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6. 新人神様に注意
しおりを挟む「ペナルティーでもつけますか?最近やりすぎですよ。」
私は大きくため息をつきながら話している。相手に反省の色が全く見られないからだ。金色の美しく輝く長い髪を触りながら、薄紅色の形の良い唇を尖らせて先程から文句ばかり言っている。
「いや~、だって天界は退屈すぎるんだよ。だから、人間に遊んでもらっているだけなんだけど…。なんでだめなの?」
本当に…神様って人間を何だと思ってるんでしょうかね。
「人間は突然殺されて異世界転生される事を遊んでいるとは思いませんよ。楽しくはありませんし、涙を流される人の方が多いです。遊ぶなら他でお願いします。」
「え~!!!他にって言ってもな~。」
これほどまでにお話が通じないとは…。これはあの方の名前をちらつかせたほうが宜しいのでしょうか。
「このままですとハデス様にお会いしていただくことになりますが…宜しいのですか?」
私は偉大なる冥府の神様の名を口にした。
「え…、ハデス様。いや…暗いとこは苦手だし…。」
やはりハデス様のお名前は皆さん知っているのですね。すぐに顔色が変わりましたよ。
「しかしこのままですとハデス様に会っていただくことになりますので、冥界に行っていただかないといけません。もちろん、拒否権はありませんよ。」
私は笑顔で凄んで見せた。
「待てよ…私みたいな新人の神にまで時間を使えるような方ではないと思うんだけど。分かった!それって嘘だよね。」
は~!!!本当にこの神様はどういう考えをしているのでしょうか!疲れが倍増してしまいますよ。
「嘘ですか…では試されますか?すぐに連絡を取りますのでお時間は取らせませんよ。ケルベロス様がすぐにお迎えに来てくださると思います。」
相手の神様の顔がひきつっています。
「え…ケルベロス。え?本当に、本当なの?」
ケルベロス様とはハデス様が可愛がっていらっしゃる、頭が3つで胴体が1つのお犬様の事です。下界では冥府の番犬とも言われているみたいですね。
「私は嘘など一度も言っておりません。真剣にお話をさせていただいております。」
やっと信じたのか顔色が悪くなりましたね。
「まだご存知無いのかも知れませんが、ここ異世界転生案内所は古来からの神々が作られた場所です。私は神ではありませんが古来からの神々から色んな権限をいただいております。ですから立場的に言えば古来の神々の代弁者だと思ってください。」
「そんな…。」
「古来の神々は今の状態を憂(うれ)いていらっしゃいます。それに…。」
これは言うと脅しになってしまうかもしれませんね。止めておきましょう。
「何?途中で止めると気になるから言って!」
「しかし…。」
「お願いします。」
神様にそこまで言われたら仕方ありませんね。
「新しい神々の審査が必要だなと申されていました。神に相応しくないと判断したら人間にしよう…みたいな事も言われていましたね。」
「ひぇ~!!嘘!そんな…。真面目にします。しますから古来の神々に報告しないで~!」
神様が涙目になってすがり付いてきます。そんなに人間になるのが嫌なんですか?
「分かりました。しかし、今度同じことをしたら直ぐに報告しますからね。」
「分かった。」
神様は頭をアカベコの様に上下に素早く振って頷いていらっしゃいます。
「では、これで失礼させていただきます。もう、お会いすることが無いことを祈っています。」
神様への注意がやっと終了しました。これで本当に最後にしてくだされば良いのですが…。
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