家族に溺愛されすぎて適齢期ですが結婚できていません

縁 遊

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6. リリの正体

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 リリ…よね?

 扉が開いてそこにいたのは…。

 長い髪を後ろで1つに結び、華奢な身体にぴったりとした細身の私の瞳と同じ色のスーツに身をつつんだ…物凄く綺麗なリリと同じ顔をした男性。

「ルナ…驚いた?」

 え?声…リリの声だわ。

「リリ?本当にリリなの?え?男装しているの?え?どういうこと?」

 混乱しているからか、次から次に口から聞きたいことが出てしまいます。

「お待ちしておりました。リリーシャ殿下。」

 後ろからお母様がやって来て聞きなれない言葉を口にしている。

「リリーシャ殿下?」

 殿下?え?殿下?!

「公爵夫人長い間ご協力ありがとうございました。」

 リリがお母様に歩みよりお礼を言っている。…お母様が協力者?

 …というか、リリが話をしている?!

 声…ハスキーだったのは男性だったからなの?

 いつもは単語でしか声を聞いたことがなかったけど…落ち着いた素敵な声だわ。ずっと聞いていたくなるような声…。うっとりしてしまうわ。

「…ルナ…ルナ聞いてる?」

「へ?」

 気がつけばリリが私の肩を持ってを揺すっています。

「あ、ごめんなさい。聞いてませんでした。」

 クスッと笑うリリの顔…綺麗です。

「ルナ…いや、ルナリア今まで女だと騙していてごめん。これには色々と事情があるんだけど聞いてくれる?」

「はい。聞かせてください。」

 リリの話しは驚きの連続でした。


 王様の溺愛していた王妃様の子供がリリ…いえリリーシャ殿下だということ。

 王妃様は王弟家族に殺された可能性が高いこと。

 王弟とその妻に命を狙われる危険があったので王城から離れた場所で女性として生きていく必要があったこと。

 私のお母様がそのお手伝いをしていたこと…等。

 情報処理が追い付きませんわ。

「でも…なぜ今、本来の姿になられたのですか?」

「それは…。」

 リリーシャ殿下が私の両手をご自分の両手で包み込み、胸の位置まで引き上げた。

「ルナリアが婚約しそうだったからだよ。」

「私が婚約する事と関係しているのですか?」

 リリーシャ殿下は手を自分の方に寄せると私の指先にキスをしました。

「で、殿下?!」

「ルナリア…僕と結婚して欲しい。」

「え…。」

 結婚…。リリと?

「君が僕以外の人と婚約するなんて考えたくなかった。…けど女性の姿のままでは君にプロポーズもできない。だから本来の姿に戻ろうと思ったんだ。父上にも相談して今後のことも話し合ってきたしね。…だから僕と一緒にこの国の人達の幸せを守って欲しいんだ。」

 リリと幼い頃からずっと一緒で、会えなかったこの数週間は凄い悲しくて寂しかった。

 だけど、気がついたこともありました。私はリリと一緒にいられるだけで幸せなんだって会えない時間に気がつかせてもらえたの。

 だから…。

「女でも男でもどちらでもかまわないわ。私はリリが…いえ、リリーシャ殿下が好きです。」

 私はリリーシャ殿下の目を真っ直ぐに見て答えた。

「では…。」

「プロポーズをお受けします。こちらこそよろしくお願い致します。」

「ルナリア!」

 リリーシャ殿下が私の名前を呼びながら力強く抱きしめてきます。
 
 私も殿下を抱きしめます。…が。


「良かったわ…。あの人達を地下牢に縛っておいて…。」

 あの人達?そういえばお父様達の姿が見えませんね。

 …お母様の恐ろしい呟きは聞こえなかったことにしましょう。

 



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