かが大きな声で叫ぶ。
「王太子様、お妃様にキスしてください!!」
「キース、キース!!」
「キース、キース!!」
「キース、キース!!」
誰かが始めたキスコールは全員を巻き込んで、大きな声になった。
ハル様が私をいたずらっぽく見る。
「よろしいですかな?王太子妃殿下?」
私は笑って答えた。「よろしくてよ?王太子殿下」
ハル様がぐいっと私の腰を引き寄せて口付けると、広場は悲鳴とため息の混じった大歓声に包まれた。
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
「お幸せに!」
祝福の声で広場が満たされ、胸がいっぱいになった。
続く大歓声の中、「あの人って生まれながらのヒロインなのね、羨ましい」って声が聞こえてきた。私は笑って答える。
「そうです、私がヒロインです。羨ましいですか?」って。
でもね、その言葉には続きがある。
あなただって、あなたの人生のヒロインなんですよ、って。
誰もが自分の人生のヒロイン。楽しい日ばかりじゃない。辛い日も苦しい日もある。自分に起こった出来事からは逃れられない。
でも、全ての過去は今に続き、そして未来へと繋がっていく。自分を信じて一生懸命に日々を重ねていれば、必ず報われる日がありますよ。だってあなただってヒロインなんだからって。
ね、そうでしょう?
**************************************************
お読みいただきまして、ありがとうございました。
あと、後日談を数話残して本当におしまいです。
長いお話にお付き合いいただきまして、本当に感謝しております。
拙作エッセイ「藍音のたわごと」にて、製作裏話などを掲載予定です。もし興味があればご一読ください。
白い礼装を身にまとったハル様は、凛としていつもよりかっこいい。
この素敵な人が私の旦那様になるなんて、夢みたい。
とうさまからハル様に引き渡され、見上げると瞳の中には愛と称賛が輝いていた。
この人がいれば、もう何もいらない。
思わず私が微笑みかけると、ハル様の手が私の頬にそっと触れた。
「ごほんごほん!」
ベリ大神官が大げさに咳払いをすると、ハル様がバツ悪そうに手を下ろした。
あとちょっと。そのあとちょっとが長い。
同意を求めてハル様を見ると、赤く染まった目元が柔らかくゆるめられた。
今日まで、長かった。やっと一緒になれる。
これからは誰にも文句を言われずにともに居られるんだ。
大神官にバレないようにそっと伸びてきたハル様の指先に、こっそりと指を絡めた。
儀式は滞りなく終了し、バルコニーから民衆に挨拶をすることになっている。
先触れが私たちがバルコニーに顔を出すことを伝えると、大きな歓声が湧き上がり、地鳴りのように足元を揺らした。
ハル様が私の手をしっかりと握りしめ、前に進む。
そうだ、これからは一人じゃない。私はハル様の手を握り返すと、ゆっくりとバルコニーに向かった。
目の前には、民が腕に巻きつけた藍と金のリボンが揺らめき、さざめいている。
この間よりも、もっと多くの人々が私たちを一目見ようと集まっているのだ。
視界いっぱいに広がる藍色は、まるでわたしたちの心に生まれた希望そのもののよう。
民は大声で聖女を讃える歌と、結婚を祝う歌を歌っている。
今日のために、ブラッド神官が作詞作曲して広めてくださった曲だ。
皆の祝福が大きな輪になり、そこにいる全員を包み込み、見渡す限り幸せな気分で満たされる。
ああ、こんな光景が見られるならば、聖女になるのも悪くない。
責任の重さに怯え続けていたけども、でも、それ以上に素晴らしい。
「おめでとうございます」
「お幸せに!」
「おめでとうございます!」
口々に祝福を伝えてくれる声が私たちに降り注ぐ。
お礼を言うハル様の声に一層大きく歓声が上がった。
ハル様が私にも挨拶するか?と目で問いかける。足が震える。でも、自分の言葉で伝えたい。一歩前に進むと、大きな歓声がピタリと止まった。
私に向けられた無数の目。手も足も震え、声が出ない。
その瞬間、ハル様が私の腰にぐいっと手を回した。伝わる力で我に返る。
そうだ。敵じゃない。ここに悪意を持つ人はいない。いたとしても、分かり合える努力をしていこう。
ピンと背筋が伸びた。
「みなさん、今日は祝ってくださってありがとうございます。皆さんと共にここにあれで、幸せです。皆さんにも祝福を!」
一瞬の沈黙。
そして、どっと歓声が沸き起こった。
耳をろうするほどの大きな歓声が皆の喜びを伝えてくれる。
「聖女様!」
「おめでとうございます」
「末永くお幸せに!」
「王太子殿下、聖女様とお幸せに!」
「聖女様」
「お幸せですか?」
どこかから声が飛び込んでくる。
「はい、幸せです!」
大きな声で答えると、一層歓声が大きくなった。
「王太子殿下、聖女様を愛してますか?」
「もちろん」
ハル様が堂々と答えた。
私達の目が合い、互いに微笑みあう。
「キスしてください、王太子殿下!」
誰かが大きな声で叫ぶ。
「王太子様、お妃様にキスしてください!!」
「キース、キース!!」
「キース、キース!!」
「キース、キース!!」
誰かが始めたキスコールは全員を巻き込んで、大きな声になった。
ハル様が私をいたずらっぽく見る。
「よろしいですかな?王太子妃殿下?」
私は笑って答えた。「よろしくてよ?王太子殿下」
ハル様がぐいっと私の腰を引き寄せて口付けると、広場は悲鳴とため息の混じった大歓声に包まれた。
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
「お幸せに!」
祝福の声で広場が満たされ、胸がいっぱいになった。
続く大歓声の中、「あの人って生まれながらのヒロインなのね、羨ましい」って声が聞こえてきた。私は笑って答える。
「そうです、私がヒロインです。羨ましいですか?」って。
でもね、その言葉には続きがある。
あなただって、あなたの人生のヒロインなんですよ、って。
誰もが自分の人生のヒロイン。楽しい日ばかりじゃない。辛い日も苦しい日もある。自分に起こった出来事からは逃れられない。
でも、全ての過去は今に続き、そして未来へと繋がっていく。自分を信じて一生懸命に日々を重ねていれば、必ず報われる日がありますよ。だってあなただってヒロインなんだからって。
ね、そうでしょう?
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お読みいただきまして、ありがとうございました。
あと、後日談を数話残して本当におしまいです。
長いお話にお付き合いいただきまして、本当に感謝しております。
拙作エッセイ「藍音のたわごと」にて、製作裏話などを掲載予定です。もし興味があればご一読ください。
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