龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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31. 予想外の出来事

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 思ってもみない事になってしまいました。まさか、王様が俺の学校を選びたいなんて言い出すとは…。想像できないよね。

「どこだと思う?」

 いや、そこは焦らさないで言って欲しい!

「えー、魔法学校ですか?」

 え?父さん…それをチョイスするの?俺は魔法なんて使えていないだろ?いや、もしかして魔力はあるのかな。

「違う。」

 王様がニヤニヤしながら今度は俺に答えてみろと言わんばかりに見つめてくる。この人、面倒臭いな…。

「神官の学校ですか?」

 王様が明らかに落胆の表情をを見せた。

「なんだ…つまらんな。」

 どうやら当たりらしいな。当てたのにつまらないなんて言われるの?王様って…。

「当たりだ。神官の学校が良いと思っていたんだ。」

「それはどうしてかを聞いても宜しいですか?」

 数ある学校から王様が神官の学校を選んだ理由が知りたい。

「本当は官僚の学校と悩んだのだが、姉と同じ学校に行かすのもなと思ってな…。同じ家から官僚をとりすぎてもバランスが悪いから、違う形で王家と関係をもってもらおうかと考えたんだ。」

 なるほど…と言いたいけど、気になる事を言っていたよね!王家と関係をもってもらう?何それ?

「もしこれを断られたらもう一つ考えているのだ。入ってこい。」

 入ってこい?

 王様は誰かを隣の部屋に待たせていたみたいで合図をだした。

 扉が開いて入ってきたのは薄い水色のドレスを着た黒髪に青い瞳の可愛らしい少女だった。

「姫様…。」

 父さんは顔を知っていたみたいだ。お姫様なのか。

「私の娘の瑠璃(るり)だ。歳は竜と同じなんだ。学校を断られたら瑠璃と婚約でもしてもらおうかと考えていた。」

「「は??」」

 確かに八岐家はこの国で有名な名家だが…姫様と婚約?!そりゃ、父さんも俺も驚いて声が出るよ。

 俺達が唖然としていると、王様は話を続けている。

「いや、なんなら両方でも良いぞ。瑠璃と婚約して神官の学校に通うというのもありだ。」

 王様はにこやかに言っているけど…それは無いだろ。そもそも姫様だって俺みたいな会ったこともない得体の知らない男と婚約だなんて嫌だろ?

「お父様…お二人が驚いていらっしゃいますよ。もう少し落ち着いて下さい。」

 姫様は動じていないんだね。納得しているってこと?

 あっ…姫様と目があってしまった。姫様が笑顔を見せてくれた。

「ご挨拶が遅れましたわ。私、瑠璃と申します。竜様の事は噂で聞いております。」

 噂って領民の皆さんの噂の事かな?

「八岐家にお姉さま達を凌ぐ神童が現れたと。」

 えええーーー!!!

 俺ってそんな風に噂をされていたのか?!知らなかった。でもどこからそんな噂が出たんだろう?

「いや、姫様まで伝わっていたとは…。」

 いやいや、何で父さんが照れているのかな。もしかして噂の出所は父さんなの?…あり得るな。親バカ父さんなら職場とかで言ってそうだ。想像できるのが怖い。

「実は姫が竜にに会いたいと言っていてな、今回会わせる事にしたのだ。ついでに婚約でもと…。」

 ついでに婚約?聞き間違いかな。

「お父様、私は竜様との婚約に異議はありませんわ。先程からのお父様とのやり取りを聞いていても頭がきれるのは分かりますし、何より…。」

 何よりなんなの?姫様は途中で話を止めて王様の耳元で話している。気になるから最後まで聞かせて欲しい。

「ハハハッ…。そうかそうか。確かにそうだな、私も本人を見て驚いたからな。」

 何が?王様と姫様だけで話をしているわけでは無いですよね。俺達を忘れていませんか。すると王様が俺の視線に気がついたみたいだ。

「すまんな、姫が恥ずかしがっていてな。竜が美少年で驚いたらしい。好みなんだそうだ。やっぱり両方だな。」

 何だか軽すぎないですか?そもそも俺はそんなに美少年でもないと思いますけどね。それだけで婚約なんて無しでしょ。もっと国に有益な婚約者を探しましょうね。

「王様…神官の学校には行きます。」

 俺はあえて姫様との婚約には触れなかった。

「学校には行くのか?」

 王様は気がついてくれたみたいだな。

「はい。姫様は私みたいな若輩者にはもったいない人だと思います。どうかもっと国に有益な優秀な人をお選び下さい。」

「そんな…。」

 声を出したのは瑠璃姫様だった。

「私の事が気に入りませんか?」

「いえ、そんな事はありません。私にはもったいない話だと思うのです。姫様ならもっと名家からも婚約者として望まれると思います。」

「私は貴方が良いのです。駄目ですか…。」

 綺麗な青い瞳を潤ませて言われると…断れない。

「…姫様。本当に私で宜しいのですか?」

 こぼれ落ちた涙を拭きながら姫様は俺を見つめている。

「貴方が良いのです。」

 ここまで言われて断ったら男が廃るよ。

「分かりました。王様…若輩者ですが姫様との婚約をお受けさせて頂きます。」

 隣にいる父さんが小さくガッツポーズをしているのが見える。父さん…もしかしてこれを狙っていたの?え…父さん実は策士なの?

 俺は少し父さんのガッツポーズに驚きながら覚悟を決めた。

 あ~、考えもしなかった事になっちゃったよ~。














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