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第百二十二話 再会
王の膝の上には、前回も王の相手をした未亡人が座ってしなだれかかっている。
そして、リオは王の後ろで、無言でその時間が終わるのを待っていた。薄すぎる服からはリオの乳首が透けて見える。かろうじて、下着は身に着けているようだが、その服装はどう見ても従僕のものと見えなかった。
(リオ?なぜ?ありえない、なぜそんな服装を・・・)
呆然と立ち止まるアウレリオを、王は楽しそうに見た。
「婿殿」
王がまるで主人であるかのように、アウレリオにゴブレットを掲げてみせる。
「おい」
王がリオに向かって顎をしゃくった。「気の利かないやつだ。早く婿殿にゴブレットをお持ちしろ」
「は、はい、ただいま!」
リオがアウレリオの元に急いでゴブレットを渡しに行くと、リオの足に括りつけられた鈴が鳴った。
(うそだ。そんな、まさか)
近づいてくるリオの姿が現実とは思えない。
『どうしていた?』
『仕事はつらくないのか?』
『戻りたくなったらすぐに戻ってこい』
そんな当たり前の会話を交わそうと思っていたのに。
「あの、どうぞ」
スローモーションのようにリオが近づいてきた。
薄物からは乳首がのぞき、あちこちに情交の跡らしき赤紫やピンク色の跡が残っている。
しかも、それは首筋から乳首、太ももの間と、敏感な場所に集中している。
まともな服を着ていれば見えない場所にある跡さえ、薄い服では隠しようもなかった。
リオが呆然としているアウレリオの手にゴブレットを押し込むと、すかさず給仕がその中にワインを注いだ。
「ウィアードとその後継者として生まれたわが孫に幸運を」
王がゴブレットを掲げ、部屋にいた全員が唱和した。まるで、現実味がない。
瞬きをして、もう一度眺めても、現実は変わっていなかった。
「そして、幸運なわが婿殿にも」
アウレリオに視線が注がれた。
みな、笑顔でアウレリオにゴブレットを向けている。
やけくそのようにワインを飲み干すと、同時に王もゴブレットをテーブルに置き、リオの手首を引っ張った。
王の膝の上に倒れこむリオ。
嫌がって戻ろうとするリオの腰を我が物顔に引き寄せ、もう一方の手で見せつけるようにリオの乳首をつまんだ。
リオの乳首には、宝石らしき飾りまでつけられている。
どれほど自分の目を疑おうとも、今のリオの置かれた立場ははっきりとしていた。
「まあ、お父様ったら」くすくすとセラフィーナが笑う。「食事の場で、いけませんわ」
アウレリオはまだ目の前の光景が信じられず、呆然と立ちすくんでいる。
リオが逃れようと身をよじると、乳首の宝石がろうそくに反射してきらめき、足の鈴が鳴った。
「いい夜だ。我がお気に入りの愛妾の出身地でもある。なあ?」
王がリオの尻を撫でながら、首筋に鼻を埋めた。小生意気な婿が蒼白になっている。それが見れただけでも、ここに来た甲斐があったというものだ。
(アウレリオ様・・・ご存じなかったんだ。俺が、王様の慰み者になってること・・・)
なにも、こんなことしなくてもいいのに。
なぜこんな辱めを・・・アウレリオ様の前で。
リオが嫌悪と屈辱で顔を真っ赤に染めると、王はリオのすぼみに指先を入れた。
なんの前準備もない行為には痛みしかない。思わず息をのむ。
「どうしたんだ?いつもならもうここをひくつかせて、ねだってくる頃だろう?」
王が舌なめずりしながら、リオに言うと、周りの人たちはみな目のやり場に困ると、わざとらしく視線をそらした。
(わざとだ)
リオは、王にねだったことなど一度もない。だけど、それが今のリオの、愛妾の仕事だと、思われてしまうだろう。
しかも、アウレリオ様の目の前で。
くやしい。なぜこんなことを?
どれほど辱めたら気が済むんだ?
でも・・・
「こちらのお酒もお口に合うかと思いますよ?」
リオは無理やり笑顔を貼り付けた。
声が震え、強い酒の入った小さな壺を取り落とさないように、慎重に手に取る。
「どうぞ。この小さなグラスで一気に飲み干すんです。のどがかっと炎のように焼けて、病みつきになりますよ」
小さなグラスになみなみと、度数の強い酒を満たす。
「はい、どうぞ?」
*********
リオの声の震えに、アウレリオは一瞬で状況を理解した。
大切なリオを男娼扱いしている王を殺したいとそればかりを考えていたが、だが、今は・・・
アウレリオは指を立て、給仕に合図した。
(酒蔵の一番強い酒を持ってこい)
給仕は目顔でうなずくと、王の前には度数の高い酒がどんどん並べられた。
「この地の男は、水のように飲む酒です。どうぞたしなまれては?」
アウレリオもどんどん酒を勧める。
返礼にアウレリオも酒を飲んで返すと、王は意地になって強い酒をストレートでがぶ飲みした。すでにもう判断力をなくしている。30分後、
どん
と、鈍い音を立てて、テーブルに頭から突っ伏した。
度数の高い酒を一気に飲み続け、急にアルコールが回って気を失ったのだ。
「王を部屋にお連れしろ」アウレリオが指示し、リオを振り返った。
目が合った瞬間、言葉が口をついてでる。
「あ、あの、アウレリオ様」
「いい。何も言うな。ついてこい」
**********
アウレリオは長年共に過ごした自室にリオを押し込めると、人払いして自分も部屋に入り鍵をかけた。
心はぐらつき、魔力が渦を巻いている。だが、今回は飲まれないように必死で耐える。
「何があった」
リオを責めているわけではない。ただ、アウレリオ様は何が起こったのか知りたいだけなんだ。
リオは、覚悟を決めた。
「最初は、侍従として働くように、とのご指示でした・・・王家からのお誘いは断れない、と。ですが、王都に着いたらそのまま後宮に通されて・・・王様はたまに『珍味』が食べたくなるものだ、と」
「なんだと?」
「すみません。俺は本当に嫌だった。でも・・・もう、聞かないでください。そんな時間はないんです。どうか、二人でいられる時間はほんの少ししか許されません。あの王が目を覚ますまでしかないんです」
「あれだけ飲ませたんだ。しばらくは眠っていてくれるだろうさ」
アウレリオがリオの髪に指を通した。
「お前が、恋しかった。会いたかったよ」
熱のこもった、優しいまなざし。リオは、アウレリオの身体にしがみついた。
「アウレリオ様、ごめんなさい。俺、アウレリオ様以外の人と・・・どうか許してください。心は捧げてません。だから、どうか許してください。一夜だけ、お情けをいただけませんか」
アウレリオがリオの身体をぎゅっと抱きしめた。
「いや、むしろ・・・守ってやれなくて、すまない」
その言葉に、リオは静かに涙を流した。
アウレリオとて、領地への責任とリオへの思いで引き裂かれそうだ。
「リオ、リオ」
アウレリオがリオの涙を唇ですくい取った。
「泣くな」
***********
お読みいただきまして、ありがとうございました。
♡と広告もありがとうございます。
今朝は寒かったですね。
日本海側では大雪とのこと、お見舞い申し上げます。
身の安全、交通安全に気を付けてお過ごしくださいね。
そして、リオは王の後ろで、無言でその時間が終わるのを待っていた。薄すぎる服からはリオの乳首が透けて見える。かろうじて、下着は身に着けているようだが、その服装はどう見ても従僕のものと見えなかった。
(リオ?なぜ?ありえない、なぜそんな服装を・・・)
呆然と立ち止まるアウレリオを、王は楽しそうに見た。
「婿殿」
王がまるで主人であるかのように、アウレリオにゴブレットを掲げてみせる。
「おい」
王がリオに向かって顎をしゃくった。「気の利かないやつだ。早く婿殿にゴブレットをお持ちしろ」
「は、はい、ただいま!」
リオがアウレリオの元に急いでゴブレットを渡しに行くと、リオの足に括りつけられた鈴が鳴った。
(うそだ。そんな、まさか)
近づいてくるリオの姿が現実とは思えない。
『どうしていた?』
『仕事はつらくないのか?』
『戻りたくなったらすぐに戻ってこい』
そんな当たり前の会話を交わそうと思っていたのに。
「あの、どうぞ」
スローモーションのようにリオが近づいてきた。
薄物からは乳首がのぞき、あちこちに情交の跡らしき赤紫やピンク色の跡が残っている。
しかも、それは首筋から乳首、太ももの間と、敏感な場所に集中している。
まともな服を着ていれば見えない場所にある跡さえ、薄い服では隠しようもなかった。
リオが呆然としているアウレリオの手にゴブレットを押し込むと、すかさず給仕がその中にワインを注いだ。
「ウィアードとその後継者として生まれたわが孫に幸運を」
王がゴブレットを掲げ、部屋にいた全員が唱和した。まるで、現実味がない。
瞬きをして、もう一度眺めても、現実は変わっていなかった。
「そして、幸運なわが婿殿にも」
アウレリオに視線が注がれた。
みな、笑顔でアウレリオにゴブレットを向けている。
やけくそのようにワインを飲み干すと、同時に王もゴブレットをテーブルに置き、リオの手首を引っ張った。
王の膝の上に倒れこむリオ。
嫌がって戻ろうとするリオの腰を我が物顔に引き寄せ、もう一方の手で見せつけるようにリオの乳首をつまんだ。
リオの乳首には、宝石らしき飾りまでつけられている。
どれほど自分の目を疑おうとも、今のリオの置かれた立場ははっきりとしていた。
「まあ、お父様ったら」くすくすとセラフィーナが笑う。「食事の場で、いけませんわ」
アウレリオはまだ目の前の光景が信じられず、呆然と立ちすくんでいる。
リオが逃れようと身をよじると、乳首の宝石がろうそくに反射してきらめき、足の鈴が鳴った。
「いい夜だ。我がお気に入りの愛妾の出身地でもある。なあ?」
王がリオの尻を撫でながら、首筋に鼻を埋めた。小生意気な婿が蒼白になっている。それが見れただけでも、ここに来た甲斐があったというものだ。
(アウレリオ様・・・ご存じなかったんだ。俺が、王様の慰み者になってること・・・)
なにも、こんなことしなくてもいいのに。
なぜこんな辱めを・・・アウレリオ様の前で。
リオが嫌悪と屈辱で顔を真っ赤に染めると、王はリオのすぼみに指先を入れた。
なんの前準備もない行為には痛みしかない。思わず息をのむ。
「どうしたんだ?いつもならもうここをひくつかせて、ねだってくる頃だろう?」
王が舌なめずりしながら、リオに言うと、周りの人たちはみな目のやり場に困ると、わざとらしく視線をそらした。
(わざとだ)
リオは、王にねだったことなど一度もない。だけど、それが今のリオの、愛妾の仕事だと、思われてしまうだろう。
しかも、アウレリオ様の目の前で。
くやしい。なぜこんなことを?
どれほど辱めたら気が済むんだ?
でも・・・
「こちらのお酒もお口に合うかと思いますよ?」
リオは無理やり笑顔を貼り付けた。
声が震え、強い酒の入った小さな壺を取り落とさないように、慎重に手に取る。
「どうぞ。この小さなグラスで一気に飲み干すんです。のどがかっと炎のように焼けて、病みつきになりますよ」
小さなグラスになみなみと、度数の強い酒を満たす。
「はい、どうぞ?」
*********
リオの声の震えに、アウレリオは一瞬で状況を理解した。
大切なリオを男娼扱いしている王を殺したいとそればかりを考えていたが、だが、今は・・・
アウレリオは指を立て、給仕に合図した。
(酒蔵の一番強い酒を持ってこい)
給仕は目顔でうなずくと、王の前には度数の高い酒がどんどん並べられた。
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アウレリオもどんどん酒を勧める。
返礼にアウレリオも酒を飲んで返すと、王は意地になって強い酒をストレートでがぶ飲みした。すでにもう判断力をなくしている。30分後、
どん
と、鈍い音を立てて、テーブルに頭から突っ伏した。
度数の高い酒を一気に飲み続け、急にアルコールが回って気を失ったのだ。
「王を部屋にお連れしろ」アウレリオが指示し、リオを振り返った。
目が合った瞬間、言葉が口をついてでる。
「あ、あの、アウレリオ様」
「いい。何も言うな。ついてこい」
**********
アウレリオは長年共に過ごした自室にリオを押し込めると、人払いして自分も部屋に入り鍵をかけた。
心はぐらつき、魔力が渦を巻いている。だが、今回は飲まれないように必死で耐える。
「何があった」
リオを責めているわけではない。ただ、アウレリオ様は何が起こったのか知りたいだけなんだ。
リオは、覚悟を決めた。
「最初は、侍従として働くように、とのご指示でした・・・王家からのお誘いは断れない、と。ですが、王都に着いたらそのまま後宮に通されて・・・王様はたまに『珍味』が食べたくなるものだ、と」
「なんだと?」
「すみません。俺は本当に嫌だった。でも・・・もう、聞かないでください。そんな時間はないんです。どうか、二人でいられる時間はほんの少ししか許されません。あの王が目を覚ますまでしかないんです」
「あれだけ飲ませたんだ。しばらくは眠っていてくれるだろうさ」
アウレリオがリオの髪に指を通した。
「お前が、恋しかった。会いたかったよ」
熱のこもった、優しいまなざし。リオは、アウレリオの身体にしがみついた。
「アウレリオ様、ごめんなさい。俺、アウレリオ様以外の人と・・・どうか許してください。心は捧げてません。だから、どうか許してください。一夜だけ、お情けをいただけませんか」
アウレリオがリオの身体をぎゅっと抱きしめた。
「いや、むしろ・・・守ってやれなくて、すまない」
その言葉に、リオは静かに涙を流した。
アウレリオとて、領地への責任とリオへの思いで引き裂かれそうだ。
「リオ、リオ」
アウレリオがリオの涙を唇ですくい取った。
「泣くな」
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