111 / 152
第百六話 王の来訪
不毛の地、ウィアード。
冬は氷に覆われ、夏は日照りが続く。
土は痩せ、豊富な作物は取れないのに、隣り合う魔の森からは魔物が侵入し、時に子を喰らう。
海の向こうには、敵国の土地が迫る。
陸からも海からも常に脅威にさらされ続けるその土地は、王国の前哨基地として設置され、名誉のみを理由に配置された王弟の一族が、その発展にわが身をささげ続けてきた。
長い苦難ののち、少しずつ領地が豊かになり、魔物たちとの争いも沈静化している。
その状態が20年ほど続くと、その状態が「あたりまえ」とみなされるようになった。
不幸で不穏な土地よりも、平穏な土地であった方がいい。
能天気なその思いは、時に現実から目を背けさせる。
平和な王都に住む王族からしたら、ウィアードが魔の土地であったことなどすっかり忘れ去られ、とうとう、王が愛する娘が嫁ぐ時代が来た。
そして、さらに、王が嫁いだ娘に会うために、辺境の地を訪れる日が来たのだ。
その名誉に、辺境の朴訥な人々の心は震えた。
美しい姫が降嫁されただけではなく、王自らが、この地の土を踏む日が来るなんて!
王の馬車がウィアードの領地に入ると、沿道には歓迎する人々が連なった。
王は、その様子をちらりと馬車の窓から見たが、人々のやせこけた身体と貧しそうな身なりにすぐに目をそらした。王が見る価値のあるものではない。
沿道の人々は、王がそんなことを考えているなど、思いもよらず、ただ純粋に農作業の手を止め、王を歓迎するために沿道に立った。
きらびやかに輝く金ぴかの馬車や、毛並みのいい馬たち。
終わりが見えないほど長い豪華な馬車の行列。
そして、その間には金や銀の鎧を身にまとった騎士たちが、立派な軍馬に乗って隊列を守っている。
騎士たちの捧げ持つ槍の先には、青い徽章がたなびいている。
旅の途中では領主の館に泊まりながら、一行は時間をかけてゆっくりとウィアード城にたどり着いた。
***********
王家の馬車は、伯爵家のロータリーで大きく回ってその威容を見せつけながら、華やかに現れた。
まずは金色に輝く馬具を装備した数頭の軍馬。
そして、馬車の中で最も大きく壮麗な箱型馬車が続く。四隅には青い旗がたなびき、もっとも身分の高い人物が乗っていると示している。
馬車はその大きさの割に、かすかな軋みすらなく、車輪が土を踏む音だけを響かせながら静かに進み、そして玄関の前でぴたりと止まった。
出迎えるために、アウレリオ、ソフィア、第三王女セラフィーナが最前列に並び、その後ろにはそれ以外の一族全員が長時間立ち続けていた。
やっと到着した馬車から王の従僕が一度馬車から降り、一礼した後、恭しく馬車の扉を開けた。
「セラフィーナ!わが愛しい末娘よ!」
大声で姫を呼び、両手を広げる。
「お父様!」セラフィーナは満面の笑みをたたえて出迎えた。そのおなかはすでに臨月間近ですっかり大きくなっている。「ようこそおいでくださいました。でもわたくし、走れませんのよ?」
姫はいたずらっぽく笑うと、父王の腕の中に飛び込んだ。
「おやおや、私の娘がこんなに丸くなって・・・まるで『まり』の様ではないか」
「お父様ったら、ひどい」
姫がふざけて王をこぶしで叩くふりをすると、王は大声で笑った。
「薄情な姫め、嫁いでから一度も戻ってこず、私を出向かせるとは」
「だって、今わたくし長旅ができないんですもの。来られる方に来ていただかないと」
「ははは」
王は上機嫌に笑い、姫の腰を抱いて城に向かった。姫にだけ聞こえるように、こっそりとささやく。
「どうだ、幸せに暮らしているのか。お前の手紙には驚いたぞ。なるべく早く駆けつけたのだが」
「ふふ、ありがとうございます。お父様にお会いできないと、寂しくて・・・わがままな末っ子セラフィンをお許しくださいね」
「大体、あんな田舎者になぜ興味を持ったんだ」
「まあ、お父様ったら、わたくしだってこの地の夫人ですもの。田舎者と呼ばれなければなりませんわね」
「お前は違う」王は真剣に言った。「お前が田舎者だったら、この世に生きているものはみんな田舎者だ」
「もう!」
「早く王都に戻ってこい。結婚するときは、すぐに戻ってくると言ったではないか」
「まあ、お父様。まだ新婚ですもの・・・アウレリオ様と離れがたくて・・・それに、夫が忙しくて」
「ふん」
セラフィーナがほほを染め、王は後ろから黙ってついてくる娘婿を振り返った。
「どうだ、セラフィーナはしっかりやっておるか」
「この上なく」
アウレリオが頭を下げる。それで王の興味は終わったらしい。
「いつ産まれるんだ」
「もうそろそろだろう?」
矢継ぎ早にセラフィーナに質問を浴びせかけ、愛娘の腹を不思議そうにまじまじと見つめる。
「あんなに小さかった私の姫が・・・」
「お父様ったら!いつのことですか!もうすぐ予定日です。それまでは、いてくださいますよね?」
「うむ、あまり長くは城を開けられないのだが・・・セラフィンのためなら、首を縦に振ってやりたいところだ」
***********
それからというもの、城の使用人たちは休む時間もないほど、忙しくこき使われることになった。
王は、辺境にいるにもかかわらず、王宮と同じだけの食事の質と量と使用人たちの献身を求めた。
そして、それはそのまま、辺境に住む人々の生活を圧迫することにつながっていった。
「ここだけの話だが・・・王様はいつ、お帰りになるんだ?」
「昨日も入ったばかりの侍女が手籠めにされたとか・・・」
「まだ、子供みたいなものじゃないか」
「しかも、高級なワインをがぶがぶと水のようにお飲みになって・・・」
「俺は肉が固いと皿を投げつけられたよ」
「俺はシーツがごわごわしてるって」
「一番いい部屋をって、伯爵様の部屋を陣取ってるんだろう?」
「ついてきた使用人たちも、みんな王都から来たって威張っててさ」
「鼻持ちならないよ」
冬のために備蓄していた大切な食料を湯水のように消費していく。
高価なワインをがぶ飲みし、片っ端から若い娘に手をつける。
辺境の人々にとって、王が来訪することは最高の名誉だったはずなのに、むしろ一日も早い王の帰還を願うようになっていった。
***********
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
年明け、楽しくお過ごしになりましたか?
さて、本日より本編再開いたします。
番外編については、しおりを挟んでくださっている方がいらっしゃいますので、移動を確認次第公開停止いたします。ちょっと最終話だけ残っている間抜けな状態になっているんですけど・・・
それでは、最後までよろしくお願いいたします。
冬は氷に覆われ、夏は日照りが続く。
土は痩せ、豊富な作物は取れないのに、隣り合う魔の森からは魔物が侵入し、時に子を喰らう。
海の向こうには、敵国の土地が迫る。
陸からも海からも常に脅威にさらされ続けるその土地は、王国の前哨基地として設置され、名誉のみを理由に配置された王弟の一族が、その発展にわが身をささげ続けてきた。
長い苦難ののち、少しずつ領地が豊かになり、魔物たちとの争いも沈静化している。
その状態が20年ほど続くと、その状態が「あたりまえ」とみなされるようになった。
不幸で不穏な土地よりも、平穏な土地であった方がいい。
能天気なその思いは、時に現実から目を背けさせる。
平和な王都に住む王族からしたら、ウィアードが魔の土地であったことなどすっかり忘れ去られ、とうとう、王が愛する娘が嫁ぐ時代が来た。
そして、さらに、王が嫁いだ娘に会うために、辺境の地を訪れる日が来たのだ。
その名誉に、辺境の朴訥な人々の心は震えた。
美しい姫が降嫁されただけではなく、王自らが、この地の土を踏む日が来るなんて!
王の馬車がウィアードの領地に入ると、沿道には歓迎する人々が連なった。
王は、その様子をちらりと馬車の窓から見たが、人々のやせこけた身体と貧しそうな身なりにすぐに目をそらした。王が見る価値のあるものではない。
沿道の人々は、王がそんなことを考えているなど、思いもよらず、ただ純粋に農作業の手を止め、王を歓迎するために沿道に立った。
きらびやかに輝く金ぴかの馬車や、毛並みのいい馬たち。
終わりが見えないほど長い豪華な馬車の行列。
そして、その間には金や銀の鎧を身にまとった騎士たちが、立派な軍馬に乗って隊列を守っている。
騎士たちの捧げ持つ槍の先には、青い徽章がたなびいている。
旅の途中では領主の館に泊まりながら、一行は時間をかけてゆっくりとウィアード城にたどり着いた。
***********
王家の馬車は、伯爵家のロータリーで大きく回ってその威容を見せつけながら、華やかに現れた。
まずは金色に輝く馬具を装備した数頭の軍馬。
そして、馬車の中で最も大きく壮麗な箱型馬車が続く。四隅には青い旗がたなびき、もっとも身分の高い人物が乗っていると示している。
馬車はその大きさの割に、かすかな軋みすらなく、車輪が土を踏む音だけを響かせながら静かに進み、そして玄関の前でぴたりと止まった。
出迎えるために、アウレリオ、ソフィア、第三王女セラフィーナが最前列に並び、その後ろにはそれ以外の一族全員が長時間立ち続けていた。
やっと到着した馬車から王の従僕が一度馬車から降り、一礼した後、恭しく馬車の扉を開けた。
「セラフィーナ!わが愛しい末娘よ!」
大声で姫を呼び、両手を広げる。
「お父様!」セラフィーナは満面の笑みをたたえて出迎えた。そのおなかはすでに臨月間近ですっかり大きくなっている。「ようこそおいでくださいました。でもわたくし、走れませんのよ?」
姫はいたずらっぽく笑うと、父王の腕の中に飛び込んだ。
「おやおや、私の娘がこんなに丸くなって・・・まるで『まり』の様ではないか」
「お父様ったら、ひどい」
姫がふざけて王をこぶしで叩くふりをすると、王は大声で笑った。
「薄情な姫め、嫁いでから一度も戻ってこず、私を出向かせるとは」
「だって、今わたくし長旅ができないんですもの。来られる方に来ていただかないと」
「ははは」
王は上機嫌に笑い、姫の腰を抱いて城に向かった。姫にだけ聞こえるように、こっそりとささやく。
「どうだ、幸せに暮らしているのか。お前の手紙には驚いたぞ。なるべく早く駆けつけたのだが」
「ふふ、ありがとうございます。お父様にお会いできないと、寂しくて・・・わがままな末っ子セラフィンをお許しくださいね」
「大体、あんな田舎者になぜ興味を持ったんだ」
「まあ、お父様ったら、わたくしだってこの地の夫人ですもの。田舎者と呼ばれなければなりませんわね」
「お前は違う」王は真剣に言った。「お前が田舎者だったら、この世に生きているものはみんな田舎者だ」
「もう!」
「早く王都に戻ってこい。結婚するときは、すぐに戻ってくると言ったではないか」
「まあ、お父様。まだ新婚ですもの・・・アウレリオ様と離れがたくて・・・それに、夫が忙しくて」
「ふん」
セラフィーナがほほを染め、王は後ろから黙ってついてくる娘婿を振り返った。
「どうだ、セラフィーナはしっかりやっておるか」
「この上なく」
アウレリオが頭を下げる。それで王の興味は終わったらしい。
「いつ産まれるんだ」
「もうそろそろだろう?」
矢継ぎ早にセラフィーナに質問を浴びせかけ、愛娘の腹を不思議そうにまじまじと見つめる。
「あんなに小さかった私の姫が・・・」
「お父様ったら!いつのことですか!もうすぐ予定日です。それまでは、いてくださいますよね?」
「うむ、あまり長くは城を開けられないのだが・・・セラフィンのためなら、首を縦に振ってやりたいところだ」
***********
それからというもの、城の使用人たちは休む時間もないほど、忙しくこき使われることになった。
王は、辺境にいるにもかかわらず、王宮と同じだけの食事の質と量と使用人たちの献身を求めた。
そして、それはそのまま、辺境に住む人々の生活を圧迫することにつながっていった。
「ここだけの話だが・・・王様はいつ、お帰りになるんだ?」
「昨日も入ったばかりの侍女が手籠めにされたとか・・・」
「まだ、子供みたいなものじゃないか」
「しかも、高級なワインをがぶがぶと水のようにお飲みになって・・・」
「俺は肉が固いと皿を投げつけられたよ」
「俺はシーツがごわごわしてるって」
「一番いい部屋をって、伯爵様の部屋を陣取ってるんだろう?」
「ついてきた使用人たちも、みんな王都から来たって威張っててさ」
「鼻持ちならないよ」
冬のために備蓄していた大切な食料を湯水のように消費していく。
高価なワインをがぶ飲みし、片っ端から若い娘に手をつける。
辺境の人々にとって、王が来訪することは最高の名誉だったはずなのに、むしろ一日も早い王の帰還を願うようになっていった。
***********
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
年明け、楽しくお過ごしになりましたか?
さて、本日より本編再開いたします。
番外編については、しおりを挟んでくださっている方がいらっしゃいますので、移動を確認次第公開停止いたします。ちょっと最終話だけ残っている間抜けな状態になっているんですけど・・・
それでは、最後までよろしくお願いいたします。
あなたにおすすめの小説
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
神子は二度、姿を現す
江多之折(エタノール)
BL
1/7外伝含め完結
ファンタジー世界で成人し、就職しに王城を訪れたところ異世界に転移した少年が転移先の世界で神子となり、壮絶な日々の末、自ら命を絶った前世を思い出した主人公。
死んでも戻りたかった元の世界には戻ることなく異世界で生まれ変わっていた事に絶望したが
神子が亡くなった後に取り残された王子の苦しみを知り、向き合う事を決めた。
戻れなかった事を恨み、死んだことを後悔し、傷付いた王子を助けたいと願う少年の葛藤。
王子様×元神子が転生した侍従の過去の苦しみに向き合い、悩みながら乗り越えるための物語。
※小説家になろうに掲載していた作品を改修して投稿しています。
描写はキスまでの全年齢BL
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】あなたのいない、この異世界で。
Mhiro
BL
「……僕、大人になったよ。だから……もう、───いいよね?」
最愛の人に先立たれて3年。今だ悲しみから立ち直れず、耐えられなくなった結(ゆい)はその生涯を終えようとする。しかし、次に目が覚めたのは、生命を見守る大樹がそびえ立つ異世界だった。
そこで亡き恋人の面影を持つ青年・ルークと出会う。
亡き恋人への想いを抱えながらも、優しく寄り添ってくれるルークに少しずつ惹かれていく結。そんなある日、ある出来事をきっかけに、彼から想いを告げられる。
「忘れる必要なんてない。誰かを想うユイを、俺はまるごと受け止めたい」
ルークの告白を受け入れ、幸せな日々を送る結だったが、それは突然終わりを迎える。
彼が成人を迎えたら一緒に村を出ようと約束を交わし、旅立つ準備を進めていた矢先、結は別の女性と口づけを交わすルークの姿を目撃してしまう。
悲しみの中で立ち止まっていた心が、異世界での出会いをきっかけに再び動き出す、救済の物語。
※センシティブな表現のある回は「*」が付いてますので、閲覧にはご注意ください。
ストーリーはゆっくり展開していきます。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。