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29. 黒繭の中での会話 〈サファイア視点〉
しおりを挟むアデル様と子供の事についてお話をしていたら急にお腹が痛みだした。
気がつくと辺りは辺り一面真っ白な世界に私と私の目の前に小さな赤ちゃんがいるだけ。
「あなたは…もしかしてサファル?」
「はい、おかあさま」
見たことないはずなのに、なぜか知っている様な不思議な感じだった。
見た目がアデル様に似ていたのでもしかしてサファルなのかしら…と思ったらやはりそうだったのね。
プラチナゴールドのキラキラな髪に瞳はアメジスト色顔の作りはアデル様を赤ちゃんにしたみたいにそっくりなんです。
神様の血はやはり濃いのかしら?
「サファル…ここはどこなのですか?」
なんとなくだけど、サファルは知っている気がした。
「ここは、おかあさまのゆめのなかです」
「夢の中?」
「はい。ぼくのせいで、おかあさまが…」
そこまで言ってサファルが下を向いてしまった。
「サファル…」
私はサファルを抱き上げた。
強く抱きしめた後、サファルを見つめた。
「サファル自分を責めないで良いのよ。サファルがお腹の中にいることが分かってどんなに嬉しかったか…。あなたの魔力が強すぎるのはあなたのせいではないしね」
たぶん、神様が言っていた魔力や神力のせいで私は倒れたのだろう。
夢の中と言うことは本体の私は寝ている状態ということになるはずだから。
「おかあさま…」
サファルの可愛らしい手が私の服をギュッと掴む。
何て可愛らしいのかしら。
「おかあさま、きめました」
うん?何を?
「ぼく、うまれます!」
生まれます?
「え!?サファル…、予定日はまだ先なのだけど大丈夫なの?」
サファルが笑顔で頷いた。
「だいじょうぶです」
本当に大丈夫なの?
「では、私が目を覚まさないと駄目よね」
気合いをいれたら目が覚めるかな?
「だいじょうぶです」
え…でも私が目を覚まさないとサファルは生まれてこれないと思うけど…。
「しんりょくをつかいます」
「神力をつかいこなせるの?…というか神力で生まれる事ができるの?!」
驚きです…聞いたことがありません。
「おじいさまにおしえてもらいました」
「お祖父様?って…ええ!!あの神様に~!」
いつの間にそんな事をしていたのだろうか。
テレパシーみたいなもので連絡を取っていたということ?
それがもうできるの?!
我が子ながら規格外です。
「いまそのじゅんびちゅう」
そうなんだ…。
いや、でも待って…今の話からしてサファルが自分の力で生まれてしまったら物凄い騒ぎにならない?
前代未聞のスクープよね…。
「ねえ、サファル…やっぱ…」
私がやはり普通に生まれないかと提案しようと思ったらサファルが話を遮った。
「じゃあ、いってきます」
サファルの身体が光って消えた。
え…どうしよう。
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